言葉と文化を超えて世界に広がる「オタク経済圏創世記」がアツい!
外国ってオタク文化にオープンよね
この本を読むと得られるもの
ファンとの繋がりを積極的に作っていくビジネスの作り方がわかります。
パッケージ化して販売するスタイルに変わるビジネススタイルを学べます。
世界に発信できるコンテンツの作り方がわかります。
自分は間違いなくオタクです。
レトロゲームが大好きで、マンガもたくさん読んできました。
日本ではずっと小馬鹿にされてきた感のあるオタク文化も世界に飛び出すとむしろcool!とか言われちゃう。
コンテンツのメインがアナログからデジタルになり、むしろデジタルな「ライブ感」に世界が熱狂しているかのようです。
それは音楽や本にも言える事。
ニッチだった分野はどのようにして市場を広げてきたのか。これは職人の伝統的な産業にもヒントになるはずです。
この本では、オタク文化市場を「ニッチがマスになる」「ライブコンテンツ」「グローバル化」「プラットフォームからコミュニティへ」「グローバル経営」の視点から解説されてます。
ここでは個人的にも今後どうなっていくのか気になる「ライブコンテンツ」と「プラットフォームからコミュニティ」について掘り下げたいです。
他の項目については是非本を読んで下さいね。
2.5次元のライブコンテンツ創世記
パッケージメディアの衰退
日本のコンテンツ業界は1995年を境に、音楽、ラジオ、新聞、と凋落の一途をたどっています。
そこから20年以上にわたり規模を失い続け、今やテレビも衰退の兆しが見えてきました。
実はインターネットでの電子書籍、音楽と映像のサブスクリプションは減少幅を埋めるまでには至っていません。
しかし、パッケージは減りながら、放送事業は減少せず、ロケーションビジネスは微増しているのです。
なぜなの?
インターネットは既存のものをデジタルに置き換える、というだけのものでありません。
ソーシャルやシェアリングを助長するロケーションの「コミュニティ機能」が時代をおいて再評価されてきてるのです。
ソーシャル化が成長のカギ
デジタルによってむしろ人と人の結びつきが強化されて、「今まで価値として見られていたものをより便利に高頻度で楽しめる」ようにしたのです。
ロケーションビジネスの中でも、ゲームセンターやカラオケは縮小し続け、コンサートやミュージカル、歌舞伎など「共同体験すること」をコアとするコンテンツは成長しています。
特に「アニメ」を取り入れたものの成功は、5年で3倍もの成長を遂げています。
人々は同じ趣味の人が集まること自体に価値を感じています。さらにそこでしか手に入らないグッズを消費し、クリエイターを応援する「場」が作る1回だけの価値は代えがたいものがあるのです。
もうめちゃ楽しいよね。
世の中がデジタルになっても、リアルな場は益々求められているのです。
転換の契機はモデルチェンジにあります。
従来の一方向モデルから、「ユーザーコミュニティが出来る前提で、コンテンツをアップデートし続ける」という双方向モデルにチェンジ出来た産業だけが、今の成長産業となっているのです。
ゲームだとDeNAとGREEが作った「ソーシャルゲーム」がたった10年でゲーム業界を一変しました。
ゲームに費やす時間が増えたのでなく、ゲームに費やすお金が急激に増えたのです。
ゲーム自体を遊ぶものでなく、プレイの先にあるのは「資産」と「ソーシャル」なのです。
今やスマホゲームも家庭用と変わらないクオリティになってますが、そのクオリティが消費額に跳ね返ってるわけではありません。
音楽業界は激変
CDは従来のレコードより原価が低く、流通も簡易で、まさにドル箱でした。
しかし、ユーザーがパッケージの所有を嫌うようになると業界は10年で半減。小売店も激減しました。
ところが2015年ごろ、音楽ライブ市場が突如3倍に。パッケージの落ち込みも止まったのです。
そう、AKB48や乃木坂46による「イベントと連動したCD販売」の登場です。
それは先程のソーシャルゲームと同じ流れが起きていたのです。購入することでストーリーに参加する。
実は消費の主体はユーザー自身ではありません。
タレントがたくさん集まった会場で頑張って、楽しんでいる。その様子を見にいく事が動機付けになっているのです。
正直、こういうファン体験は自分には無いので、ちょっと理解しにくいですが。
「誰かの為に」「誰かと一緒に」
こういう集団性と対象のみを愛する事が、エンターテインメントの主軸となり、今日のライブの価値となっているのです。
モノはそれだけでは価値のない時代になりました。
モノはヒトを繋げることで価値となるものになったのです。ソーシャルでもリアルでも、コミュニティ価値に貢献してはじめてエンターテインメントとして認められるのです。
これにいち早く対応したのがゲームと音楽や業界です。
いまだにパッケージ時代のビジネスモデルから進化出来てないのが、放送、出版など従来のメディアです。
様々なコンテンツが参戦するキャラクター業界において、選ばれてコレクションし続けてもらうにはなにが必要なのでしょう?
サービスのようにコンテンツを「提供し続ける」ことです。
まさに製造業からサービス業に変換したのですね。
もちろんアニメやゲームは開発費が高く、高頻度で提供し続けられません。
それに変わるのが「タレント」「商品化グッズ」「音楽、音声」「イベント」なのです。
タレントはSNSで発信し、会場を借りて共体感を作り出す。様々なグッズはユーザーの世界を固め、そこコンテンツを想起させるきっかけを作る。
音楽はポータビリティが高く、ラジオや配信は世界観について語り合う場を作り、毎月大小のイベントで直接ファンと小売しています。
コンテンツ作りは総合力でしか勝負出来ない時代になったのです。
プラットフォームの時代からコミュニティの時代へ
オワコンになっていたプロレス
NewsPicksの動画で見ましたが、今「新日本プロレス」がアツいんですね!知らなかった。
以前は好きで試合に行ったりもしてたんですが、むしろマイナーなスポーツという感じでした。
それが今や海外興業も大成功。快進撃は2012年のブシロードによる買収から始まります。
2011年の売上は10億ほどだったのですが、2019年には54億の売り上げです。
どうやったのか気になりますね!
ブシロードは3次元であるプロレスを、2次元的なキャラクタービジネスとして捉え直しらメディアミックスによる再生を行いました。
まずは広告戦略です。買収直後に3億円の広告費を投入しています。
BSで新番組とテレビCM、山手線の電車広告ジャック、テレビ番組「ビフォーアフター」で選手寮のリフォームを依頼するなど、世間一般の人達に見てもらえるようにしました。
離れていたファンには復帰する理由を与え、運営する側のレスラーにも自信を与えました。
2012年、2015年にゲーム化、2016年には「タイガーマスクW」の放送開始と2次元でも展開は続きます。
各レスラーも様々なコンテンツに積極的に出演。ほぼ全員がツイッターを開始。各レスラーにファンが付き始めました。
2019年には44万人を動員。乃木坂と並ぶ動員数です。すごいな!
深夜の「ワールドプロレスリング」の視聴率はほぼ変わりありません。もはやテレビの視聴率の時代は終わりました。
プロレスラーは選手寿命がとても長く、世代を超えたファンも生み出しています。
海外展開の勢いもすごい
2019年には1万6000人集客の興業をマジソン・スクエア・ガーデンにて行い、大成功を納めました。
2014年から始めた動画配信での北米ユーザーの伸びが日本よりはるか上回ったのです。
これに自信を持った新日はアメリカに打って出たのです。
ちなみにアメリカではWWEの一強状態ですが、その売上規模は1000億で、野球、サッカー、バスケなど全てのスポーツ運営団大の中で、世界一です。
プロレスのポテンシャルは元々かなり高かったのですね。
皮肉な事に、テレビからの脱落がグローバル化のきっかけとなったと言えるでしょう。
人々は自分と親和性のある「質の高いプラットフォーム」に次々乗り換えてます。
5Gが始動するとさらに傾向が加速するでしょう。そうなるとライブコンテンツは場所の制約が無くなります。
そうなった時にはみんな様々なプラットフォームを渡り歩くでしょう。プラットフォームにこだわらず、コミュニティにこだわるようになるという言葉ですね。
「オタク経済圏創世記」を読んでやってみた
この本で成功例としてやたら紹介されていた「バンドリ!」ですが、全く覚えてなかったけどダウンロードしてました。恐るべし。
プラットフォームからコミュニティへの展開ってめっちゃ興味あります。
奈良のお土産Tシャツを使ってるんですが、全くコミュニティ化出来てないのが気になってたんです。
新作の告知をSNSでやるだけでなく、製作途中から情報共有をしていかないといけないですね。
そしてお手軽なグッズで関係を継続する。
動画だけでなく、音声コンテンツも必要やなと読んでて思いました。
西野さんのYouTubeみたいなのがいいかな。
もちろんグローバル対応も出来てません!お客さんは外国人観光客ばかりなのに…。そこもやらなやらなと思いながら…。
英語でのインスタ発信も始めました!
読んでて得るものが大きい本でした。
どんな業界の人も役に立つと思うので是非読んでくださいね!
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「楽しい」とはこうやって作るんですね。
著書名 オタク経済圏創世記 GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件
著者 中山淳雄
出版社 日経BP