羽生善治永世七冠「決断力」とは直感と集中力と情熱
ヒリヒリとした勝負の世界で勝ち抜くための精神力
この本を読むと得られるもの
羽生さんの勝負に対する考え方がわかります。
決断力を養うのに必要なものを学べます。
才能は何から生まれるのかがわかります。
羽生善治さんは中学生でプロ棋士となり、4年で初タイトルの竜王位を獲得されます。
そこからは前人未到の将棋界初!7冠全てのタイトルを独占されました。
とにかく伝説づくし。
チェスも始めてみたらグランドマスター。
対局にはなぜか見事な寝癖で登場。
そんな羽生さん…、なんて呼んだらいいのかわからない。今現在は無冠なんです。
そんな羽生さんの意思決定の秘訣に迫った本です。
勝機は誰にもある
直感の七割は正しい
勝負に活かす「集中力」
「選ぶ」情報、「捨てる」情報
才能とは、継続できる情熱である
の項目で書かれています。
ここでは、羽生さんの勝負の場面での精神力、その才能の源泉について要約してみます。
仕事にも勉強にも、日々の生活にも影響を与えてくれる一冊です。
是非本を手にとってみて下さいね。
羽生善治の勝負論。平常心と勇気と積極性
羽生さんも「勝負に勝つ秘訣」を聞かれると、答えに窮するそうです。
技術や知識も大切ですが、とりわけ追い込まれた時の精神力が勝負を左右します。
一回勝負なら奇策もアリですが、勝ち続けるとなるとそうもいきません。
ましてや相手も選ばれしプロ。
ギリギリのせめぎ合いで、楽観もせず、ましてや悲観もせず。
ひたすら平常心で、じっと期待せずに待ち、相手のミスがあって初めて形勢は有利になります。
相手の嫌がる手を繰り返すため、論理的な思考ばかりしていると、局面が複雑になり答えが分からなくなり、判断が難しくなります。
この中で相手にとって嫌な筋ができてきます。
それをいつ突くか。そのタイミングが極めて重要なんです。
羽生さんのその一手は「羽生マジック」と呼ばれますが、羽生さん本人は奇をてらってる意識は一切ないそうです。
対局中の一つ一つの判断の違いは小さい差であります。
でもそれが10、20と積み重なると大きな差になります。
ここで2通りの人間に分かれます。
不利な状況を喜べる人間と、喜べない人間です。
将棋界は勝負の世界なんで前者が多いですが、やっぱりそれでも形勢が不利になると気持ちが落ち込んでしまいます。
落ち込むと目や心が曇り始めます。
あくまで冷静に自分のペースを守ることから手が見えて来るそうです。
トップで争っている人たちは、自分の欠点も裏返すとその人の一番の長所であったりします。
だからそれを消そうとすると、また別の欠点が出てくるのです。
勝負には流れがあります。
よくスポーツの解説でも流れが変わった、とかありますが、やっぱり勝負には流れってあるんですね。
僕レベルの勝負だとあまり流れを実感した事がないです。
流れは人為的に支配できるものではないそうです。
流れを作るのではなく、流れに乗っていく。
しかし、波は幾度か変わります。つまりお互いに何度か勝機があるという事です。
しかも勝負を決定するのは「ただの一手」であったりします。
金を上げるか、王が寄るか程度の違いだそうです。
ヤムチャ目線だと違いが分かりませんが、そういう細かい動きが大切なんですって。
自分が優勢になった時に「保険をかけて」安全な手を選んでしまう。
「負けてはいけない」という気持ちが先に行ってしまうと、集中力を欠き、ためらいが生じます。
結果、逆転負けという事が起こります。
勝負どころではあまりごちゃごちゃ考えないのも大切です。
ロボット研究をしている金出先生もエンジニアリングの基本は「問題を定義されたままに解いた方が良い」と仰ってます。
羽生さんも、複雑な局面に立ち向かったり、物事を押し進める時の合言葉になると仰ってます。
可能性が広がるのはそっちなんですね。
知識は知恵に変えてこそ自分の力
将棋には「定跡」というものがあります。
勝負のロードマップみたいなものです。
定跡は情報として非常に大切です。
しかしただ記憶するだけでは、実戦ではほとんど役に立たないそうです。
そこに自分のアイデアや判断を付け加えて、より高いレベルに昇華させる必要が出てきます。
将棋に限らずとも、現代の私たちは膨大な情報と知識に埋もれがちになります。
情報におぼれるのではなく、まずは自分の頭で考える事が先決です。
将棋の歴史は長いですが、きちんと体系づけて考えられるようになったのはここ20年だそうです。
意外とめっちゃ短い。コンピューターの進化に合わせて急激に進歩したのですね。
定番だった定跡も実は間違いでしたは多々あります。
鵜呑みにしないで、もう一度自分で判断し考える事が、本当に大切だと分かりますよね。
つまり知識は単に得ればいいものではなく、知識を積み重ねて理解する中で「知恵」に変えないと活かすことができません。
金槌もコンピューターもただ持ってるだけでは役に立たず、使う技術があって初めて役に立ちます。
先述したように、将棋で最も大切なのは一つの場面で正確な判断をすることです。
対局中には、これまでの経験から多くの知識がバラバラに思い浮かびます。
これはジグソーパズルみたいなもんで、次の一手を方向性や戦略に基づいてピースを連結するのが知恵なんです。
つまり「何かを覚える」それ自体が勉強になるのではなく、それを理解してマスターして、自分のものにする過程が最も大切です。
他人を見ててもわかりません。自分で実際にやってみて初めて理解できます。
理解できると非常に大きな手応えとなり、何よりも嬉しい、そして新しい発見があるとまた次も頑張ろうと、前向きな気持ちになれます。
羽生さん曰く、将棋を通して知識を「知恵」に昇華させる術を学んだが、その大切さは全てに当てはまる思考の原点である。
勢いはいつまでも続かない事も理解しておかないといけません。
「七冠を達成した当時と今では、どちらが強いですか?」
そんな質問もよくされるんですって。
答えは、今の自分が勝つそうです。かっこいい。
今の方が考える幅とか選択の範囲は明らかに広いそうです。
だからと言って、必ず勝つかというとそうとも言い切れない。それが勢いなんです。
勢いのある時は、考えが浅くても結果として良い手を選んだりするそうです。
スラムダンクの山王戦を思い出した。
今の羽生さんが若い頃の将棋を見ると、「危ない橋を渡っているな」と思うそうです。
危ないところでも危険を顧みずに平気で渡っていける、それがある種の勢いであったことは間違いありません。
しかし勢いはいつまでも続きません。必ずどこかで止まります。
一方経験は積めば詰むほど良いものです。
上手くいった経験もありますし、同時に上手くいかなかった経験もたくさんあります。
その経験を活かすにはどうすればいいかと羽生さんは最近よく考えてるんですって。
経験を積んでいろんな方法論や選択肢も増えてきました。
しかし一方ではその分、怖いとか、不安だとか、そういう気持ちも増してきています。
考える材料が増えるほど「これと似たような事をやって失敗したな」というマイナス面が膨らんで自分の思考を縛るんですね…。
そういうマイナスの気持ちに打ち勝つ精神力や理性、自分自身をコントロールする力を同時に成長させていかないと、経験を活かすのは難しくなります。
三択の道が見えて、その先にはこんな局面になるのではと想像できても、漠然としていて決断をするのは非常に難しいです。
戦ってこちらも傷を負うけど、結果としてわずかにでも勝っていればOK。
むしろ常にギリギリの勝ちを目指している方が確実性が高くなるとも思っているそうです。
頭の良し悪しってどこなんでしょう?
たくさんの知識を使える、記憶力が良い、計算が早いなどのも頭の中良いことだと言えます。
羽生さんはロジカルに考えて積み上げる力、見切りを付けて捨てる事を決断する力も大切と仰ってます。
直感でパッと切り捨てることが出来るのも能力ですが、そこよりも継続してできる使用熱を持てる人の方が、最終的には伸びるそうです。
報われないかもしれない事で、同じ情熱、モチベーションで計算して出来る人はすごいと思います。
僕は誘惑にとても良い弱いので、継続が苦手です。
継続こそまさに才能です。
無理をしてやめるくらいなら、「牛歩の歩み」にシフトチェンジせよと羽生さんも言ってます。
継続していかなきゃ。
まだまだ羽生さんの強さな秘密についてわからない事が沢山あります。
他の本も読んでみたいですね!
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