落合陽一「これからの世界を作る仲間たちへ」新しい時代で大切にすべきこと
魔法をかける人になるれるのか
この本を読むことで得られるもの
現代において学び続けるコツを知ることができます。
AI社会において人間がやるべきことについて考えることができます。
どのようなスキルが今後の自分に必要なのかわかります。
「ほんとうの21世紀」がやってきました。
インターネットはすでに自由な場所ではありません。
そこから脱しようとテロを起こしても、米国資本主義によって統一されたイデオロギーの中で育ったプラットフォームの上で行動するしか方法はないのです。
これからもイデオロギー単位での大きな戦いから、一人一人が作り上げる「個別の文脈」に細分化されていきます。
コンピューターという大きなものの文化的性質を知らずに生きていくことは、貧困の側に落ち、それが再生産されて抜け出せなくなりかねません。
コンピューターテクノロジーに適応化できた人が進化していく中で、格差はますます広がります。
それは専門的テクノロジーの分野のみでなく、教養として身につけるべき文化として変化しました。
デジタル計算機が生まれてより80年。均質化していた世界は「ブラックボックス化」としての「魔法」の世界に移行しようとしてます。
使いこなしているつもりでも、何が処理されているのかわからない「ブラックボックス」です。
コンピューターが人間の社会にもたらす変化は、単に便利になった、とかのレベルではなくなります。
もっと根本的なレベルで、人間の生き方と考え方に変革を迫るはずです。
この本はこんな世界でこれから戦っていく仲間に向けて、学び続けるコツを「現代の魔法使い」である落合さんが書いてくれたものです。
前世紀の1つのコンテンツ×N人の人は終わります。
これからはそれぞれ違うメディア(スマホ、PC、VRなど)を使い、n個のコンピュータ×N人の組み合わせで無限に価値観が広がる「魔法の世紀」なのです。
知的計算機と共存するために
なんか概念的な話が続いてわかりにくいと思います。
具体的な例を挙げてみます。
2012年、「ディープラーニング」が登場しました。
人間の脳のニューロンを模して作られたプログラムです。深く何層にも及ぶ神経回路を模している為「深層学習」とも呼ばれます。
深層学習の人工知能は、お手本を参照する事なく学習します。
2015年にはコンピューター自らが「絵を描く」というプログラムも研究され、人工知能が人間の創造的活動にも関与し始めました。
コンピューターの処理能力や知的生産能力は、いずれ人間を超えます。
するとコンピューターはあらゆる事を学び、人工知能が自分を自動的に進化させる事が可能になります。
その圧倒的な進化の前に、人間の進化速度は非常に遅いです。
この状況を学者レイ・カーツワイルは「シンギュラリティ(技術的特異点)」と名付けました。
人間は世界の将来を予測する事すら出来ません。
それがコンピュータと人間の作る未来なら、もちろん人間の生き方も変わらないとダメです。
英語を勉強する、プログラムを勉強する。
もちろん大切ですが、それ自体には価値はあまりなくなるでしょう。プログラムも道具に過ぎません。
重要なのはそれを使って何をするかという事です。
自分の考えをロジカルに説明して、ロジカルにシステムを作る能力です。
そこを鍛えなければ、どんなに英語やプログラムを学んでも今後の世界には通用しません。
それは「コンピュータと人間が相互に補完しあって、それ以前の人間を超えていく時代」だからです。
「人間がやるべき事」は何か?
シンギュラリティはまだ来てませんが、すでに一部はコンピュータに取って代わられ始めてます。
つまり「マルチラリティ」は始まっているのです。
「でも次の世界に向けて、何を学ぶべきなのか分からんねんけど…」
基本的には「コンピュータが不得意で人間がやるべき事」を模索する事が大事です。
「新奇性」や「オリジナリティ」を持つ仕事であるに違いありません。
少なくとも処理能力や正確さで勝負する分野は全てコンピュータに太刀打ち出来ません。
仕事を奪われるという問題ではなく、どのようにして人の良いところと人工知能の良いところを組み合わせて、次の社会に行くのかという事です。
コンピュータとの「文化交流」が必要なんです。
集合知に取り込まれるな
落合さん曰く「意識だけ高い系」にはなるな。
その特徴は
- 本人に何の専門性もないこと
- 専門性が無い故に自慢するものが「人脈」「評価されない活動歴」「意味のない頑張り」
- 色々な知識を広く浅く持っているだけで、独自性もない
「意識だけ高い系」ではインターネット文化に勝てません。
「真の意識高い系」になっていくにはどうしたらいいのでしょうか?
間違った答えは「根性」「気合い」などの言葉です。
コンピュータはそんなものが無くても動き続けます。
もちろんガッツや気合いの無い人は「コンピュータが出来ないことで戦う土俵」に上がることすら出来ません。
負けない為に持つべきは「モチベーション」です。
コンピュータには「あれがやりたい」という動機がありません。
それさえしっかり持っていれば、コンピュータを「使う」側にいられるのです。
IT化される以前の世界では、大したモチベーションがなくてもやっていけました。
会社員にしろ何にしろ「実現したい価値がある」という程の強いモチベーションを持って働いている人は少なかったでしょう。
幸福を得る為に「仕方なくやっている」わけです。
しかし、そんな仕事がコンピュータによって無くなる以上、強いモチベーションを持たなければ新しい時代を主体的に生き抜く事は出来ないと言えます。
今を戦うために知るべき「時代性」
「再魔術化」の時代がやってきた
昔は火が魔法のように思われてました。
しかし科学がその謎を解き明かし、この世界は「何故そうなるのか」がわかるようになりました。
ところが今また状況が変わりました。「なぜそうなるのか分からない」事が増えたのです。
様々な技術が謎めき、わからないまま享受する時代です。
もちろん「現代の魔術」は誰かが必ずその中身を知っています。誰も知らないのは、一部の現象論的な工学以外滅多にありません。
その暗黙知を持つクリエイティブクラスにとって人工知能環境は自らの欠点や代替可能なタスクを行ってくれる第二の頭脳であり、身体です。
価値を持つ人間ななろうとするなら、何かの「魔術師」になるのが一番です。
その為には他人にはコピー出来ない暗黙知を、自分の中に貯めていく事が大切です。
誰もが知っている情報をたくさん持っていることは、今の時代、価値はありません。
オンリーワンでナンバーワン
人が持っていない専門性を持つ事自体は、そんなに難しくありません。
誰もやらない事をやれば「オンリーワン」の存在になれます。
ただし、その「オンリーワン」が今の時代に何の価値があるかは説明出来ないといけません。
今から石器時代の暮らしをすれば「オンリーワン」ですが、その意味や価値を合理的に説明出来ないと、誰にも認めてもらえません。
逆張りするなら、誰にも真似されないオリジナルなものでなければいけません。
「それを見つけるのが大変なんやけど!」
そんな時はこの5つの質問です。
- それによって誰が幸せになるのか
- なぜ今その問題なのか。なぜ先人達はそれが出来なかったのか
- 過去の何を受け継いでそのアイデアに到達したのか
- どこに行けばそれが出来るのか
- 実現の為のスキルは他の人が到達しにくいものか
この5つの質問に答える事が出来たららそのテーマには価値があります。
小さな問題を解決する事がクリエイティブな事業を生み出します。
だからこそ、まずは問題を発見する事が大切になります。
「好きな事を見つけろ」と言われると、何が好きなんだろうと自分の内面に目を向ける人が多いでしょう。
しかし「自分が解決したい小さな問題を探せ」と言われたらどうですか?
意識は外に向かいます。
そうやって気になる問題があれば、それが「好きな事」「やりたい事」であると思われます。
今は新しい問題解決には必ずコンピュータが入ってきます。
コンピュータで何が出来るかを知るのも大切です。
「これからの世界を作る仲間たちへ」を読んでやってみた
時間の切り売りよくない
時間を切り売りする仕事を選ぶと、人生は「お金を稼ぐ時間」と「休む時間」に分かれます。
こうなると「ワークライフバランス」とかを考えざるを得ません。
そのバランスがワークに偏ると良くない!というのが今の風潮だと思います。
いや、違うんです。
ワークライフバランスが問題になるのは「好きな事」「やりたい事」を仕事にしていないからです。
それができればワークライフバランスなんて考える必要すらありません。
時間を切り売りしたお金で余暇を楽しむのは、大体「消費」行動です。
一方ライフとワークを区別しなかったら、やりたい事やってるわけで「消費」の時間はほとんどなくなります。
本を読むのも、何か作るのも全部「投資」となるのです。
このブログも好きでやってるけど、早く他の人にとって「価値あるもの」にしないといけません。
とりあえず今後必要なのは
- 言語化する能力
- 論理力
- 思考体力
- 経済感覚
- 専門性
です。特に専門性ね。何でもいいから「自分にしか出来ない事」は価値として十分です。
関連まとめ
人生100年時代を生き抜く為に役立つ本のまとめを書きました。
是非合わせて読んでみて下さい。めっちゃ役に立つと思います。
著書名 これからの世界をつくる仲間たちへ
著者 落合 陽一
出版社 小学館