前著「しょぼい起業」は読者を後戻りのできない道へ追い込んでしまったのではないか…?
そう思った「えらいてんちょう」さんはしょぼい起業からふつうの起業への道のりを考えます。
たくさんのしょぼい起業を応援してきた中で集まった成功例と失敗例を分析すると、成功する為のロードマップが見えてきたのです。
多くの事例はドキドキしながら読めるストーリーが満載です。
「しょぼい起業で生きていく 持続発展編」しっかり稼いで豊かに暮らそう。でも危険は冒したくない!
「しょぼい起業」の先の豊かに文化的に生きていく方法
この本を読むと得られるもの
- 「しょぼい起業」から「ふつうの起業」へのロードマップが示されています
- 多くの「しょぼい起業」の事例が学べます
- 「しょぼい起業」を実現する為の法知識なども多数紹介されています
前作にあたる「しょぼい起業」に、実は結構影響を受けているんです。
前作では「店に住む」という方法を紹介されていたのですが、僕もまさにこの本を読んで、観光地である奈良の古民家を借りて住み始めたのです。
一階をお店にするべく現在内装とかやってます。
結構どころかめっちゃ影響受けてるやん!
なんかめっちゃ面白そうに思えたんですよね。やってみたい!となってしまいました。
そんな「しょぼい起業」ですが、これは短距離走みたいなもので、いつまでも続けられるものではないそうです。
長い人生を生き抜くには、長距離走スタイルにいつか変えることが絶対に必要なんてすって。
それこそが「人生を豊かに、文化的に生きていく方法」なんです。
しょぼい起業には、ハイリスクな借金はもちろん、特別な才能や並外れた努力も必要ありません。
ちょっとした想像力と勇気があれば、自分たち事業を興してやっていくのはそんなに難しくないんですって。
よし、やってみよう!
この本では、
- 「とにかく生きる」から「豊かに生きる」へ
- 運や才能に頼らない、王道の「カレー的」商売をやっていく
- あなたならどうする?しょぼい起業の失敗から学ぶ
- 北の国から立ち上がる「しょぼい学生起業家」不謹慎マンの野望
- しょぼい起業の祖・難民社長が示す「ふつうの起業家」への道
の項目で、しょぼい起業の理想と現実について解説されています。
タイトルからちょっとした恐怖も感じています。
「このままの人生だとちょっと嫌だなあ」と思った時に読むと何か心の中がざわざわとする本です。
なにも家を店にしろ!ってことではありません。
自分の力で稼ぐ楽しさが分かると思います。
「しょぼい起業」の後はどうだったのか
前著「しょぼい起業で生きていく」では、「生活の資本化」をして「人生の損益分岐点を下げよう」というコンセプトでやってみようという話でした。
「店を借りる時に自宅を別にすると家賃が二重払いになるから住んでしまおう」
「通勤の中で売り物の配達をしよう」
「店で作った料理を自分の食事にしよう」
というものです。
だがしかし。
もちろん問題点もあります。
僕の友達もお店兼住居でやってる人がいるのですが、営業時間外でも人の気配がすると店を開けてしまうし、なかなか落ち着かない。
お店が繁盛しだすと、住居空間が倉庫になってしまう。
そんな悩みも聞きました。
では、「繁盛したし別でマンションを借りるか!」順調ですね。
でも、そこから発展もなく、ワクワクすることもない日々が続くとしたら、ちょっと夢も持てません。
生活がどんどん豊かになっていく実感や希望がある限り、多少不自由な生活が続いても頑張れます。
でも、将来に「どうもこの先には、そんな未来はなさそうだ」と感じた途端、気持ちは萎えて現状維持も難しくなります。
さらに言えば、年をとっていき、この前まで出来てたことも出来なくなっていきます。
「しょぼい起業はかえって、後戻りできない世界に追い込んでしまうかもしれない」
前著を出した時に、えらいてんちょうはふとそう思ったそうです。
「しょぼい起業」で成功した人も失敗したした人も、いろんな話がえらいてんちようさんの元には集まってきます。
まだまだ手探りだけど、しょぼい起業を始めた後、どのような方向に進んでいくべきか見えてきました。
「しょぼい起業で立ち上げた事業を長く続けて、普通の起業に負けないくらい儲ける」ためのヒントです。
しょぼい起業は実際には儲かります。
一度事業が回転し始めると、時間も経済面でも余裕ができるので、旅行とかはもちろん、他の事業の種をまいたり、勉強する時間もとれるようになります。
「老後の備え」にiDeCoやNISAもひとつの手段です。
しかし「しょぼい起業」という、自分で事業を創り出して経済を発展させるスキルは元本割れもなく、減ることもない「一生モノのスキル」です。
こちらを視野に入れるのもアリというか、やるべきです。
本業をしながらでも十分出来ます。
そもそも誰でも成功するメソッドなど、この世に存在しません。
しかし、はっきりしていることもあります。
それは「自分で経営して失敗したことは、次のチャレンジの成功確率を飛躍的に高める」ということです。
自分のなにが向いていなかったのかがわかるので、次はそれ以外の方法を試せばいいわけです。
ここで「しょぼい起業」の強みが活きてきます。
費用を最小限に抑えているので、失敗した時のダメージが最小限で済むのです。
ダメージが少ないから次のチャレンジも出来て、そのうち成功するから、今の生活がとくにしんどくない人にもオススメなんです。
世の中の企業もピポットは当たり前に起きています。
元手を掛けなければ、伸びない商売に見切りをつけて同じ場所で別のことをすればいいのです。
失敗したら撤退ではなく、成功するまでしぶとく続けやすいのです。
生存戦略としても、成長戦略としても、「しょぼい起業」は優れているのです。
カレー屋さんとシャンパン屋さん
シャンパンに憧れるのはわかる
世の中の商売は2種類しかありません。
カレーを売るか、シャンパンを売るかです。
もちろんこれは比喩でして、世の中の商売の基本形は、カレーならカレーという、ある決まった商品やサービスを作って提供するものです。
一方、ホストクラブでお客さんにシャンパンを入れてもらうのは、シャンパンそのものではなくホストの魅力にお金を払ってもらう為の仕組みです。
つまり商売とは、「商品をつくり提供する」ものか「芸をする」ものに分かれているということです。
カレーとシャンパンの間には、中間的な商売があり、また同じ商売でもスタイルが違えば、どちら寄り位置するかも変わってきます。
しかし、多くの人が興味を示しがちなシャンパン的商売は経済のメインストリームではなく、成功への道は狭く厳しいです。
僕が働いているお店の前には、ケーブルテレビの視聴モニターがたくさん並んでいます。
それぞれのチャンネルでは、歌ったり踊ったり、劇をしたりスポーツをしたり。
非常に華やかで、やってる人たちも嫌々やっているような人はいません。めっちゃ楽しそうです。
かたやこちらは地味に販売業。あちら側の世界に憧れてしまうのです。
でも、えらいてんちょうは断言されます。
純粋なシャンパン的商売に適性がある人は、ごく限られています。
誰かをまねて成功するのは難しく、そもそも誰もが目指すものではありません。
加えて、今回のコロナ禍でわかったこともあります。
シャンパン的商売は脆弱な基盤の上に成り立つ「平和産業」であるということです。
移動制限や自粛ムードもなく、対面接触に何のためらいもなかったからこそ心置きなく娯楽を享受出来ました。
今後しばらくはそうした前提が成り立たない、「有事」が続くと思われます。
非日常の体験をウリにする繁華街が大打撃を受けたのに比べ、生活密着型の業種はご近所のニーズに支えられて比較的浅い傷で済んでいます。
これは今後のしょぼい起業で生存確率を上げるためには何が大切かを享受してくれています。
王道のカレー商売ってどんなの?
ここで本では、「しょぼい起業」メソッドを取り入れた商売の実例が多数紹介されています。
40万円という破格の投資額で開業したラーメン屋さん。
YouTubeで修行したパン屋さん。
ガスなしスケルトン物件で開業した飲み屋さん。
成功しているしょぼい起業にはいくつもポイントがあります。
- 月家賃10万円以下の小規模飲食店は、まず赤字にならない
- 嫌々仕事を続けるより、好きなことで大変な思いをする方が幸せ
- 相場を信じない。小さく始めれば、しょぼい設備でも専門店の味がだせる
- 独立しても孤立してはいけない。悩みを共有できる仲間が大切
- YouTubeを見て3ヶ月も練習すれば、未経験からでもプロレベルのものが出せる
- 実店舗を開くと、信用と地域からの応援が得られる
- その土地で受け入れられる店をつくる
- しょぼい起業は「食っていける文化活動」である
- 居抜き物件でなくても飲食店は開ける
- 営業許可は怖くない
- 商売した経験が財産となる
他にも学ぶべきことはたくさんありました。
そこは本で読んでくださいね。
「しょぼい起業で生きていく 持続発展編」を読んでやってみた
実践してみたこと
- 安売りはしてはいけない
しょぼく始めると、人間の心理なのか僕の自信の無さなのか、どうしても値段は下げがちになります。
一般的に安売りは良いことのようにも思われています。
しかし実際に安売りが許されるのは、スケールメリットを出せる大資本が、企業努力をした場合のみです。
究極の零細事業主が安売りを選ぶのは、自殺行為です。
高く売れる価値を探さない怠慢行為なんです。
確かに。安く売っておけばとりあえず満足してもらえるだろうという考えが怠慢でした。
しょぼい起業の事例でも「缶ビールをそのまま出す時間無制限500円の居酒屋」は失敗だったそうです。
「ただ出すだけなのに高い」と絡んでくる面倒な客が居座るようになったのです。
無制限なので回転も上がらず、店内の雰囲気も最悪。
とりあえず安売りだけは選んではいけないですね。
絶対他に良い方法がありますし、メンタルが保てません。
前著もかなり面白かったのですが、今回は事例も多くそのストーリーにドキドキしながら読み進めていました。
なんだか素敵に思える「しょぼい起業」も、もちろん熱い思いがないと続けられるものではありませんでした。
マナブところの多い一冊でした。名著です。
とりあえずこの本を読んでやってみよう、な!
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しょぼい起業だけでなく、週末起業も選択肢に入れると人生が豊かになる気がします。
会社員として働きながら、自分のビジネスもやりたい人向けです。
著書名 しょぼい起業で生きていく 持続発展編
著者 えらいてんちょう
出版社 イースト・プレス