「不確実性超入門」将来のことは予測ではなく確率で意思決定をしていこう
確率論が奥深すぎる
この本を読むと得られるもの
- 予測するには何が必要かが学べます
- 予測ではなく確率で考える思考も学べます
- 確率の求め方が理解できます
証券会社で働くエリートでさえ、バブルと暴落に翻弄されてしまうの不思議じゃないです?
これはズバリ、投資における成功は、相場の行方を正確に予想できる事よりも、「予想外」の出来事にいかに対処するかにかかっているそうです。
改めて過去の相場のニュースを見てみると、専門家の意見はほとんど当たっていません。
これは専門家がんばれってことではなく、断定的な予測などはなから出来ないということです。
だからこそ、不確実を前提に上手く付き合っていくしかありません。
なので、上手くいく方法を求めるよりも、上手くいった時にどうするか?上手くいかなかった時にはどうするか?をしっかりと身につける事が重要です。
しかし始末の悪い事に、世の中に出回っているいくつかの予想は当たってしまうのです。
これも不確実性の非常に重要な性質のひとつです。
予想した人を称賛し、自分もあやかろうと近づき、出来るはずと思い込む。
それは短期的には上手くいっても、いつか予想外の出来事に振り回されてどうにも出来なくなります。
不確実性は金融だけの話ではなく、全ての意思決定に伴うものです。
複雑化した社会では、ますます不確実性の影響が大きくなってきます。
これはもう誰もが直面する問題です。
不確実性にどのように向き合い、そこから生まれるリスクをいかに避けていくか。
この本では、
- ランダム性
- フィードバック
- バブル
- 人間の心理バイアス
- 人生を長期的成功へと導く思考法
について解説されています。
ここでは、不確実性とは?確率論とは?について要約します。
こんなブログでは触りの触りしかお話しできません。
是非本を読んでくださいね。
予測不能性が惑わしてきます
未来は予測出来るのでしょうか?
未来には予測可能な部分が確かにあります。
例えば、「日本の人口構成は高齢化が進む」という良作は非常に実現の可能性が高いです。
出生率などはかなり正確に予測できます。
現在までに進行している事象が、未来にほぼない確実な影響を及ぼすため、未来についてもおそらくこうなるだろうという予測が可能になるわけです。
この合理的な予測が可能な未来のことを、ドラッカーは「すでに起きた未来」という概念で表現してます。うまい。
しかし一方で、「20年後の高齢者比率はxx.xx%となる」というピンポイントの予想は出来ません。
不確定な事象が多すぎて誤差が生じるからです。
この本で取り扱うのはこの「予測出来ない部分」である不確実性です。
未来を公式にすると、
未来=すでに起きた未来(予測可能な未来)+不確実性(予測不可能な未来)
となります。
未来には多かれ少なかれ不確実な要素が含まれます。
そして事象の種類によって、その不確実性の影響の大きさは異なります。
人口は影響が、小さいけど、金融は大きいみたいな感じです。
だから、未来に向けて意思決定を行う場合、不確実をどのように捉えるかが重要になります。
正しい意思決定をしていく為には不確実性を正しく理解しないといけません。
まず前提として、「予測出来ない」出来事が起きる結果として、リスクが生まれます。
どうしても不安として受け取られてしまいますよねを
不確実なことは出来るだけ避けたい。リスクは抑えたい。
そう考えてしまいますが、不確実性にはプラスの面とマイナスの面が存在しているのです。
予想外の出来事が良い方向にはたらくこともあります。
なので、不確実を、あるいはリスクを管理するという事は、不確実を除去することとは同一になりません。
そもそも不確実性は予測出来ないものなのに完全に除去することなど不可能です。
それなのに避けようとすると、リスクを恐れて何もしないという結果になってしまいます。
不確実性にらプラスとマイナスの面がある以上、「リスクを取らないリスク」が発生してしまいます。
これが厄介なんです。
「何かをして失敗する危険性」は結構はっきりと意識する事が出来ます。
逆に「何かをしない事によって生じる危険性」は明確に意識することが難しいです。
それゆえに、失敗する危険性に目が向かい、リスクを恐れて何もしないという方向に流れがちになります。
でもそれは、目に見えない「リスクを取らないリスク」を冒しているのです。
なるほど!
リスクは避けるのではなく、適切にとっていくものなんですね。
どのリスクをとるかを決定することこそが、不確実性における意思決定ということです。
ランダムが惑わしてきます
サイコロで6が出る確率は6分の1です。
これは偶然によって決まって、正確に予測する事は出来ません。
しかし厄介なのが、実際に6が出てしまうと、確率が意味を持たなくなるという事です。
6が出た事に対し、「偶然だ」「何度も祈ったからだ」と色々感じるわけです。
偶然が結果に変わってしまい、その結果の積み重ねが再び確立になります。
ここが確率というものを理解するのに重要です。
バリュー・アンド・リスクなど、確率によってリスクをコントロールする手法に繋がっていきます。
株が一日当たりで上がるか下がるかは概ね半分の確率です。
二日連続正解だと25%の確率で、10日連続だと0.1%の確率になります。
こう聞くと自分が当てれるなんて全然思えません。実際当たりません。
しかし、株のように予想する人がたくさんいると、10日連続で誰かが当てている確率はとても髙いです。
自分には起きないけど、誰かには起きるというこの現象は、なんか心がざわ…っとしますよね。
自分は当たらないけど、世の中には連戦連勝の凄腕がいる。
その投資家はきっと自分の知らない秘密の方法で相場を予測しているに違いない…!
そう思ってしまうのです。
サイコロの目も、振り下ろされる腕のスピード、サイコロの回転数、空気抵抗など緻密な計算をすれば、どの目が出るかは確実にわかるはずです。
ランダムに見える現象も、ただ知識や計算能力が足りないからそう見えるのではないか。
言い換えれば、全知全能の知性さえあれば、未来は完全に予想できるのではないか。
この概念を提唱したフランスの学者ピエール・シモン・ラプラスにちなんで「ラプラスの悪魔」と呼ばれています。
このような考え方を決定論と言います。
決定論によれば、全ての事象は因果関係によって決定され、確率などというものは存在しないとされています。
言われてみれば確かにそんな気もします。
だからこそ、人は知識を増やしたり、努力を重ねたりして少しでも未来を予測できるように自分を高めようとしています。
しかしサイコロの目を当てることも、株の予測もできません。
それでも、決定論的な感覚は予測できない出来事に、正確に予測しようという気にさせてしまいます。
そもそも、決定論は正しいのでしょうか?
残念ながら、でも驚くことに決定論は量子力学によって否定されたのです。
え?量子力学がなんで??
量子力学については上記の投稿を読んでみて下さい。
粒子は観測することで場所や運動を特定することができるはずのものです。
ビー玉が静止した状態で置いてあったり、一定のスピードで別の地点に移動中であったりという感じです。
ここで問題になるのは、その粒子が観測によって発見される場所や運動が「あらかじめ」予測できるかということです。
決定論に従うとそれは可能なはず。
でも、量子力学による説明ではそうはなりません。
観測されていない素粒子は、異なる状態が重ね合わさった形で存在しており、その状態を特定することはできないと言うのです。
ある場所に特定の状態で存在するのではなく、同時に複数の場所に存在し、同時に異なる運動をしているのです。
ん、なんか量子力学っぽくなってきた。不思議な世界が始まりますよ。
ビー玉に置き換えて考えてみましょう。
1個のビー玉が、人が見ていない状況では、床の上に静止している状態でありつつ、床の上をありとあらゆる方向に転げ回ってると言うことになります。
そして何らかの観測を行うと、その素粒子は神様がサイコロをふったかのように、「その時に初めて」場所や運動がランダムで決まります。
だらかビー玉を目にする瞬間にどのような状態で発見されるかは、事前に予測することが出来ません。
それは知識や計算能力が不足しているからではありません。
その瞬間にならないと場所も運動も決まらないからなのです。
この論争は2つのことを教えてくれます。
人々は、原理的に予測不可能である真のランダム性について受け入れることが出来ない。
アインシュタインでさえもそうでした。
しかしそれでも、真のランダム性は現実として存在していると言うことです。
予測はできないけど、確率は見積もれます
ランダムな変動が継ぎ合わさって一連のつながりとなった状態のことを「ランダムウォーク」と言います。
このランダムウォークは、予測不能なランダムな変動の合体形なので、打ち出されたパチンコ玉がどこに落ちるのか、事前に毎回結果を予測することはできません。
しかし何度も試していくと、どのエリアに落ちる頻度がどのくらいかはわかってきます。
ある特定のエリアに落ちる頻度が最も高くなり、そこから離れるにしたがって頻度が減少していくのです。
そして最終的にその頻度は左右対象の「釣鐘型」の形状に近づいていきます。
この釣鐘型の分布が「正規分布」と呼ばれるものです。
ランダムな動きの積み重ねがそうした正規分布を作り上げるのです。
株価変動をランダムウォークに見立てるとどうなるのでしょう?
実際に金融理論や実務では広く使われているそうですよ。
A社株の株価を1000円とすると、株価がこの水準を出発点としてランダムな動きを重ねていったら、1ヶ月後のA社の株価がどう変動するんだろう?という確率の分布は正規分布によって表すことができるはずです。
まず「どこに分布の中心があるか」を決めるのが「平均=期待値」です。
そして「分布がどのくらい広がっているのか」を決めるのが「標準偏差」というパラメータです。
この2つさえ特定できれば、正規分布の位置や広がり具合は特定されます。
この株価で言えば、ランダムな動きは上がるか下がるかの五分五分なので、その動きの期待値である「平均」は、現在の株価である1000円に等しくなります。
A社が普段から値動きの激しい暴れん坊であれば、当然想定される株価のばらつきも大きくなります。
その結果標準偏差も大きくなり、正規分布は横に広がった形になります。
こうして特定できれば「結果がいくら以下になる確率」や「いくら以上になる確率」などの確率計算が簡単にできるようになります。
ここまででようやく!ランダム性に起因する不確実性に対処する方法を考える準備の完了です。
「不確実性超入門」を読んでやってみた
不確実性に対処する方法を学んでみた
実践してみたこと
- 確率的に対処する
確率的に対処する
さて、ランダムは予測できないけど、その発生確率は捉えることができることはわかりました。
そうするとどうやって対処すればいいのかもわかってきます。
確率的に記述できる不確実性には確率的に対処するということです。
なるほど、期待値で考えようってことね。
例えば宝くじの期待値は約半分です。
購入を続けていくと、購入代金の半分を失っていく行為です。
投資も何となくやってると、五分五分だけど手数料や税金のコストでマイナスになると考えられてます。
もちろん短期的だと利益を得ることもあるけど、長期だとだんだん厳しくなっていきますよね。
もうひとつの確率的に対処するポイントは、「たったひとつの断定的な予測で決め打ちはやめよう」です。
株を買う時はもちろん上がることを期待して買います。
でもこの「期待」は期待値の期待とは意味が異なり、「上がってちょうだい!」の期待です。
凄腕投資家で名財務長官でもあったロバート・ルービンは「蓋然的思考(がいぜんてきしこう)」という思考法で成功を収めました。
これはまさに物事を断定的に捉えず、確率的に対処していくという考え方です。
何かを意思決定するときには、たったひとつの断的的な予測に基づいて決定せずに、客観的な複数の予測に基づいて判断するのです。
「望ましい結果になる確率は80%でその時の利益は100万ドル。しかしもう一方の望ましくない確率は20%で損失は300万ドル」
という感じで、その期待値とリスクの大きさを比較して、そこから決断していくのです。
これだと最大300万ドルの損失になる可能性があるけど、期待値はプラス20万(100万ドル×80%ー300万ドル×20%)となります。
この300万ドルの損失に対する備えさえあれば、これは行こうぜ!となるわけです。
もちろん毎回成功するわけではありません。
この時は損失が発生しても長期的には成功の可能性が高まっていきます。
確率が姿を表してくるってことですね。
ルービンは「絶対確実なことなどない」という言葉を残しています。
どうでしたか?
超入門でこの難しさだと、本気モードはかなり難しそう。
ここまででも実はほんの触りなんです。
残りは是非本を確認して下さい。
リスクの測定についてなども書かれていますよ。
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