新しい飲食店経営論!佰食屋の素敵な経営に感動「売上を、減らそう」
超ホワイト企業はどのようにして出来たのか?
この本を読むと得られるもの
- 売上だけを追いかける組織の限界について考える事が出来ます。
- 新しい価値観の提案こそが、次の働き方のスタンダードになるかも知れません。
- マネージメント論としても面白い本です。
中村さんが夫婦で始められたステーキ丼専門店「佰食屋」さん。
世の中の飲食店が抱える悪いイメージである
- 土日連休は忙しいのに給料は一緒
- 勤務時間が長い
- ギリギリの人数でお店を回している
を全て払拭されました。どうやったの??
それは「1日100食限定」です。
早く売り切れたら、早く帰ることが出来るのです。
そうすると必ず「もっと売れば?」「夜も営業すれば?」と言われます。
そもそもなぜ売上増を目指すのでしょうか?
それは多分従業員の為でもなく、社会の為でもなく、経営者が「自分の為に」自己資金を貯めておかないと不安だからです。
そこに中村さんは違和感を感じられました。
一番大切なのは従業員のみんなです。
だから佰食屋さんが出した答えは「売上をギリギリまで減らす」なんです。
この常識を全てひっくり返した佰食屋さんの経営って、気になりません?
この本では、
- 超ホワイト企業「佰食屋」はどのようにして生まれたのか?
- 100食という「制約」が生んだ5つの凄いメリット
- 佰食屋の労働とお金のリアルな実態
- 売上を目標にしない企業は社員に何を課しているのか?
- 佰食屋1/2働き方のフランチャイズへ
について書かれています。
ここでは、「売上を目標にしない企業は社員に何を課しているのか?」を要約して掘り下げたいと思います。
勉強になるだけでなく、とても感動する1冊です。
是非読んで下さいね。
超ホワイト企業って社員に何を求めるの?
超ホワイト企業とは、社員を甘やかす会社ではありません。
働きたくなる職場を作りつつも、そこに相応しい人材を揃えていきます。
佰食屋さんではどのようにされてるのでしょうね。
佰食屋では社員証を作る事になりました。
社員証には緊急連絡先と従業員特典が書かれています。
従業員にはテイクアウトが半額で買えるのと、肉と卵が原価で買える特典があるのです!
この社員証は裏が真っ白だったので、なんかもったいないなと、とっさに出てきた言葉を書かれました。
「会社は明日の責任を。みんなは今日の責任を」
「会社はこれからの集客や広報に責任を持ち、お客様にたくさん来て頂く努力をし、みんなを大切にします」
「みんなはお客様が限られた時間の中で最大限満足して頂けるよう、接客・調理・おもてなしの努力をし、お客様を大切にします」
佰食屋が従業員に求めてるのは現場力ってことですね。
佰食屋は、数量限定で整理券制度、時間交代制の予約不可というスタイルです。
これにはお客さんの協力が欠かせません。
協力が仰げない場合はクレームにつながる事もあるでしょう。
毅然とお断りしないといけないことも出てきます。
その際にいかに適切に対応するか。どのような態度でどのような言葉を選ぶか。
これをクレド(行動規範、信条)として伝えることが重要です。
クレドには「どうするか」が書かれていません。
「今日の責任を担う」為には、自分はどんな事が出来るのか、自ら考えて行動に移してもらう為です。
中村さん自身が売り場に立つ事はほぼ無くなりました。広報や人事の仕事に集中されてます。
その為に、現場に多くの権限移譲を行い、現場で解決出来る体制を作られたのです。
佰食屋では、従業員に何か特別にお願いする時には、立場や経歴でなく、「その人自身の個性」で選ばれてます。
百貨店へお弁当を納品する担当のYさんは、自分から周りに話しかける事の少ない寡黙な人です。
でも絶対遅刻もしないし、本当に真面目に働かれる方なんです。なので、
「百貨店にお弁当を置いてもらうのは念願の夢。そんな大事な仕事を君に託したい!よろしく!」
と、「納品担当」の役割をお願いされたのです。
すると納品初日、Yさんは普段より1時間も早く出勤されました。「絶対に行かないと!」という責任感からでしょう。
中村さんはそれほどまでに真剣に取り組んでくれた事に感激されました。
大切なのは、その人の個性や得意なことに名前を付けてあげることです。
すると、本人も自覚していなかった自分の長所に気付く事が出来ます。
そしてそれを他の従業員も周知する事で、周りもお願いしやすく、本人の自尊心も高まり、スキルも向上する、という好循環が生まれました。
佰食屋には世間的には「就職弱者」と言われる人が多く働いています。
これは、これまでの苦労がたくさんあるからこそ人に優しく出来る人が本当に多いということに気付かれたからです。
「仕事が出来る人」は周りの同僚が手際が悪いとどうしてもイライラしてしまいます。
それは周りにも伝播してお店の雰囲気も悪くなってしまう。
多くの会社は「就職弱者」と呼ばれる人たちの、素晴らしさを見落としているのです。
多くの会社は「優秀な人材」という漠然とした言葉を使っています。
しかし、会社の目指す方向や価値観でそれは違ってくるはずです。
いかにそれを定義明確にするかは、これから労働人口の減る社会において、とても重要なことです。
「誰かいい人材はいないか?」と言う前に、経営者は「どこかにいい会社はないのか?」という問いに堂々と名乗りをあげれる環境が用意出来ているか、考える必要があるのです。
「なぜダイバーシティを実現できたのか?」と聞かれる事がよくあるそうです。
佰食屋は経産省のダイバーシティ経営企業100選にも選ばれています。
なぜかと聞かれると、「いいと思った人を採用してたら、たまたまそうなった」だけだそうです。
シングルマザー、障害のある人、外国人。従業員の多様性は、お客さんの多様性にもつながりました。
従業員が普通に対応出来るのは、普段から従業員同士の多様性の中で、助け合い何をすべきか自然と学んでいるからです。
そんな対応が自然に出た時は、中村さんは嬉しくて、みんなの前で大袈裟なくらいで褒めます。
その人が勇気を出して誰かの宝になった事を、周りも評価して「今度は自分もやってみよう」と思ってくれます。
多くの従業員が「こんな自分でも大丈夫かな…?」という思いを持って、勇気を出して佰食屋に応募されました。
面接でじっくりと向き合い、大切にしている思いを引き出し、仲間としてやっていける!と確信すれば、中村さんはその場で真っ直ぐに
「わたしはあなたと働きたいです。佰食屋で一緒に働いてくれませんか?」
と伝えられます。
中村さんからすれば、「よくぞ佰食屋を見つけてくれてありがとう!」という気持ちです。
しかし、これを言われた従業員の方は、めちゃめちゃ嬉しかった事でしょう。
今、通勤の電車の中でこれを書いてるけど、感動してウルウルしてきたぜ…。
ほんと見事な会社方針だと思います。
「売上を、減らそう」を読んでやってみた
優しい会社が素敵すぎた
こんな会社作りたい!と本気で思う素晴らしい本でした。
確かにスキルではなく人間関係を一番重視する人事、むしろそれしか気にしない人事。
売上が上がるかどうかだけの運営って、一部の人が気にするだけで、末端の現場では二の次だったりします。
僕も売上はゲーム感覚にした方が、現場ではしっくりする気がします。
もちろん全部がそうってわけではありません。
でも、アドラーも言ってるように、人間の悩みはほぼ全て人間関係です。
これからの時代、新しい人材を確保し続けるのは大変です。
一人の人に出来るだけ長く働いてもらえるような環境作りが大切ですよね。
何の為に会社があるかと言えば、一人では出来ないことをする為です。それなら人間関係が一番大切です。
かと言って、なあなあな人間関係になればいいのかと言えばそれもまた違う思います。
この線引きが難しいんですよね。
ピシッと締めるとかは締めないとですが、ここで役立つのが「人たらし道」と「神トーク」だと思います。
ギブ&ギブの精神で、説教なんかで相手の自尊心を傷付けることもせず、自己重要感を満たしていく。
ここが大切なんよな。
人のマネジメントって一番大変な仕事だと思います。
組織の中、特にまとめる立場の人は是非一度読んだ方がよいと思います。
「理想論だろ」って言ってる人も、ちょっと憧れる部分はあると思います。
効率厨だった僕もかなり価値観が変わりました!
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これからの社会では「人間だけに出来ること」は何かを問われる働き方が必要になります。
佰食屋さんにような多様性ある人財が活躍できる社会です。
著書名 売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放(ライツ社)
著者 中村朱美(佰食屋)
出版社 ライツ社