渋沢栄一の思想の集大成!「論語と算盤」は道義と勤勉なり
偉大な渋沢栄一先生に学びたい
次の一万円札の顔になられた渋沢栄一さん。
うーん、歴史の勉強で名前が出てきたくらいは覚えています。どんな人?
渋沢栄一さんは「日本の近代資本主義の父」と呼ばれる人物です。
徳川慶喜が将軍の時代に幕臣になられます。そしてパリ万博使節団としてフランスに渡られるんです。
現地では西洋の近代的な産業や制度などを見て感嘆されます。
幕末の日本からすれば、ヨーロッパなんて相当刺激的だったでしょうね!
日本に帰ると早速「商法会所」という組織を作りました。これは日本で初めての株式会社だと言われています。
その後、なんと600社近い会社の創業に携わっておられます。
現在のみずほ銀行、王子製紙、東京ガス、東京海上日動、サッポロビールに帝国ホテルなどなど。
しかも、東京株式取引所、東京手形交換所などの設立にも関わっています。
まさに日本資本主義の父。すごい功績!
そんな渋沢栄一さんの著書「論語と算盤」は、彼の思想の集大成として書かれました。
京セラの稲盛和夫さんや元ミクシィ社長の朝倉祐介さんなど多くの経営者も影響を受けて、その思想を現代に伝えています。
「論語と算盤」でのポイントは2つ。
道義を伴った利益の追求をせよ
自分より他人を優先し、公益を第一にせよ
つまり、お金儲けと世の中の為に尽くすことを両立させなさい、という教えなのです。
当時の、今もかな?お金儲けは卑しいという考えを真っ向から否定し、金銭を賤むようでは国家は成り立たないと説いています。
この本では「初世と信条」「立志と学問」「常識と習慣」「仁義と冨貴」「理想と迷信」「人格と修養」「算盤と権利」「実業と士道」「教育と情誼」「成敗と運命」という多岐に渡った内容になっています。
ここでは「初世と信条」「人格と修養」「実業と士道」などを掘り下げます。
どこも大切な教えなので、是非本で読んでくださいね。
渋沢栄一さんの「初世と信条」
渋沢さんは、社会で生きていく方針として「忠恕(ちゅうじょ)」を通してこられました。
聞いたことない言葉。
忠恕とは、良心的で思いやりのある姿勢を一貫するという意味です。
それは食事礼法にも含まれているし、人の横を通り過ぎる時、お客様のもてなし、衣服、日々の生活、全てに一貫させるのです。
言わばそれは修身、「自分を磨く」ということに尽きるのです。
これが出来れば次は「己を知る」という段階になります。
自分の身の丈を知る。身の丈を超えて進んでばかりいると、とんだ間違いを引き起こすこともあります。
しかし身の丈に満足するからといって、意欲的に新しい事をする気持ちを忘れても何も出来ない。
孔子は「欲望のままに振る舞っても、ハメを外さない」と言われてたが、そのままの通り、バランスが大切なのですね。
得意な時は誰でも調子に乗ってしまいます。災いはこういう時に起きてしまいます。
この点に注意して、得意な時だからといって気を緩めず、失意の時だからと落胆せず、いつも同じ心構えで。道理を守り続けるように心掛けていくことが大切です。
名声とは、常に困難で行き詰まった日々の苦闘の中から生まれてきます。失敗とは得意になっている時期にその原因が生まれるのです。
世の中の成功者は必ず「あの時はよく困難をやり遂げたなあ」という経験があります。
これが、心を引き締めて取り組んだということなのです。
渋沢栄一さんの「人格と修養」
人格の基準とは何か。
万物の霊長として進化した生き物ならば人と人には何の差も無いはず。
でも実際は上は王様から下は奴隷まで、その差は甚だしいです。
ましてや評価のための明確な基準を設ける難しさは更に高いでしょう。
何の教育も施さない人間は、動物との差は極めて僅かしかありません。
人が動物と異なる点は、道徳を身につけて、知恵を磨き、世の中のためになる貢献ができるという点にあります。
これによって初めて真の人だと認められ、つまり「動物の中で最も進化した証としての能力を持つ者だけが、人の真価を持っている」という事なんです。
「修養」、自分を磨く事は、どこまでつづけていれば良いかと言えば、際限はありません。
やっぱりそうなのか…。
ただし頭でっかちはいけません。
自分を磨く事は理屈ではなく、実際に行うべき事。「学問と現実の調和」こそが大切です。
決して極端に走らず、中庸を失わず、常に穏やかな志を持って突き進んでいく。
言い換えれば、自分を磨くとは、現実の中での努力と勤勉によって、知恵や道徳を完璧にしていく事なのです。
しかもそれは個人の為でなく、町や地域や国に貢献するものでなくてはならないのです。
自分を磨くというのは、自分の心を鍛えて成長させることです。
「練習」「研究」「忍耐」といった内容を全て含み、理想の自分にちょっとでも近づけるように頑張ることを意味してます。
渋沢栄一さんの「実業と士道」
武士道の教えで大切なのは
正義…皆が認めた優しさ
廉直…心がきれいで真っ直ぐなこと
義侠…弱気を助ける心意気
敢為…困難に負けない意志
礼譲…礼儀と譲り合い
この武士道は日本の長所であったのに、昔の商人は誤解していて、商売においてはこれらを大事にしていては立ちいかないと考えられていたのです。
「武士は食わねど高楊枝」なんて商人にはあってはならないとされてました。
しかし、渋沢さんは商売人にも商売道徳は必要であると説かれています。
もし社会で身を立てようとするなら、どんな職業においても、最後まで自力を貫いて、人としての道から外れないように気持ちを持たなくてはいけません。
その上で、自分が豊かになって力を蓄えるための知恵を駆使していくのが、本当の意義ある生活、価値ある生活と言えるでしょう。
論語には親や目上をまず大切にすることの大切さも書かれています。さらに、
仁…物事を健やかに育む
義…みんなの為に考える
礼…礼儀を身につける
智…物事の内実を見通す
信…信頼される
という5つの道徳を推進することで、勤勉で質素な生活を尊重するように教えています。
「論語と算盤」を読んでやってみた
ふんふんとここまで読んできましたが、他の人はこの本をどう捉えてるのか気になって調べてみると…。
オリラジあっちゃんも動画で紹介してました。
しかも、「論語と算盤」は今まで紹介した書籍の中でナンバーワンなんやって!ええ、そこまで?!
もうこの動画見ればいいんじゃない?っていう面白さなんで是非。
「論語と算盤」の論語とは尊いけど生活では役に立たない道徳の象徴。算盤とは役に立つけど卑しい経済の象徴。
この2つの組み合わせで考えることが、渋沢栄一さんの考えの集大成なのです。
これって現在のコンプライアンスとか企業理念の数々の礎になってると思いません?
この本読むと、今まで綺麗事言ってんなーぐらいに舐めてかかってたコーポレートガバナンスも深く理解できるんですよね。
今まで学が無くて申し訳ありませんでした。
もし自分も会社とか作ったら、論語から考えようっと!
著者 渋沢栄一 守屋 淳(翻訳)
出版社 筑摩書房