神脳科学本です!「ヤバい集中力」でドンドンはかどる!
あなたの脳の中には獣と調教師が混在する
ジェームス・ヘックマンの研究では、
人生の成功でもっとも必要なのは、頭の良さではなく「誠実性」である。
という結果が出ました。誠実性とは、欲望に負けずコツコツ目の前のことに取り組める能力=集中力です。
頭の良さの相関よりも高く、IQよりも集中力が高い人の方が収入が多く、体と心の健康値も高かったのです。
「俺、集中力無いわ…負け組納得…」
いえ、大丈夫です。集中力は改善出来るものなのです。
この本では「獣と調教師」になぞらえて、「朝を与える」「報酬の予感」「儀式を行う」「物語を編む」「自己を観る」「諦めて休む」の章立て解説されてます。
獣は本能、調教師は理性みたいな感じです。
天使のカツオと悪魔のカツオでも一緒です。
脳科学で「仕事しないとだけど、飲みに行きたい」の葛藤を例に考えます。
「仕事をしよう」と調教師の前頭前皮質が主張する横で、「飲みに行こうぜー」と駄々続けるのが獣の辺縁系です。
作業のスタートラインにすら立てない状態で必要なのは、「自己効力感」と「モチベーション管理能力」の2つです。
自己効力感とは「自分は出来る」と思える心理状態のことです。
ここをクリアすると次に「注意の持続力」が問題になります。
注意の持続力は成人でたったの20分です。これを伸ばすのは難しいので、脳を効率的に使うスキルが必要になります。
そうか、20分で集中力が切れるのは普通なんやな。
そして最大の敵が、「誘惑」です。
こうやってブログを書いてても、「そういえばナララク、この前のお店まだ書いてなかった」と無関係な連想を始めてしまいます。
そして「次はどこ行こうかな」と思い立ち検索とか始めて暴走し始めます。集中力の崩壊です。
ここで必要なのは「セルフコントロール能力」です。
つまり、集中力とはいくつもの能力が絡み合ったものなのです。
獣の特徴
獣は単純だが、超絶パワーを発揮する
獣(本能、辺縁系)の特徴はズバリ
- 難しいものが嫌い
- あらゆる刺激に反応する
- パワーが強い
難しいものが嫌いとは?
難しいのを嫌うのは、エネルギーの浪費を防ぐ為です。
はるか昔の原始時代、生き残る為のエネルギーを節約する為に、脳がカロリーを使うような難しいものを反射的に遠ざけるように進化したのです。
なのに現代の仕事は複雑なものばかり。集中できるはずもありません。
あらゆる刺激に反応するというのは?
脳が1秒間に受け取る情報は1100万件以上です。
集中している間はいいのですが、ふとした瞬間に無意識下の獣の注意を引きます。その後の獣の反応は予想できません。ここから集中し直すのはかなり大変なのです。
なぜこんな事になるのか。実は獣は情報の並列処理がめっちゃ得意なんです。この獣のデータ処理力で人間は生きていけるのです。
人に会った時。顔認識、音声認識などから誰か判断。すぐさま過去の記憶を検索。そしてどう反応するか即座に決める。
素晴らしい能力なんですが、集中力にとっては厄介です。
原始時代に最適化されたので、食べ物、エロ、暴力など肉体的な刺激に優先して反応するのです。
集中してても、これらを脳が認識した瞬間もうダメです。
そしてパワーが強い。
人類の歴史600万年間の中で、ホモサピエンスが思考を獲得したのは20万年前。
つまり人類史の96.7%は獣のコントロール下で生きていたのです。
そんな獣にいったん脳が支配されれば、私たちは何もできません。
調教師の特徴
調教師の特徴は、ほとんど獣の真逆です。
- 論理的を武器に使う
- エネルギー消費量が多い
- パワーが弱い
論理的とは。
勉強してる時に、獣が「ケーキを発見したぞ!」と指示を出して集中力は崩壊寸前。
そんな時に調教師は「いや、ここで集中しないとテストやばいって!」と暴走を食い止めようとします。
しかし、獣の並列処理パワーの前では、調教師は不利なんです。なんと調教師は直列処理しか出来ないんです。
勉強する→ケーキ発見→食べたらどうなる?→テストやばい、と順序立ててしか考えれません。
獣は逆に複数のデータを相互で繋げられないので、非合理な行動をとってしまうのです。
調教師のエネルギーは、ワーキングメモリに大きく依存します。
ワーキングメモリは脳の短期的な記憶機能です。
ワーキングメモリは容量が少ないので、調教師は制約の中で情報処理を行わなければなりません。
調教師は3つ以上の情報を処理出来ないのです。
ここまてでわかるのは
- 調教師は獣に勝てない
- 集中が得意な人など存在しない
- 獣を導けば大きなパワーが得られる
ということです。
獣の飼い方マニュアル
荒くれ者の獣を手懐ければ強力な見方に!
獣の力を引き出すにはどうすればいいのでしょう?
原始時代の中で進化した獣は、「すぐに手に入りそうな報酬にこそ全力を出すべし」と反応するプログラムが備わっています。
つまり「報酬の予感」を自己の管理下に置けるかどうかがカギです。基本的には、
- 役に立つ「報酬の予感」を増やす
- 役に立たない「報酬の予感」を減らす
とシンプルな戦略になります。
あなたのゴールの達成に役立つ報酬だけ取り込むのです。なんやかんやでこの方法が成功への道になります。
役に立つ報酬
当然ですが、「なんでこんな事やってんの?」とふと疑問に思う「不毛タスク」だと、集中のエネルギーは湧かないですよね。
一般的に「やりがい」と言われるものです。
そして難易度。ゲームは1面をクリアするごとに徐々に難しくなっていきますよね。
あれが集中力のカギです。難しすぎず、簡単すぎず。
この点を踏まえて鈴木さんが開発されたのが「報酬感覚プランニング」です。
基本設定は5ステップで考えていきます。それを1枚のシートにまとめます。
報酬感覚プランニングをやってみよう
1.ターゲット
どうしても集中力が続かない作業の中から、自分にとって最も重要なものを書き込みます。
「やらなと思いながらも、放置している…」みたいな課題です。
2.重要度チェック
その目標を達成しなければならない理由を考えて、最も大事なものを一つだけ書き込みます。
これは心理療法で「価値ベースのゴール設定」と呼ばれるやり方です。
ここで改めて不毛タスクの悪影響を和らげます。
3.具象イメージング
ステップ1で選んだ目標をより具体的に変換します。できるだけ脳内で映像化できるように。
ブログを書くという目標→ブログをアップしたら、ちょっと散歩してカフェで一休みするというイメージ
このステップは「獣は抽象を理解できない」という弱点を補うものです。ポイントは2つあります。
専門用語は使わない。数字は使わない。
4.リバースプランニング
目標達成までのサブゴールと期日を設定します。未来に向かって計画を立てるのではなく、最終の目標イメージから現在にさかのぼる形で決めます。
毎日のランニング→3ヶ月で100km→1ヶ月で25km→14日後までに10km
最終目標までに3〜5のサブゴールを作ってください。
5.デイリータスク設定
リバースプランニングで決めたサブゴールの中から、最も締め切りが近いものを達成する為に毎日やることを考えます。
ゴールまでの作業を細かく分けるのがタスク管理の基本です。数分から1時間ぐらいで分けてください。
次は「報酬感覚プランニング」実践編です
こちらも5ステップです。
1.デイリータスク選択
基本設定で考えたデイリータスクの中から「その日のうちに手をつけないといけないもの」「最長でも2〜3時間で終わるもの」に絞り、3〜5個ほどピックアップします。
調教師は3つ以上の情報を処理できないからです。もっとやる事があっても時間が余ったら足すのが無難です。
2.障害コントラスト
選んだデイリータスクを達成する前に、発生しそうなトラブルを書き出します。
つい動画を見てしまう、疲れるとやる気が出ない、など。
これは「心理対比」と呼ばれる技法です。この効果は絶大で、ゴール達成率が200%以上上昇するんです。
獣は「脳内のイメージと現実を区別するのが苦手」だからです。
目標達成だけをイメージすると獣は「目標達成したんだな」と満足してしまいます。
そこでトラブル発生もイメージして「いや、まだゴールにはついてないんか」と認識させなす。それによりゴールに向かうやる気が復活するのです。
ポジティブ思考は必ずネガティブ思考とセットにしてください。
3.障害フィックス
想定した障害に対して、取れそうな対策を書き込みます。
スマホを触ってしまうなら、電源を落としておく。
獣はものごとが順調に進む状態が大好物です。
細かい達成感を次々と味わえないと、急にやる気を失います。
獣のやる気を保つにはトラブルの発生を想定しておく必要があるものの、それがいざ現実になったら、今度は獣がヘソを曲げる可能性があるのです。
これを防ぐにはトラブルの予想と対策をセットで考えておく必要があります。めっちゃ面倒ですが、諦めて下さい。
獣を味方に手懐けるには、それだけの手間が必要なんですって。
4.質問型アクション
最初のステップで選んだデイリータスクについて、それぞれ「質問型アクション」を設定します。
「質問型アクション」には自分の名前、時間、場所、デイリータスクを盛り込みます。
(自分の氏名)は、今日8時に公園で2kmのランニングをするか?
これは「問いかけ行動効果」と呼ばれる心理現象に基づいてます。
「〇〇やるぞー!」のような宣言文より質問文の方が獣への影響力が強いのです。これはトップクラスの研究結果の数値が出たそうです。
僕はこれをリマインダーに入れてます。
「(僕の名前)は今22時から手帳を広げてバレットジャーナルをするのか?」
この文章が画面に表示されると結構くるものがあるので、是非やってみて下さい!
この「報酬感覚プランニング」は非常に効果的なので、是非とも詳しく書かれた本にて確認して下さいね。
「ヤバい集中力」を読んでやってみた
儀式をやってみた
「マイ儀式」というパワーワード。
ゴルフのパットの前にボールにキスすると成功率が38%アップしたとか、認知テストの前に指を10回鳴らすと成績が21%アップしたなどの実験結果が複数あります。
なぜ「儀式」は人間のセルフコントロールや認知機能を高める効果があるの??
これも原始時代に遡ります。不確実な要素が多い原始時代、生き残るのに重要なのは「反復」でした。
抽象を嫌う獣は「反復」を具象のサインと捉えて、「反復」に強く反応するセンサーが備わったのです。
これは使わない手はありませんよー!
獣はどんなに無意味な儀式にも反応します。
朝、毎日ブログを書くのですが、書く前に水を3口飲むようにしました。
朝水を飲むのは健康にも良いし、一石二鳥です。
イラストを描く前にはiPadの画面を綺麗に磨く、もやってます。
これで僕の獣は「おりゃー!やるぞ」となるわけです。
テストの前には筆記用具をきれいに並べる、とかも良さそう。
儀式とは厳格さと反復です。この動作をしたら大事な作業に取り組むと決める、決めた手順を何度も繰り返す。
儀式効果は週4回2ヶ月で完全に身につくそうです。逆に6週間続けないと元に戻るそうですよ。
そして、正しい儀式の作り方その2。
なんらかのデータを記録する。
これはドーパミンが影響しています。記録という簡単な作業は獣に手頃な達成感を与えるのです。
続けていくうちに、獣は「これはとても大切な作業なんだな」と思い始めます。
更に続けるとなんと獣は「こんな大切な作業をずっと続けたのだから、自分には高い能力があるに違いない」という感覚が育つのです。
重要なポイントがあります。
行動を変えたい時には、自分がとった行動だけを記録する
結果を出したい時は、結果の過程だけを記録する
ここを間違えると、効果は激減するそうです。危ない。
いやあ、この本はほんと面白いです。
この本には他にもセルフイメージの作り方とか、マインドフルネスとかの非常に有用なお話がてんこ盛りです。
是非読んでやってみて下さい。
著書名 ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45
著者 鈴木裕
出版社 SBクリエイティブ