
年齢や収入に関係なく、国民全員にお金が支給されるという「ベーシックインカム」って本当にやってくるの?
日本ってそういうの苦手そうじゃない?
でも押さえておく必要のある知識ですよね。勉強しましょう!
目次
ベーシックインカムがやってくるのか?「AIとBIはいかに人間を変えるのか」
AIとBIは同時に考えた方が良い
AIとBI?
AIは人工知能です。うん、それはなんとなくわかる。
BIは「ベーシックインカム」です。
ベーシックインカムとは、国民全員に生活できるだけの現金を無条件で給付するシステムです。
なんかユートピア的な非現実的な…。
でも実は、フィンランドではすでに社会実験が始まっています。フィンランドはMaaSの実験とかもしてます。
BIの歴史は意外と古く、200年前からある考え方なんです。
なぜ近年この2つが注目されてるのか、それは実現すると現在の世の中を劇的に変える可能性をもっているからです。
どちらも過去の発明とはケタ違いのインパクトを与える、経済活動だけでなく社会構造や人々の暮らしをも変えてしまいます。
AIはどんな事を巻き起こす?
AIがもたらす最大のインパクトは「知的労働の価値の暴落」と「感情労働の価値の向上」です。
産業革命によって人力が価値を失った様に、知識や思考力をウリにしている人材は価値を失うのです。
変わって価値が向上するのが、人に癒しや共感を与えたり、安心や勇気を喚起する資質や能力です。
この様に、社会と仕事と人生の主軸が、知性・インテリジェンスから感情・感性へとシフトしていくのです。
ベーシックインカムはどんなシステム?
BIがもたらすインパクトは「働かざる者、食うべからず」という歴史上の規範を吹っ飛ばします。
さらに民主主義の基本理念である機会の平等を担保し、民主主義を完成させる事が出来るのです。
BIは現在先進国が抱えている格差と貧困の問題の解決策として資本主義をも救う可能性があるのです。
経済成長が落ち着いてきた先進各国では、色々と経済政策を施したり、社会保障で格差と貧困の問題に対応しようとしてますが、問題は深刻化していってます。
こうした状況を打開するのに注目されてるのがベーシックインカムなんです。
BIの特徴は、4つあります。
1.無条件給付である。年齢や職業などに制約がない
2.全国民に一律で給付される
3.最低限の生活に足りる額の現金給付である
4.受給期間に制限がなく永続的である
社会保障制度を一元化できて、貰う側にもシンプルでわかりやすいのもポイントです。
また現行の生活保護制度では、収入が得られるようになると支給が打ち切られるので、働くインセンティブが失われます。
その点BIは収入が増えても減額されないので倫理的にも理にかなってます。
ベーシックインカムの経済的メリット
景気がよくなる
日本はこれまで数々の財政・金融政策を行なってきましたが、これと言える景気回復には繋がってません。
なぜなら、これまでの政策は大企業や富裕層を豊かにする反面、抵〜中間所得層の生活を苦しくさせ、国全体の消費を抑制するものだったからです。
富裕層を富ませることで国を豊かにするというトリクルダウン理論は、富裕層が国内に投資してこそ成立します。
しかしグローバル化した現代では、国外の高成長市場に投資されるので、トリクルダウンは起こり得ないんです。
逆に抵所得者層に富を再分配すると、ほぼ全額消費に回します。非常に効果的よね。
企業の活性化
BIにより、従業員のセーフティーネットが企業の雇用から国の制度で代替できるようになります。
それにより解雇規制の緩和や雇用保険の軽減が期待できるようになります。
これまでは事業環境の変化に対応して、旧事業をたたんで新規事業に参入しようにも、今までは従業員が足かせで出来ませんでした。新事業で活用するのも困難だったのです。
しかしBIが導入されると、大胆にリストラ出来るようになるでしょう。
うわぁ、俺も頑張らないと…。
ベーシックインカムの実現可能性
まずはフリーライダー問題
BIって凄いですね。しかし、その分「それ実現すんの??」と思ってしまいます。
BIが支給され出すと、仕事をしない奴が増えるのではないか?
これまでのどの実験でも懸念されるような結果は出なかったそうです。
なぜなら人にとっての仕事の意味や位置づけが変化するからです。
望まない仕事に就いている人は、社会的承認や自己実現といった高次の欲求を満たす為に働くようになるんです。
財政問題
BIには巨額の財源が必要なので、そもそも実現不可能という声も多いです。
国民一人当たり8万円の支給が妥当だという意見が多いので、その額で考えてみましょう。
医療扶助などの現物支給はそのままだとすると、8万で問題ないでしょう。現在の日本の人口1.27億人だと年間122兆円必要です。
不要になる国民年金、生活保護などを合わせると残り64.7兆円になります。
そこに消費税を加えた場合、税率は15%が必要になります。
その他諸々の計算は本で確認して下さい。丸投げ。
AIとBIの関係性
AIの発達は過去の第一次、第二次産業革命と同等かそれ以上のインパクトを世に与えるだろうと予想できます。
なぜなら、AIという技術は、人々の生活を豊かにする為の2つの条件を満たしているからです。
まず一つ目として、蒸気機関や内燃機関、電力が人間の物理的パワーを代替したように、 AIは人間が担っている知的パワーをほとんど代替してくれます。
そして二つ目は様々な分野で応用される汎用的インフラ型の技術者であるという事です。
ディープラーニングの発達によって AIはインフラ的技術としての要件を得たのです。
AIが僕達の生活にもたらす豊かさ、つまり自由度を測るためには、GDPなどではなく心情的満足度を測る指数が必要になるでしょう。
AIによって生きる為の労働から解放される事で、僕達が享受できる豊かさ、自由度の大きさは第一次、第二次産業革命のインパクトをラクラクと超えると考えて間違いありません。
しかし、こうなった時、社会を崩壊させかねない問題がある起きる恐れがあります。
一つは資本家による社会の完全支配状態。
もう一つは、消費の減退による経済の崩壊です。
これまで資本と労働によって成り立っていた経済活動から、労働の役割が無くなるということなんです。
利害の均衡によって成り立っていた資本家と労働者関係性が崩壊して、資本家の利害と意図のみで掲載活動がコントロールされてしまいます。
そしてこのようなディストピアのような馬鹿馬鹿しい事態にならないようにする為の手段が「再分配」なんです。
生産活動に関わらない人間は消費活動もできませんが、モノは必要です。
AIが生産してくれる材を人々に行き渡るようにするには、消費者に購買力を提供する必要があります。
つまり、生産と供給を担うAIの持ち主=資産家は消費者に再分配を行う必要性が生じるのです。
ジェフ・ベゾスがBI支持者なのもここです。
自分ところでは人間を雇うつもりはないけど、その低下層のものに購買力を持たせないとAmazonでモノを買ってくれないので、BIで顧客を維持したいのです。
AI時代になれば、生きていく為に必要な財・サービスの生産は現在と比べて圧倒的に効率化されます。その為、実質的なコストは今と比べてずっと低くなります。
となると、重要なのは供給側の効率アップでなく、需要を増大させる事や、新しい需要の開発になります。
つまり、新しいBIは生きていく為に必要な金額というよりは、様々な楽しみや活動を支える事が出来るだけの金額として設計した方が経済全体の活性化に繋がります。
AIが世の中を豊かにするのに必要なのは「再分配」であり、今後も市場主義経済を保ち、活性化させていく為の再分配の切り札としては、ベーシックインカムが最も有効であると思われます。
「AIとBIはいかに人間を変えるか」を読んでやってみた
働く必要のない世の中でどう働けばいいの…
整理すると、AIが発達して生産活動にどんどん参加してくると、知的作業の大半はAIが担うようになると。
そうなると人間に残されてるのはクリエイティブ系、マネジメント系、ホスピタリティー系の仕事ですと。
うわ、向いてないわ…。
人間ならではの共感や感情のやりとり、癒しや心地良さの提供という感情労働が大きな価値があるようになります。
というよりは、単純に面白い事、楽しい事をしようとなっていきます。
「仕事しなくていいんや!毎日遊ぶぞー」
が仕事になるのです。
生きる為にイヤイヤやってた労働というステージ。
自分の特技を活かして自己実現する、金銭以外の要素も入ってきた仕事というステージ。今ここ。
労働を提供して金銭的対価を求めるのではなく、人や社会との交流や社会貢献を得ようとする活動というステージ。これから。
むしろギリシア時代の暮らしに近いから過去に戻るのか。
生きる為の労力は奴隷が担っていた為、ローマ人は学問や芸術、政治に夢中に打ち込んでました。
「働かざる者食うべからず」が、遊ばざる者になるのです。
ほんま試行錯誤ですね。
著書名 AIとBIはいかに人間を変えるのか (NewsPicks Book)
著者 波頭亮
出版社