ネット店舗にはない体験と興奮を!店舗はメディアへと進化します「小売再生」
買い物の興奮はコカイン以上なんです
この本を読むと得られるもの
アマゾンの登場で小売業界はどう変化するのかわかります。
今後の実店舗は何を差別化にしていくのかがわかります。
店舗をメディアにするという考え方を学べます。
現代の経済を動かしている2つの力。それは、
「コモディティ化」と「体験経済」です。
モノやサービスがありふれたものになり、ネットで誰でも簡単に買えるようになるコモディティ化。
モノやサービスだけで満足する時代は終わり、体験、それも個人の趣味嗜好に沿うイベントを求める体験経済。
テーマパークやアクティビティだけでなく、小売店や飲食店でも体験型が増えて、経済の仕組み自体に「体験経済化」という変化が現れました。
「モノやサービスが安く買えるのは嬉しい!」という消費者の気持ちと、同時に「貴重な時間は自分にとって本当に価値のある体験な使いたい!」という気持ちです。
こうした時代の流れの中で、小売は革新的な体感を創り出すか、コモディティ化を突き進むかの厳しい二択を迫られるのです。
コモディティ化は超薄利多売の厳しい競争になるのは間違いない…。
そうなるともう一択ですやん。
この本の著者ダグは、未来のお店のあるべき姿として、「店はメディアである」と主張しています。
小売店は、お客様が貴重な時間を割いてでも足を運びたいと思うような、じっくりと楽しめ最終的に商品を買いたいと思うような体験を用意するのが最善策なのです。
その為には
- 消費者を惹きつけること
- 独自性があること
- 個々の消費者の趣味嗜好を反映できること
- 驚きがあること
- 繰り返し楽しめること
の5つが必要としています。
うんうん、なんかわかってきましたよ。
この本では、
小売はもう死んでいる
メディアが店舗になった
店舗がメディアになる
小売再生戦略
の項目で、これからの小売が店舗内の体験をデジタル技術を使って充実させる方法を教えてくれます。
ここでは、ショッピングの楽しさの秘密、どうしたら実店舗は魅力的になるのか、について掘り下げます。
かなり濃密な本なので、是非本で読むのをオススメします。
ショッピングはなぜ楽しいの?
石炭、馬車、レコード、ガラケー…etc。
これまで多くの産業が技術の発展でゴソッと入れ替わってきました。
そしてとうとう、1800年中期から始まった、小売業が「商品を仕入れ、消費者に売る」という仕組みにもとうとう変化の時が来たのです。
技術によりバーチャルな世界で没入感のある買い物が今後可能になります。
VRを使えば、いつでもどこの店にも行くことが出来ます。
ARを使えば、自分のいる環境が本物そっくりの店舗に変わります。
AIのアシスタントに話しかければ、なんでも面倒を見てくれます。
技術は実際のショッピングという体験を凌駕するのでしょうか?
そんな事はありません。
逆に、技術が暮らしに入り込むにつれ、現実の店舗で買い物を楽しむ事の価値が高まり、楽しい経験となるのです。
ネットでの通販は、今のところ嗜好を広げるところまではいってませんよね。
未だに衣装ケースを買ったら、オススメに衣装ケースが出てくるのです。そんなにいらねえ。
それでも、これまでの無差別広告に比べれば自分に寄り添ってくれてます。
しかし、完璧なデータになるほど、知らなかった商品との出会いがもたらす楽しさは薄れて、ショッピングは作業になってしまうのです。
ショッピングの楽しさは、妥当性と偶発性の絶妙なバランスの上に成り立ちます。
実店舗はこうした楽しさを提供する場であるべきなのです。
サマーセールや年始の初売りのあの興奮も、「何かありそうだ」という興奮やワクワク感です。
人混み、興奮、喧騒には中毒性があるんです。
アップルはこの点に長けてて、
「オンラインショッピングの欠点は、迫力がなく孤立感を抱かせやすい点にある。
このような環境では顧客は、オンラインショッピングに前向きな気持ちを抱きにくく、最終的な消費額は実店舗での買い物客を下回りやすい」
とアップルストアについて言ってます。
ドーパミンとショッピングの関係
驚く事に、楽しいショッピング体験には、コカインの使用時に匹敵するドーパミンの量を分泌させる力があるんですって。
サルを使った実験があるんです。
作業を開始する時にライトが点き、サルに作業を促します。
サルが作業を終えるとご褒美が与えられる、というものです。
この実験だと、ご褒美が貰えるときにドーパミンが最高潮になると思いますよね。
実際には、ライトの点灯時に一気に上昇したのです。
つまり、脳内で最もドーパミンが放出されるのは、ご褒美そのものではなく、ご褒美への「期待」だったのです。
しかも面白いのが、ご褒美が毎回100%貰えると、ドーパミンは平均的になりました。
しかし100%未満になると、ドーパミンが上昇したのです。50%が最高レベルでした。
この事から、ギャンブル、出会い、社員報酬制度などにおける興奮の仕組みの説明がつきます。ショッピングでも同じ流れですね。
買い物のドーパミンは、探し求めていたものが手に入ると期待できる時に最高レベルに達し、入手できないリスクがあるとわかっている時は、さらにドーパミンが増えるのです。
なんか秘密がわかってきましたよ!
なんでも簡単にみつかるアマゾンはドーパミン放出量が少ない体験となり、やがて満足度が低下するようになります。
それこそ、小売業の追い風となるんですね!
商品の品揃えを徹底的に考え抜くことで、ドーパミン量を増やしていくのです。
一貫性と信頼性を大事にする一方で、お客様が発見するという偶発性と、買いそびれるかもという不安感を盛り込むという、ギリギリのラインを狙って売るという、まさに秘技。
実店舗にほんのわずかな無秩序感を仕込めば、発見のワクワク感が生まれます。
この確実性と偶然性の絶妙なバランスこそが肝なのです。
Amazonの店舗戦略
そのアマゾンも実店舗に注力しています。
無人のAmazon Goだけでなく、本屋の実店舗も作っているのです。
もちろん本を売る為だけの書店ではありません。
これまでの実店舗とは全く違うアプローチなのです。
アマゾンが出店する実店舗は、担当地域の集配、配送、引き渡しを担う流通ハブとして機能します。
将来アマゾンが次々と実店舗を配置して、ほとんどの商品を注文した翌日に受け取れたらどうでしょう。
コンビニって荷物受け取りの大きさの制限とかあるじゃないですか。
さらに、実店舗はKindleリーダーやエコーのショールームとしても機能します。
実際に触って体験できると感動は大きいですよね。ブランド認知も高まります。
他のブランドの調査でも、町に出店する度に、その地域での認知度や売上がオンラインだけの場合と比べたら4倍にもなったんですって。
つまり、実店舗=オンライン販売の増加という方程式が成り立つのです。
また、若い世代ほど実店舗の評価が上がる事がわかりました。意外。
これは明らかにミレニアム世代は実際の体験を非常に重視しているということです。
音楽がタダ当然で手に入る時代に、ライブイベントが過去最高の人気を誇っているのも納得です。
全てのデジタル化が進んでいる中で、インターネットから抜け出して、現実世界に「逃避」するという欲求なんです。
「小売再生」を読んでやってみた
どんなお店がいいのだろうと考えてみた
実践してみた3つのこと
- お店にワクワクを取り入れてみた
- 体験について考えてみた
- 実店舗の空きを依頼して探し始めた
そうかー、体験が大切なんですね。
僕も小さいお店をやってたのですが、体験を盛り込むと良かったんやな。
次は古民家を使ったお店をしたいと思っています。これとか体験としては強いですよね。
ワクワクしないと実店舗としての価値は無いのです。
今働いてるお店は…ワクワクはないなあ。
でも、無理やりなワクワク感演出は意味がありません。
技術を無理やり取り入れれば良いというものでもありません。
製品に対して、触れる、試す、感じる、体験するという行為が楽しめないとダメなんです。
僕の中で最強の理想店舗は、ドイツのアウトドア専門店「グローブトロッター」です。
【もはやアウトドアのテーマパーク】ドイツの巨大アウトドアショップに行って発見した6つのこと
出典:CAMPLab
ここ、すごいですよ。
店内でカヌーを体験したり、テントで泊まれたり、大雨が降るケースの中で防水性を試したり出来るんです。
まさにキャンプのテーマパーク。
キャンプが好きな人なら、いつまででも楽しめるお店です。
こんなお店を作りたいなあ。
もちろん規模は全然小さいけど、好きな人が集まって楽しめるお店。
アイデアは膨らみますね!
かなり読み応えのある本です。
ここに書いてみたことなんて、ほんのさわりです。
実店舗だけでなく、オンラインショップに興味がある人も是非読んでみて下さいね。
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これからのお店の作り方がわかります。
著書名 小売再生 ―リアル店舗はメディアになる
著者 ダグ・スティーブンス
出版社 プレジデント社