米中デジタル戦争で世界はどうなる?「5G革命の真実」
5Gで本当に世の中って変わるの?
5Gの本って「こんな事ができるようになるよー」というものが多いですが、この本の面白いところは米中覇権争いまで踏み込んでるとこなんですよね!
5G革命では、スマホはすでに必要なくなります。IoE(インターネット オブ エブリシング)で、全てがインターネットに接続されます。
モノがネット経由でデータベースにアクセスし、私たちが「誰か」を認識し、それに応じて各個人の仮想デバイスを呼び出します。そこでモノやサービスを購入する。そんな社会が始まるのです。
工場で働くのはネットワークで繋がったロボット達です。お互いコミュニケーションを取りながら働いてます。それを監視するのはAIマネージャーです。
モノのスマート化、ネットワーク化で社会は激変します。と、言われています。
どこまでが現実問題、実現可能なんでしょう?
今、アメリカや中国を中心として熾烈なITバトルが繰り広げられてます。
その中を生きていくには政治情勢にも注意しないといけません。
スパイ疑惑のかかったファーウェイに対し、アメリカは創業者の娘である孟晩舟を逮捕するまで至りました。そこから日本もファーウェイの5G通信機器を導入されたするかで揉めてます。
近い将来世界にはどんな変化が起こるのか。ぜひこの本で確認してして下さい。
このブログでは、5Gで世界がどう変わるのか、米中対立でどんな影響があるのか掘り下げてみます。
5G通信で世界はどうなるの?
5G通信の大きな特徴と言われてるのは3つあります。
- 超高速
- 超低遅延
- 多数同時接続
これによりクラウドから自分の仮想コンピューターを呼び出せる様になるので、多くのモノにはカメラとディスプレイが組み込まれ高価なICチップも必要無くなります。
まず世の中には完成されたMaaSが登場し、快適な移動が出来る様になります。
そもそも通勤もなくなります。仮想空間でのオフィスでリアルタイムにお互いの姿を映し出して働く事になるでしょう。
建築現場もリモート操作でロボットを動かします。オペレーターはマウントディスプレイで操作するでしょう。
そんな新しい社会を5Gは実現する。…本当?
そんな凄い未来なら、もっと世界は盛り上がってるんじゃないの?
5Gはそれ単体だけはイメージが広がらず、他の将来的な技術と組み合わさってこその通信規格です。
現実ではIoT関連のセンサー情報は4Gでも事足りるし、AIは通信よりも処理の重たさや電力消費量の問題が、VRやARは通信よりも映像合成処理の方が課題になってます。
言うなれば、5Gの費用を払ってでも「これがやりたい」というコンテンツが一般ユーザーには訴求出来ていない状態なのです。
ユーザーにどれだけのメリットがあって、サービスプロバイダーがどうやって儲けられるのかが見えないから、盛り上がりに欠けるのです。
その一方で、産業界では大きな期待が寄せられてます。
それは全てのモノのネットワーク化による産業革命です。
IoT導入とAIによる生産性向上で、限界費用や取引費用の低減が進み、私たち労働者がロボットやAIに替わる時代が目前まで迫ってます。
そしてその競争は、国家間の「スマート化による産業政策競争」にまで及んでいます。
中国は産業革命「中国製造2025」を掲げ、半導体自給率90%を実現して「世界の製造大国」の地位を目標に取り組んでます。
ドイツも対抗して「インダストリー4.0」を推進してます。
イギリス、アメリカも乗り出しているが、ドイツほどの成功は収めてません。
コマツは中間管理職の仕事が減るという反対を押し切り改革を進めて、ネットワーク化に見事に成功しました。
総務省が2019年4月に携帯電話向けの5G周波数の決定を発表し、ローカル5G向けにも土地や建物ベースで周波数帯を割り当てる発表をしました。
Wi-Fiの遅延、転送速度の弱点を解消する事で、工場のスマート化が一気に進められます。
災害地や被災地の復興が遠隔操作でも行えるようになります。
しかし、5Gのもう一つのウリである「大容量高速通信」には注意が必要です。
コンピューターが持つデータを数秒で全て抜き取りたいという「個人情報を吸い上げるインフラを提供して欲しい側」のニーズです。
中国の監視カメラ設置数は2022年には2億6千万台になると言われています。
このカメラ映像を集めるには4Gでは情報転送速度が足りません。しかし5Gなら実現可能なんです。
そして、中国のさらなる隠れた意図も後ほど書いていきます。
米中対立で世界はどう変わるのか
日本から見た世界情勢
先述したように、米政府はファーウェイの孟晩舟副会長を逮捕しました。
なぜアメリカがここまで通信事業にこだわるのか?
それは通信が基本的に「軍事技術」だからです。
ファーウェイ についてはこちらを読んでくださいね。逆サイドからの視点です。
私たちにとって4G通信は充分満足いく恩恵を与えてくれてますよね。
それでも5Gに進化「せざるを得ない」のは、4Gへの進化の時以上に政治的な意味合いが強いからです。
2018年にトランプ大統領により署名された米国防権限法では、中国企業製の通信機器の米政府利用禁止だけでなく、それらを利用している企業との取引も禁止するとの発表がありました。
グローバルIT企業としては今後アメリカと中国の二者択一を迫られる形となります。
台湾のホンハイ精密工業はファーウェイと密接な関係にあります。これを今後アメリカ政府はどう解釈するかでも情勢は変わります。
株式市場では、米中貿易戦争が始まった2018年半ばから、中国上場企業の多くは資金繰りが厳しくなり、株価暴落を避けるため株式の取引制限がかかりました。
中国と取引すべきかどうかの判断を難しくしているのは市場規模です。
中国は電気機器製品を日本から3兆円輸入しています。アメリカは2兆円。韓国は半導体やディスプレイ関連で1.5兆円を輸入していて、日本のお得意様はずっと中国、米国、韓国という事になります。
ただし韓国は文在寅(ムンジェイン)政権が誕生して以来、LGやサムソンなど日本企業と親密な企業の締め付けを行い、韓国企業が海外に流出している状態です。
中国との取引も、米国防権限法に名指しされてる企業との取引は控える方が無難です。
そして、今後米中貿易戦争が長引けば、財政的に厳しそうなのは中国です。
アメリカは投資も積極的に働きGDP成長も底堅くなってます。ただしコロナ以前の状況。今後どうなるやろ?
トレンド的に有利なのは、今のところアメリカなのです。
アメリカが通信スパイで起訴できない理由
テレビでは「米中5G覇権争い」はまるで「通信技術」が生む経済的利益の奪い合いのように言ってますが、全然見当違いであります。
実際は「諜報インフラ」を巡るに政治的実質支配の覇権争い」なんです。
近い将来、中国製5G基地局による、世界が中国共産党に実質支配されるインフラが完成するか否かの勝負所です。
中国の大量の情報吸い上げによるデータ分析に協力しているのがGAFAを代表するプラットフォーム企業です。
世界各国のプラットフォーム企業がファーウェイ支持を表明しているのは、ファーウェイの安価な高速通信インフラを求めているからです。
米政府はファーウェイを「スパイ企業」として呼び続けています。
それなのになぜはっきりそう言って起訴しないのでしょうか?
米連邦通信委員会はファーウェイは「通信機器に密かに仕込まれたバックドアを用いて、敵対的外国勢力がスパイ活動を行うことが出来る」と明言しています。
バックドアとは、企業が自社製ソフトウェアに外部から侵入してチェックする為の、コンピューター上の裏口みたいなもんです。
ではなぜ、米政府は中国製「バックドア」を犯罪として起訴しないの?
実は「バックドア」そのものを犯罪にするのはアメリカにも都合が悪いのです。
通信機器には基本的に開発上の「バックドア」が存在し、それは製品のリリースと共に閉鎖します。
しかし政府が要求するものは残されます。
一般的な暗号にもバックドアが隠されてる為、暗号化してもインターネットをパケットとして通った瞬間外から丸見えなんです。
ファーウェイは米政府が開発した通信機器用のバックドア技術を転用してるんで、「バックドアを利用した通信スパイを禁止する」と言ってしまうと、自分達のバックドア利用も批判されかねないからなんです。
お前もやってるんかーい!
米国には人スパイも入り込んでいて、NSAが開発したバックドアやウイルスの多くも盗まれて闇サイトで売買されてます。
血で血を洗う仁義なき戦いが続いているのです。
「5G革命の真実」を読んでやってみた
ニュースの深さを学んだ
実際、僕も中国とアメリカの5G合戦も技術競争なんだと思ってました。
ニュースの裏側を探ると、こんな色んな事項がわかるんですね。
こういう情勢と裏側がわかると、未来の予測も色々出来ますよね。
NewsPicks見てると、みんなどうやってこんなコメント出来るんやろって思ってたんですが、こういう所なのかもです。
日本も多くの情報と技術が盗まれています。早く不正競争防止法に変わる、台湾の「最先端技術移転防止法」のような法整備が必要ですね。
今後はニュースの裏側がわかる知識も増やしていきたいです。
この本にはまだまだ5Gにまつわる話が記載されてますので、是非読んでみて下さい。
面白いです!
著書名 「5G革命」の真実 –5G通信と米中デジタル冷戦のすべて (WAC BUNKO 301)
著者 深田萌絵
出版社 ワック