経営は芸術だ!「ディズニーの経営戦略」の秘訣は歴史と物語にのせた舞台の空間作りにあり
夢の国は世界一の収益を誇る遊園地
一人の狂気とも思える天才が作り上げた世界「ディズニーランド」
ウォルト・ディズニーは最初、町を作ろうとしていたらしいですね。
途中でウォルトが亡くなって「こんなん無理やろー」と天才の跡を継ぐ人がなく、その想いは遊園地として花開いたのです。
思想はバッチリ受け継がれています。
だからこそ抜群の収益を誇る遊園地として、30年間も愛され続けているのです。
ちなみにフロリダにはディズニー社がデザインした街があるんですよ!めちゃ素敵なんで検索してみて。
この本では「消費を誘発する戦略」「夢の国の創られ方」「キャスト」「囲い込み」「グッズの販売戦略」「ストーリー性」の項目で解説されています。
このブログでは「夢の国の創られ方」と「囲い込み」について掘り下げようと思います。
それ以外の項目については是非本を読んでみて下さいね。
ディズニーランドの作り方
テーマパークは映画を参考に作られました
テーマパークにおける演出やノウハウは映画産業から来ています。
ディズニーもUSJもそうですよね。
テーマパークと映画は川の流れの関係で、映画が川上、テーマパークが川下になります。
ガンガンに張り切って映画を作り、ヒットすればキャラクターをテーマパークやグッズに使用します。
ウォルト・ディズニーが対象としたのは、人の心にある「スター性」「変身願望」などの欲求です。映画の「見る人」から「参加する人」に仕立て上げるのです。
2次元と3次元では、経験したものが心に刻まれる深さが全然違います。より没頭させる事が出来るのです。
この時点でめっちゃ上手いよね。
五感全てに訴える演出
ウォルトは五感を存分に使った空間作りでアートを集大成させました。
入場するとはるか彼方にシンデレラ城。パーク内の色、形、動きの視覚的なエンターテインメントです。
そしておなじみの音楽。それに加えて効果音。
ウエスタンリバー鉄道、マークウェイン号の汽笛、動物の声。これらが集まって独特の世界観が築き上げられてます。
そしてたまらんポップコーンの匂い。美味しいドリンクを飲みながら味覚も刺激。
そしてミッキーと握手する子供達のキラキラした目。おっさんもキラキラ。これは触覚。
もう素晴らしいね。
ディズニーランドは全体を見渡せないようにしています。完全に理解出来ない意外性を常に演出します。
入り口が一つなのは、「映画を途中から見たらストーリーがわからない」というウォルトの意見。
複数の入り口だと設計が散漫になり、夢心地に出来ませんから。
効率より「ストーリー」なのです。ウォルトは娯楽を点ではなく、線で捉えていたのです。
テーマパークに起承転結のストーリー性。盛り上げて、最終の終わり方を完璧に演出します。
「非日常空間」を演出する方法
お店でも非日常空間を作る事が大切です。いるだけで楽しい。そういうお店は必ずファンが付きます。
ぜひともウォルト先生に教えを乞いたい…!
パークには空間づくりの掟破りの手法がたくさんあります。
エンジングの手法
パーク内では、所々に雨水やサビによる傷みがあります。それはわざとしているのです。
エンジング=経年は映画のセットで使われる技法です。それを駆使すると、作り物も本物らしく見えるのです。
擬似本物
ウォルトは「縮尺」の効果を計算し尽くしてます。
商店の建物は1階は通常建物の5分の8に、2階は4分の8と、上に行くにつれて徐々に縮小しています。これにより風景を心地よくしているのです。
建物からベンチ、ゴミ箱まで全て小道具なのです。
強化遠近法
ゲストがワールドバザールを抜けてシンデレラ城を見ると、すごく遠くに見えます。逆にシンデレラ城からワールドバザールを見ると、近くに感じます。
これは、建物の大きさや道幅を遠くに見えるように、先に行くほど縮めるなどの工夫がされてるのです。
行きは広々と見えて、帰りは近く見えると楽に感じるという事です。
考えてるなあ!
樹木
夢の国へ引き込む為に、外の現実世界を見せない工夫がされてます。
外周を土盛りと植栽で囲み、シャットダウンしているのです。樹木は東京湾からの風を防ぎ、心地よい日陰も作ります。
樹木の数はなんと30万本!敷地の24%が樹木なんです。
地下トンネル
パーク内を搬入トラックが走ってるのって見ないですよね。
これは地下トンネルの中をトラックが走っているのです。地下には3本のトンネルがあります。
テーマパークからテーマリゾートへの進化で囲い込み
東京ディズニーシーが開設されてのテーマリゾート計画
「東京ディズニーリゾート」はアーバンリゾートを提案しています。
遊ぶ、食べる、買い物する、を長期休暇の少ない日本に合わせた「詰め込み型レジャー」がアーバンリゾートです。
人々が限られた空間に出来るだけ長く留めることが、レジャー産業の根幹「囲い込み戦略」です。
その考え方を拡大させたのが、「ディズニーリゾート」の発想です。
テーマリゾートを造る構想は、ランドの成功からすぐ浮上しました。
「第二のテーマパークの誕生、駅前開発、ホテル群、そしてこれらを結ぶ交通システム。
リゾートの目玉はもちろん「東京ディズニーシー」です。
ランドではアルコール類は一切排除されましたが、シーではお酒が飲めます。
これは開設にあたって、オリエンタルランド社は熟年カップルや若い独身層をターゲットにしたマーケティングです。
ファストフードかビュッフェがメインの食事はランドでの不満の一つでした。
このターゲット層の要望に応える形で、お酒が解禁されたのです。
大型テーマパークの隣接ってあり?
一部専門家の間では、隣接するとカニバってさほど入園者数は増えないのでは?との懸念もありました。
しかし、そんな心配は無用でした。しっかり棲み分けできたんですね。
アルコールしかり、食事しかり。
イメージも統一感を持ちながらも、「かわいい」と「カッコいい」の違いでシナジーを生み出したのです。
むしろ運営組織を一体化する事で、運営コスパがよくなりました。
オリエンタルランド社はランドの東橋にありましたが、シーができるとパークの中央になりました。
これにより情報センター、物流センター、セントラルキッチン、リハーサル場、コスチューム保管所、従業員食堂などが使いやすくなりました。
ここには変電所、消防署なども揃っています。これはもう都市やんね。
ホテル、外食施設による囲い込み
ホテルでも「夢の続き」を提供しています。
テーマパーク一体型の「ホテルミラコスタ」です。
古き良き優雅な雰囲気のホテル。客室からは絶景も広がります。
めっちゃ素敵やん!
「ディズニーアンバサダーホテル」は1930年代のアメリカがテーマ。
シンデレラ城が望め、レストランやロビーにはディズニーキャラクターが登場することも。
入園者の4分の1の人がパーク内のホテルに宿泊しています。
飲食施設もすごいですよ!
なんと外食産業ランキングでもディズニーランドは30位になるんです。
園内の飲食店はほとんど自社経営。収益性も高いです。
日本で最も売り上げの高いマクドナルドの店舗で月商1億くらいですが、ランドにあるハンバーガーショップはその数倍の売り上げになります。
もちろん日本一のハンバーガーショップです。
ディズニーのストーリー性はなぜこんなにすごいのか
経営はアートである
「破天荒フェニックス」の田中社長も言ってました。
「成功はアート。失敗はサイエンス」
ストーリーは巧みな導入部から展開して、クライマックス、素敵な結びと、起承転結がしっかりと作られています。
ディズニーランドもそれぞれのアトラクションに、このような「物語」が演出されています。
ディズニーの経営マジックは、「消費する場面の魅力を高めて、消費者についついたくさんの買い物をしてもらう」ことにあります。
マネジメントの本質はサイエンスよりアートに近いかもしれません。このことをウォルトは体現してきました。
「大衆の心の扉をトントンと叩く。そのタイミングを僕らは心得ている。他の連中は知性に訴えようとするが、僕らは感性に訴える事が出来る。
知性に訴えようとしたら、ほんの一握りの人にしかアピールしないよ」
ウォルトの言葉です。
「ディズニーの経営戦略」を読んでやってみた
基本であり至高のサービス精神をインストール
ディズニーランドでのショップはめちゃめちゃ売れています。
あやかりたい。
ディズニーショップは買う買わないに関わらず楽しめるのをコンセプトにされてます。
過剰な接客はしません。呼び込み、セール等もしません。
買い物をする為に訪れてもらうには、わくわくした気分や面白さが期待できる場所でなければならないのです。
自分の店はそうなってるかなー。なってないなー。
ワクワクするお店か。
ディズニーランドは徹底的な掃除も有名です。しかも遊び心まである。
落ち葉のアートは凄いですもんね。
きちんと掃除できてるかなー。出来てないなー。
もう反省点だらけです。めっちゃ頑張ろう。
ディズニーはサービスする心構えとして、芸術家としての完璧さを目指すこと。高品質のサービスを提供する上で、些細な事が大きな意味を持つとしています。
肝に銘じます。
著書名 図解 ディズニーの経営戦略早わかり (1時間でわかる図解シリーズ)
著者 粟田 房穂
出版社 KADOKAWA