日本進化論

落合陽一「日本進化論」人口減少はむしろチャンス!テクノロジーを学ぼう

日本は人口減少のモデルケースとなれるのか

今の日本が抱えている問題って何でしょう?

高齢者問題、財政難、働き方改革。色々ありますね…。

 

この本は2018年に落合陽一さんと小泉進次郎さんの共同企画で開催されたニコ生の討論会をまとめたものです。

現在の日本の問題をあれこれと議論されました。

 

第一章は、あらゆる産業における限界費用ゼロ化と人口減少によるインフラ撤退の必要性について語られてます。

第二章は、「高齢者ドライバー問題」を具体例として高齢者問題について。

第三章は、児童虐待や見えない貧困などの問題から、社会支援について語られてます。

第四章では、日本の教育の問題点について。

第五章では、財政難です。似た人口構成ながら成長を続けるデンマークとの比較で語られます。

第六章では、「Well-being」健康で幸福の考え方に則り、スポーツについての課題を明らかにされてます。

 

それぞれどれも重要な話題ですよね。

ここでは高齢者福祉と財政難問題について要約し、掘り下げていきます。

他の章は是非本で学んで下さいね。

超高齢社会をテクノロジーで解決しよう

まずは状況を把握しよう

日本は現在、高齢者が人口の28%以上を占める「超高齢社会」です。

2060年には全人口の40%が高齢者で構成されるようになる予想です。

高齢化社会において生じる問題は多数ありますが、「高齢者ドライバー問題」を事例にして検討してみましょう。

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高齢者ドライバーによる事故の増加が問題視されてます。

日本全体では交通事故死亡者はこの30年間で約70%も減少しました。

しかし75歳以上による事故件数は増えています。

 

この問題は高齢者から運転免許を剥奪すれば、それで解決するわけではありません。

地方では車がないと買い物や病院にも行けません。

どうすれば問題は解決できるんでしょうか。

 

その前になぜ高齢者問題の中からドライバー問題を取り上げるのか。

それはこの問題が政治とテクノロジーの結節点にあること。

 

もう一つは、将来的に日本人の多くが同じ問題に直面するであろうからです。

その為、この問題の解決は、他の問題にも応用可能になるはずです。

 

日本の自動車の大衆化は1964年以降です。

現代の高齢者は、自動車社会で最初の高齢者層です。

その為、まだ運転にも危機感が薄いです。

 

高齢者事故の多くは地方で発生しています。

先述の買い物などの困難、電車やバスなど交通インフラが発達していない事が原因です。

 

問題解決は3つのアプローチで

この問題に対しては3つのアプローチで解決していくべきです。

  1. ドライバー監視技術
  2. 自動運転技術
  3. コンパクトシティ化

 

ドライバー監視技術とは、高齢者の身体的・認知的能力の低下をチェックするシステムです。

例えば「ステータスモニター」という技術は、ドライバーの顔を常時チェックし、わき見や居眠りを感知すれば、注意喚起を促します。

 

自動運転技術は、現在「条件付き運転自動化」のレベル3にあり、限定された条件のもとでなら、全ての運転が自動化される段階にまでなってます。

内閣府は「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システム研究開発計画」を発表し、2020年を目標にレベル3の市場化を目指しています。

高速道路とかは運転可能になる日は近いですね。

 

3つ目の解決策は「コンパクトシティ化」です。

人々が暮らす都市そのものを、自動車が不要な形態に変えるアプローチです。

生活上必要な施設を住宅地の近くに配置して、自動車以外の手段で行けるようにすればいいんです。

 

極端な話、ショッピングモールと老人ホームや病院をくっつければ生活に困りません。

生活圏が広範囲に及ぶ社会は、インフラの維持にコストがかかります。

人口減少問題でも、コンパクトシティ化で様々な問題が同時に解決出来ます。

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他の分野への応用

これらの技術は、トラクターの運転やフォークリフトの操縦、機械の操作など危険を伴う分野において、作業員の安全の確保にも応用できます。

従業員のミスを防ぐ為のサポートツールにも導入出来ます。

事故の兆候を察知した時に作業をストップする仕組みが提供されると、事故の発生率は大幅に下がるでしょう。

 

トラクターやフォークリフトに自動運転が導入されると、人間の仕事は監視することに変わります。

 

農林業はすでに半数が65歳以上で占められてます。建築業もあと10年もすれば半数以上になります。

これらの産業は生産性や安全性の確保の為にも、早急な導入が必要になるでしょう。

本当に日本の財源は足りないの?

今後財政問題はどうなるのか

次に日本の財政問題について考えてみましょう!

財政問題について取り組む時、「歳出を減らす」「歳入を増やす」の2パターンで語られます。

ここでは「歳入を増やす」について書いていきます。

 

現在歳入を増やす最も効果的な方法は、消費税を引き上げることです。

しかし今の日本ではそれも難しいのが実情ですよね。

また、日本は他の国に比べて、徴収した租税と社会保険料の総額に対し、社会保障の給付が多い傾向にあります。

今の日本の財政は、このままだと維持するのが難しい、すなわち「持続可能性」が問われてるのです。

 

日本は高齢化が世界トップなのに、社会保障支出はそこまで多くありません。

税や社会保険料を増やすのに抵抗が強いのに、十分な社会保障を提供する事も出来ない二重苦なんです。

 

日本は1000兆円を超える巨額の債務に加えて、年々社会保障費が増え続けいるので、財政規律の締め付けによる健全化が多く語られます。

年金についても、現役世代は受給額が納付額を下回る見通しです。

 

報道では2040年には社会保障費は190兆円、2018年の1.6倍になるとされてます。

しかし、将来の社会保障給付金は対GDP比で見ないと誤報であるという意見もあります。

それで言うと、対GDP比で言えば1.1倍であるという説もあります。際限なく膨張するというイメージとは異なりますね。

 

「今後の社会保障費は、国民が負担出来ない程に増えるわけではない」

この視点から考えていきましょう。

 

社会保障費抑制のカギは「医療」と「介護」

社会保障費のうち、年金と医療の割合が高く、介護と子育てはそれほど多くありません。

将来的には年金は微減傾向、子育ては現状維持。増加するのは医療と介護です。

つまり、この2つのコストを抑える為の施策が重要ななってきます。

 

大きな効果が期待できるのは、現状のデジタル化が進んでいない状況を、ITCテクノロジーの導入によるコストダウンです。

特に介護の分野はどれだけ人件費を削減できるかです。

もちろんまだまだ介護作業を自動化にするのは難しいです。

 

しかし、介護を補助し、効率良くする為の仕組みであれば実現できるものが多くあります。

実際、落合さんはこの分野にかなり積極的に取り組んでらっしゃいます。

 

まずは車椅子にVRやAIの技術を組み込むものです。

これにより車椅子1台に介護士1人が付き添う非効率さを解消出来ます。

自動運転と遠隔操作で多くを補助し、本当に危険な時だけ介入するのです。

 

これからは、税収で支えるのではなく、政府系投資機関を通じて、国と企業がイノベーションの成果を分け合うという発想が重要になるのです。

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デンマークに学ぼう

デンマークは日本とよく似た人口構成比です。

その一方で注目なのが、デンマークのGDPの変化です。高齢化なのに2000年以降も安定して伸び続けてるんです。

社会保障費の負担が大きいし、人口も570万人と内需も期待できません。

なぜこの状況で成長してるんでしょう??

 

大きな理由の一つが、産業構造の転換と行政の効率化です。

デンマークでは主要産業が流通と小売業へ転換し始めています。

既存の製品に価値を付与する産業へシフトしているのです。

 

またデンマークはテクノロジーを活用して、行政の効率化が進んでいます。

自治体が公開したビッグデータを民間企業が活用出来るなど、官民一体の取り組みが行われています。

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デンマークはEUでも最も電子化が進んだ国で、医療、福祉、金融、教育などでIT技術を使った国家戦略が推進されてます。

この辺は早く日本にも見習って欲しいですね!

 

日本での問題の本当に根底あるのは「シルバー民主主義」です。

残りの人生が短い高齢者は、未来の問題について真剣に考える動機ご少なくなっています。

「テクノロジーへの投資をします」より「介護保険料を安くします」と言った方が受け入れられやすい問題もあります。

 

「日本進化論」を読んでやってみた

みんなで選挙に行こう!

ここまでの問題で解決する手段はテクノロジーと行政改革であることがわかりました。

でも、一般市民はどの様に関われるのでしょう?

 

痛感したのは勉強と選挙です。

まずはテクノロジーを勉強して理解を深めないといけません。

「現金がいいわ」「自動化とかめんどくさい」とか言ってたら何も変わりません。

 

そして選挙行かなきゃと思いました。

すみません…自分も今まであまり行ってませんでした。

でもこの本を読んで、政治的な議論に参加しなきゃと思いました。

長期的な視点に基づいた政策に支持を表明していきます。

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著書名 日本進化論 (SB新書)

著者 落合陽一

出版社 SBクリエイティブ