オンライン企業の多くがオフラインにも進出しています。これをただ単に販路を広げているだけだと思ったら間違いです。
彼らは購買体験を改革し始めているのです。顧客の時間に寄り添い、チャネルを連携させることで「顧客とのつながり」を作っています。
そんなチャネルマーケティングを勉強しましょう!
「世界最先端のマーケティング」オフラインとオンラインの融合で購買体験をデザイン!
新しい購買体験は一度経験するとやめられない!
この本を読むと得られるもの
- チャネルシフト戦略について学べます
- 実店舗至上主義では、新しい購買体験に飲み込まれる事を認識できます
- 様々な企業のチャネルシフトについて研究出来ます
最近では、Amazonは実店舗にも力を入れて入れています。
「オフラインにも販路を広げたかー」
そんな認識では甘いです。甘すぎです。
Amazonの狙いは販路ではありません。
ネットとリアルを融合させたチャネルを通して、顧客の行動データを掴むことです。
それを使って、販促や価格、商品の全てを「顧客ごと」に最適化するのです。
…話が壮大すぎへん?
アマゾンはすでに購入履歴などからおすすめを案内するという販促は実現しています。
次に狙うは、繋がりによる「価格破壊」と「商品開発」です。
アマゾンはオフラインでもプライム価格を導入しています。
プライベートブランドの展開も加速しています。
アマゾンは、チャネルを起点にマーケティング要素自体を他社が模倣できないものに変革しようとしているのです。
すなわち、「チャネルシフト戦略」とは、
- オンラインを基点としてオフラインに進出し、
- 顧客とのつながりを創り出し、
- マーケティング自体を変革しようとする
戦い方なのです。
このような動きを取り入れるなら、単にオンライン店舗とオフライン店舗を作りました!だけでは不十分です。
「販売の場」ではなく、「お客様とのつながりを作る場」へと変えなければいけません。
実際多くの店舗が急いで取り組んでます。
リアル店舗で商品を選び、オンラインストアで購入する仕組みを作ったニトリ。
自宅にメガネのサンプルを送り、気に入ったものをオンラインで購入するワービー・パーカー。
これらの企業はチャネルを変え、顧客とのつながりを強固にしています。
著者の奥谷さんは前職の良品計画にて、無印良品のネット店舗の展開をされ、現職のオイシックスでは、チャネル改革を進めてこられました。
もうひとりの著者岩井さんも、広告会社でチャネルを起点とした事業改革を多数支援されてます。
そこの経験から、従来のオフライン企業に共通して足りない部分が見えてきたそうです。
- オンライン企業によるオフライン市場への進出というトレンドを軽視している
- 顧客とのつながり強化という狙いを看過している
- マーケティング要素自体の変革という彼らの真意を察知していない
つまり、チャネル変革をオペレーションの課題と捉えてて、これからの競争に向けた経営戦略の課題とは考えていないのです。
そこでこの本では、チャネルシフトとはなんぞや?について実践的に解説して下さります。
「何をすべきか?」を考えるヒントになること間違いなし。
- アマゾンの脅威
- チャネルシフトの最前線
- 店舗至上主義の限界
- 購買体験をデザインする
- 無印良品のつながり
- つながりがマーケティングを変える
の項目にて解説されています。
ここでは、購買体験のデザインとは?について要約します。
本には様々な企業の具体例が盛り沢山です。
是非本で確認して、実践に取り入れて下さいね。
購買体験をデザインしよう
オフラインとオンラインと言っても、ただ単に移行させるだけでは価値はありません。
顧客の視点に立ち、提供する購買体験を思い描き、その実現に自社が強みを持つチャネルを組み合わせるのです。
そんな体験が作れたら、間違いなくお客様との繋がりを強める事が出来そうですよね。
その為には、まずオムニチャネル化する顧客を捉えないといけません。
その要点は3つ。
- 時間
- 空間
- 連携
です。
顧客時間に寄り添う
ひとつめの要点は「時間」です。
買い物における時間とは、選択→購入→使用です。
この一連の流れを「顧客時間」と呼びます。
これまでの販売では、「購入」という瞬間を最も重視していました。
しかし、チャネルの主導権は顧客に移ってきていることを認識しなければいけません。
顧客の買い物行動全体で見ると、購入はゴールではなく通過点に過ぎないのです。
なので、購入という「点」だけみても、繋がりを築くことは出来ません。
その前後の連なりの中にこそ、マーケティングの重要性があります。
企業からすれば、顧客のたどる買い物行動全てに関われる事が理想です。
モバイルの登場により、店舗ロケーションという制約は無くなりました。
顧客の来店を待たなくても、小売業者は積極的に購買意思決定プロセスに介入する事が可能になったのです。
特に使用段階に関わるチャネルを持つことは、顧客維持と育成において重要です。
お客様とブランドとの関わりは、購入ではなく使用段階において最も深まるからです。
これからのチャネル設計では、使用段階まで顧客と関わるチャネルを持ち、魅力ある一連の購買行動をデザインする事が大切です。
「空間の壁」を超える
空間とは、そのチャネルの所在がオンラインかオフラインかです。
お客様は、オンラインかオフラインかを選択して買い物するのではなく、行ったり来たりしながら買い物をします。
何か初めてのものを買い物する時に、何の情報も持たずに店舗に行って購入する人はもはやいません。
みんなネットで情報を検索するはずです。
そのままオンラインで購入するかもですし、店舗で購入するかもしれません。
重要なのは、自社のチャネルを有効に活用して、顧客とのつながりを作ることです。
オンラインに強みがあるなら、既存のオフラインに存在するチャネルを見直します。
そこでオンラインのチャネルへの投資に振り替えることもありえます。
パンフレットやチラシではなく、何か別のオンラインのチャネルに変更できれば、お客様が何を求めているかという選択段階の行動を知るヒントになります。
直接な問い合わせだけでなく、オンラインでのレビューなどもわかれば、使用段階での率直な評価を知ることも出来ますよね。
チャネルを連携させる
顧客体験を軸とした個々のチャネルの連携は、チャネル設計において最も重要です。
寄り添って、空間にチャネルを配置して終わりではありません。
それらが一体となって、どんなワクワクする「購買体験」をもたらすかなのです。
そこにはストーリーとして描き出す事が求められます。
もちろんストーリーの主役はお客様です。
「良い体験」は主人公を取り巻く時間の経過と空間によって、形作られるという考え方です。
そしてストーリーを描くのは企業です。
最も重要なのは、顧客の周りにいくつものタッチポイントを作るだけでなく、チャネルからチャネルへと移動する時にシームレスな経験を提供することです。
ウェブルーミングとか、ショールミングという言葉も聞きますよね。
オンラインで商品購入前の情報探索を行うのがウェブルーミング。
その逆でオフライン店舗で使用収集を行い、スマホからオンラインで購入したするのがショールミング。
こうしたモバイル端末を中心とした買い物行動を時間軸で把握して、ポジティブな購買体験を提供しましょうってことなのです。
ボストン大学とフローニンゲン大学の研究では、複数存在するビジネス機能や、怪物パートナー機能を統合して管理する必要性を提唱しています。
その論文では、顧客経験を
- 「ブランド・オウンド」
- 「パートナー・オウンド」
- 「カスタマーオウンド」
- 「ソーシャル/外部」
という4つのタッチポイントで管理すべきであるとしています。
「ブランド・オウンド」は、企業のコントロールぇ管理と提供される場です。
小売業でいえば、店舗やウェブサイト、広告などがあげられます。
パートナー・オウンドは、企業とそのパートナーによって共同で管理される、顧客との相互作用の場です。
メーカーでいえば、小売店、卸業者。アマゾンなどのプラットフォームとの関係性、販売商品、プロモーションなども重要なタッチポイントです。
カスタマー・オウンドとは、企業、パートナーが影響を与えたり、制御できない顧客の行動が該当します。
口コミや独自のファンクラブ形成などです。
このようなコミュニティに企業がどう関与するのか、そこで何が語られてるのかを把握するのも大切です。
ソーシャル/外部は、顧客経験において重要な役割を持ちます。
顧客は他の顧客や他の情報源、環境など他のタッチポイントに取り囲まれてます。
レビューサイトやSNSも顧客に影響を及ぼします。
今はマーケティング・コミュニケーションよりも友達や家族、TwitterのフォローやFacebookのファンが信頼される時代です。
企業のコントロールの効かないこれらのタッチポイントでも、いかにして関係性を高めるかも検討する必要があります。
「世界最先端のマーケティング」を読んでやってみた
チャネル戦略を考えよう
実践してみたこと
- 自店にチャネル戦略を取り入れてみよう
もしチャネル是非を取り入れたお店をするなら、どんなアイデアがあるかなあ。
来店前の購買体験としては、
- 来店前に席を確保できる
- オーダーを済ませておいて、すぐに受け取る事が出来る
- コロナで入店制限があるお店だと、入店の予約が出来る
- 会員制で自分にあったサービスが受けれる
- 自宅に商品が届き、要らないものは全部返送して、残った分だけ購入する
購入の時の購買体験は、
- 無いサイズや別の色をその場でオーダー出来る
- 支払いは自動的に終了している
- 家に試着品が届く
- 別の店で買った履歴も残っていてサービスに反映されている
- 店で選んで自宅に届く
- QRコードでアプリが起動できる
購入後の購買体験としては、
- 同じ商品ユーザーのコミュニティに参加できる
- 使用した情報から新たな価値が提供される
- SNSでネタとなるような発信機能(成績がアップされるなど)
- キャンペーンの告知
- 次回にサービスのグレードがアップする
みたいな感じです。
まだまだアイデアはあるだろうし、本には他にも沢山のアイデアが紹介されています。
中には選択→購入→評価の流れすらも変える画期的なものもありました。
是非本で確認して下さいね。
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