「300億円赤字」だったマックを六本木のバーの店長がV字回復させた秘密

 

ネガティブをポジティブで吹っ飛ばす!

主人公は商店街でレストランを営む3代目の裕介。

裕介のレストランは今、絶体絶命のピンチなのです。

なんとバイトが書いたお客の悪口のツイートが拡散されてしまったのです。

ツイートは大炎上。お店に人が来なくなった…。

 

そんな時にたまたま立ち寄ったバー。

マスターと話をしていると、そのマスターはマクドナルドのCMOだったのです(現実にバーをされてます)。

CMOとはチーフマーケティングオフィサー。ナンバー3のポジションです。

裕介はマスターでありCMOの足立さんに、マクドナルドの経営再生の話を教えてもらうのです。

 

空気こそブランド

マクドナルドは2014年に鶏肉問題、2015年には異物混入と騒動が連発で、前年比4割近くまで落ち込んでしまった時があったのです。

問題はマクドナルドのハッピーでポジティブな「ブランド資産」が傷ついてしまった事。

ブランド資産とは、そのブランドに対してお客様が持っている知名度や信頼感という無形の価値、つまり「空気」の事を指します。

良いお店って、なんとなくフッと入りたくなる空気あるでしょ?

「なぜ、あの人の周りに人が集まるのか?」は店舗経営の指南書

 

ここで注意は、焦っての客集めの安売りはブランド資産を減らす最たる活動という事。

自分から商品の価値を下げて、しかも効果に持続性がありません。基本的にやってはいけない戦略です。

実はマクドナルドはこの安売り戦略を取り始めた頃から下降線をたどっていたのです。

そこへのとどめで騒動。

 

そこで足立さんは、ネガティブな空気を変えるのはポジティブな情報を大量に発信し、ネガティブな情報を沈める「ラブオーバーヘイト」作戦しかないと考えたのです。

ポジティブなニュースを発信するメリットは3つ。

1.メディアに取り上げてもらう事。目に留まる可能性が上がる。

2.広告よりも安上がり。ニュースだけならタダ。

3.良さは必ず第三者に伝えてもらう。口コミ最強。

 

マクドナルドはハンバーガーを売る店ではダメなのです。

ハンバーガーというモノを売るのではなく、ハンバーガーを食べるコトで得られる体験や面白さを売る商売なのです。

「物を売るバカ」ではなく「物語を売る繁盛店」になろう

 

この本ではマクドナルド復活の為の施策がたくさん出てきます。

このブログでは、その中で情報発信にポイントを絞って書いていこうと思います。

商品政策とか人事の話も面白いんで是非本で確認して下さいね!

 

企画やCMの良し悪しの判断基準は、

話題化出来るか、らしさがあるか、新しさがあるか

です。らしさはマクドナルドらしい美味しさに繋がるかという事です。

迷ったら「らしさ」のみで判断してみましょう。

マクドナルドのアイデア満載戦略!

マクドナルドらしさを楽しく追求

マクドナルドらしい商品として開発されたのが「グランドビッグマック」です。

言わば単なるデカいビッグマックなのですが、「商品は同じでも見せ方を変えて」ヒット商品を作り出すことも出来るのです。

 

例えば、髪を染めるブリーチ剤。

女性向けパッケージに「ブライス」の人形、男性向けにマンガ「クローズ」のキャラを使用して爆発的なヒット商品になった例もあります。

 

「グランドビッグマック」には横綱の白鵬関が採用されました。まさにビッグの象徴。

大きいを強調してSNSで話題になる為に、さらに倍となる「ギガビッグマック」も数量限定で発売されました。

それまでのマクドナルドは、あくまで商品が先にあって、あとからキャンペーンを考えていたのです。

しかしこれは、「話題性」ありきで考えられた初めての商品となりました。

 

SNSでバズるには、商品やキャンペーンが「ある程度」知っておいてもらう必要があると足立さんは考えました。

人がシェアしたくなるのは、周りの3〜7割が知ってそうな情報

シェアしないのは、ほとんど誰も知らない情報と、既にみんなが知ってる情報。

調整難しそう。そんな事できるの?

 

それを可能にするのがPRなんです。

まずリリースをメディアに流して、ニュースに取り上げてもらう。自社メディアでも告知する。

それにより「話題になっているんだな、食べてみよう」と「世間ごと」になり、買う理由が出来るのです。

 

さらに友達がSNSで投稿してたら、共感して「身内ごと」となり、これも買う理由になるんです。

そして最後にマス広告でダメ押しします。

PR→SNS→マス広告の順番で告知していくのが大切なんですね。

最初からCMみたいに自分で自分をアピールしてもスルーされるけど、信頼している人やメディアが褒めていると、信頼度はグッと高まります。

モテクリエイターゆうこす流「共感SNS」を発信して一緒にワクワクしてくれるファンを創ろう!

 

これに続けて、味にこだわった「クラブハウスバーガー」も発売。

ここでは「何年もマクドナルドに来ていない人を集めて、味の感想を聞く」というかなりヤバい企画のCMも話題を呼びました。

なんと一発撮り!中には12年ぶりの人もいたんだって。こわ!

 

デジタルはあくまでマーケティングの一部でしかありません。大切なのは、

誰に、どんなメッセージを、どのくらい、どうやって届けるかの順番で考えること。

「5W1H思考」さえあれば他のビジネスツールはいりません!

 

話題化の鍵はツッコまれる仕掛け

同時くらいに「怪盗ナゲッツ」というキャンペーンも行われました。

これも商品の目新しさではなく、消費者参加型で話題化を図ったものです。

「怪盗ナゲッツ」の目撃情報をツイートしようってものでした。

 

正体不明やけど、黄色いスーツでゲッツ。バレバレ。

そこがツッコミとなって話題性となったのです。

 

裏メニュー」のキャンペーンも、「トッピング」じゃ話題にならないから「裏メニュー」という名前なんです。

広告したらそもそも裏じゃないやん!もツッコミどころです。

写真に撮りたくなるパッケージ、アップしやすい短いネーミングなども大切ですよね。

 

マクドナルド初!レギュラーメニューだけのキャンペーン

これまではレギュラーメニューにひねりを加えたものでしたが、初の試みとして、レギュラー品だけでキャンペーンが行われました。

AKBの総選挙が盛り上がっていたのに合わせて、「あなたの推しバーガーを日本一に」というキャンペーンです。

 

それぞれ「パティが倍になる」などの公約を宣言したレギュラーが投票で戦うのです。

それぞれに応援動画もアップされました。

Twitter用に短い動画も用意したりと、拡散も狙ってます。

Yahooニュースは見出しが13文字なので、名前も「マクドナルド総選挙」の9文字です。

 

そして、ディスカウントは公約にしませんでした。

公約でコストはかかるけど、驚きを与えるほどの値引きよりかは利益も良いのです。

 

まだまだ書きたいおもしろキャンペーン

個人的に好きなキャンペーンが2つあるんです。

 

一つは「マックvsマクド」

マクドナルドの愛称はマックなのか、マクドなのか。

結果は地域的にはマックの方が多いのに、マクドの勝利でした。

マクドが勝つとホームページのカサノバ社長のメッセージを関西弁にしたり、商品名をてりやきマクドバーガーに変えるなど、話題性盛り沢山でした。

 

もう一つが「ベーコンポテトパイ」

ベーコンポテトパイはメニューが無くてしかたなく2年連続で発売されました。

同じ商品を出すとなると、何か変化が欲しい…。

それでアツアツの美味しい物を食べてるネーミングに変えようと、「ヘーホンホヘホハイ」に変えたのです!

なんとベーコンポテトパイをヘーホンホヘホハイに名前を変えただけで2.5倍の売り上げ。

レシートの名前も変更。

パッケージも変更されて、2つ繋げるとハフハフしながら食べてるデザインになったのです。

 

このこだわり。すごいなあ。

ほんまアイデアの宝庫です。

 

「V字回復させた秘密」を読んでやってみた

企画が湧いてくるぞー!

このメソッドで考えると、なんか面白い企画がドンドン、とは言わないまでも、ソコソコ出てきません?

 

楽しんで、楽しませて、お客様が気付くと拡散したくなるような小ネタも入れる。

これぞSNSを駆使したマーケティングですよね。

もう値引きとかやってる場合じゃないです。

時代は参加型です。いまさら?

 

いかに少ない予算で盛り上げるかも大切。

企画書まとめて会社に提出してきますぞー!

 

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著書名 「300億円赤字」だったマックを六本木バーの店長がV字回復させた秘密

著者 足立 光

出版社 WAVE出版