ガレージで生物学は進化する!「バイオパンク」が活躍する最先端の世界を知ろう
知らない世界を知るのは楽しい
この本を読むと得られるもの
現代ではバイオテクノロジーもガレージで生まれていることがわかります。
バイオテクノロジーの現状が把握できます。
バイオパンクとはどのような人達かが分かります。
この地球上で何よりも破壊的なチカラは「遺伝子」の中にあります。
コロナウイルスでみな嫌というほどそれを認知しました。
原始的な生命体であるウイルスの遺伝子の、たった2、3行を合体させるか入れ替えるかして新しいものになっただけで、世の中は大混乱になるのです。
塩基配列のわずかな乱れですら、戦争や金融崩壊に匹敵する力で、世界の政治や経済、社会機構をあたふたさせます。
しかもそれは感知できないだけで、あらゆる場所に存在します。病原体には良心もないし、コントロールも出来ません。
この本では「バイオハッカー」と呼ばれる、生物学分野にイノベーションを起こそうと活動している人たちを中心に、合成生物学や遺伝子操作の世界がどのように変化していっているのかを教えてくれます。
シンプルな遺伝子検索
アウトサイダーのイノベーション
バイオハッカーの源流
自分で科学する
途上国の為のバイオテクノロジー
価格を下げてハードルを下げる
遺伝子組み換え作物は誰のため?
遺伝子の所有権は誰のもの?
リスクのない医学の発展はない
キッチン発のイノベーション
生命の言語を読む
生命の言語を書く
バイオテロ
アウトブレイク
の項目で書かれています。
ここでは、バイオハッカーとは何か?生物学の進化は世界にどのような影響を与えるのかについて要約しています。
ほんと触りの部分なんで、是非本を読み込んで欲しいです!
「バイオハッカー」ってどんな人?
カウエルさん(以下呼び捨て)は、マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点をおく「DIYバイオ」という組織の創始者の一人です。
彼らは、生物学を専門家にだけ任せておいてはいけないと考えています。
政府機関が絡むと発見が実用化にうまく結び付からなかったりするからです。
一方で、コンピュータの発達は生命科学の環境を急速に変えていて、自宅で高度な遺伝子工学技術を扱えるようになるといわれています。
コンピュータの性能の向上によりデータが大量に蓄積出来るようになりました。
するとそのDNAコードは、コンピュータのコードと驚く程似ていることに研究者たちは気付いたのです。
彼らはDNAを生命のソフトウェアとみなす考え方にのめり込みました。
カウエル達は、自分たちを「バイオハッカー」と呼んでいます。
コンピュータへの命令がプログラミング出来るのなら、生命体への指示もプログラミング出来るのでは?という発想です。
ハッカーと言ってもネガティブな意味合いではありません。
DIYバイオのメンバーが唱えるバイオハッキングは、産学官の組織に頼らず、人間本来が持つ「知恵」に頼って、生物学の問題を実用的に、自力で解決しようとするアプローチです。
なので2009年の新型豚インフルエンザウイルスは、カウエル達にとって、ハッキングの目標としてまさにうってつけでした。
その為には遺伝子コードがオープンソースになっていなければいけません。
なのでカウエルは、米疾患対策予防センター(CDC)に、ウイルスの塩基配列情報を公にするように求めました。
カウエルはオープンソースなら最も早く賢明な結果を生むというロジックを、パンデミックにも当てはめたのです。
しかし懸念されることもあります。
病原菌を始末させる方法が見つけられるなら、逆にそれを作り出す方法も見つけられるということです。
キッチンで失敗してパンを焦がすように、善意のハッカーが不注意で、もしくは悪のハッカーが意図的に、既存の抗ウイルス剤が効かないウイルスや、永遠に増殖するウイルスを解き放つ事も理論上は可能なんです。
ソフトのハッキングでも社会は大混乱になりますが、これが遺伝子となるともう別次元の恐怖です。
そんな微生物の設計図が、インターネットでも誰でもダウンロード出来るって、ちょっとヤバすぎですよね。
アメリカにおける「大量破壊兵器の拡散及びテロリズム防止委員会」の2008年の報告書には、早急な対応しなければ、テロリストは2013年までに世界のどこかで大量破壊兵器を使用すると予測しています。
そしてそれはかなりの確率で生物兵器になるだろうと予測しています。
アメリカはテロリストが核兵器の材料を入手しないようにあらゆる努力をしてしてきました。
しかし、バイオテクノロジーは世界にすでに広かっています。
まさに今まで恩恵を与えてくれてたテクノロジーが、邪悪な目的のために使われる可能性も高まったのです。
原子力時代が幕を開けた時は、原子力産業の従業者は皆自分の生活が例外を許さないセキュリティ指示の下に置かれることをすぐに理解しました。
しかし、生命科学の分野ではセキュリティに注意を向けさせるような象徴的イベントを1度も経験していません。
バイオテロの可能性
カウエルはバイオハッキングに関心を持ち始めた頃から、連邦規制当局や警察と協力的な関係を築くように努めてきました。
しかし、向こうはバイオハッカーに対してそんな気持ちなど無いことに気付いたのです。
実際にはバイオテロをするのに、遺伝子工学は必要ありません。
生物毒素を製造するだけなら、はるかに簡単な方法がすでにあるのです。
世界制覇が目的なら、遺伝子工学はとてつもなく回り道なんです。
「最先端の遺伝子工学」と呼ばれるようなラボでも、最先端なのは実践の部分ではなく理論の部分です。
簡単な装置でも、合計10万塩基対、つまり10万文字の複雑なDNAを設計しなければなりません。
最初の1ビットを組み込んだ分子断片を得るのにすら最高の機器を用いても1年以上かかります。
これは言うなれば、テロリストに渡ったら危険なものを合成生物学で作成することは、世界一の科学者でさえ今のところは不可能という事です。
さらに人工生物の生存能力は、現実世界ではまず通用しないそうです。
進化の過程の中で適応したものだけが生き残っているのに、それをすっ飛ばして一から細菌を作るのは不可能なんですって。
しかし、たとえ合成生物学に差し迫った危機がなくても、バイオパンクたちは世間からどう思われているのかを心配しています。
バイオハッカーはたとえ自分は善ハッカーでも、どこかに悪ハッカーがバイオテロを起こすことは理論上ありうると認識しています。
ただ、過大な警戒態勢が敷かれることを懸念しているのです。
バイオハッキングを可能にしている概念と記述、つまりオープンソース、インターネット・コラボレーション、生物学の規格化パーツ、DIYハードウェア、DNAシーケンシングなどはそれ自体はアンダーグラウンドなものではありません。
どれも現代のバイオテクノロジーと生物医学研究所のメインの要素です。
バイオハッキングを非合法なものとするなら、本流の研究も大幅に制限されてしまいます。
ただ、周囲がどうなろうと最後までピペットを手にする権利を求めて闘う覚悟をしている人もいます。
エリ・ジェントリーは堂々と宣言します。
「人の命を助けるために使える時間を、別のことに使えと言われても、私にはそれ以上の目的が思い付きません」
「バイオパンク」を読んでやってみた
現代テクノロジーはガレージで起こってるんだ
実践してみた3つのこと
- 科学に興味を持って本を買い漁っている
- 全く素養がないので、中学生向けの低レベルなものから勉強を始めた
- ガレージ系の人たちの著書も読み始めた
僕がのほほんと暮らしている裏では、このような世界が広がっていたのですね。
今をときめくIT企業の多くはガレージで生まれました。
ジョブズはコンピュータの製作を、ザッカーバーグはSNSの開発を、ゲイツはOSの開発を。
今は生物学もガレージです。
昔なら大規模な装置と膨大な資金が無いと出来なかったことが手軽に出来るのです。
面白い時代ですよね。
これからどんな事が起きるのか調べていきたいです。
興味を持った方は是非本を読む読んでみてくださいね。
ここでの要約はほんの触りなんです。
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著者 マーカス・ ウォールセン
出版社 NHK出版