よく言われる商売の秘訣は独自のウリを作ること。これは間違いでした。
本当の秘訣は「USPによる問題解決」です。
そんな秘訣を読みやすい小説形態で紹介してくれる本です。あなたの商売をブラッシュアップするきっかけになると思います。
起業の真実がわかる!USPを小説で学ぶ「鈴木さんの成功」
あの「神メンタル」の著者が書いた起業小説!
僕がその一年で読んだ本の中から特に面白かったものを選出する企画、「読んでやってみたアワード」。
2019年度で一番の金賞に輝いたのが「神メンタル」です。著者は星渉さん。
その星さんが書く起業をテーマにした実用書小説。これは楽しみだと期待に胸を膨らませ読ませて頂きました。
いやー、面白かった!神メンタルの実践版という内容でした。
鈴木さんは起業の夢をUSPで叶えた
主人公は鈴木さん。毎日スーパーで特売の惣菜を買うのが日課のしがないサラリーマン。
もうこの時点で鈴木さんとシンクロ率100%で暴走モードに入るかと思いました。
そんなある日、帰り道でばったり元同僚の神田と出会います。
神田も以前は鈴木さんと一緒に惣菜を買っていた仲間。しかし唐突にコンサルとして起業する為に退職したのです。
そして今や神田は人気コンサルタントとして成功を収めていたのでした。
鈴木さんは神田と話しているうちに、何か今までに感じた事のないもどかしさを感じました。
そして「自分の人生、このままでは終わりたくない!」という想いに火がつくところから物語は始まります。
この本の重要ポイントは「独自のウリ、は売れない起業家の考え方。大切なのはUSP。USPとはお客様との究極の約束」です。
ここではこの本丸のUSPについて書いていこうと思います。
USP?テーマパーク?
いえ、USPとはUnique(独特の) Selling(売る時の)Proposition(ご提案)。売る時の唯一のご提案です。
ここで注意。ビジネス書ではよく「独特のウリ」という言葉が出てきますが、USPを独自のウリだと思うと痛い目に合います。
独自のウリを探そう!となると多くの人が今の自分にはどんなウリがあるか?と自分の中からウリになるものを探す。
ビジネスとは「お客様の問題解決」です。
極端にいうと大食いが得意とすれば、大食いができるデザイナーとかにしてしまう。
これはお客様の問題解決に何の関係もありません。
逆にUSPは「独特のうり」ではなく、「お客様への究極のお約束」であると書かれています。
何の約束か?それは「私のところに来たら、あなたの問題をこんな感じで解決しますよ!」という約束です。
人気のサービスや商品にはこのUSPがあります。
USPがあるとまず一瞬でお客様に選ばれるし、単価を上げることも出来ます。
USPがあると顧客動線を創った時に、それぞれの場所で、一瞬で選ばれ、お客様の流れ、も生まれます。
逆にUSPがないと顧客動線は機能しないのです。
USPは顧客動線とセットでこそ効果を発する
ここで出てきた顧客動線。これって?
魅力的な商品やサーブスを作ったぞ!しかし売れない。なぜ?!もっとサービスを強化しなきゃ。
これは泥沼。まずやらなきゃいけないのは、商品の中身を見直すのではなく、お客様が迷わず、考えずにズバッとたどり着ける道を作ることが必要なのです。
最も売りたい商品やサービスを「本命商品」と呼びます。本命商品は必ず一つです。
お客様に選択肢を与えると結局お客様は迷ってしまい、選ばず帰り二度と来ません。
そして継続性を持たせましょう。一回で終わりではなく何回も利用したくなるものです。
この本命商品に続く道が顧客動線です。
いきなり本命商品を売り込んでも、いきなり求婚しても失敗するのと同じで成功しません。
本命商品の前にはお試し期間の「個別体験」が必要です。
ここで注意は個別体験で「お客様を満足させる」ことはしちゃいけないって事です。
お客様を満足させてしまうと「必要になったらまた来ます!」と問題解決していないのに本命商品に繋がらないのです。
個別体験の目的は、「こんないい事待ってますよー」と本命商品への欲望を与える事なのです。
ただしここでも注意です。
いきなり個別体験を売り込んでも、いきなり告白しても失敗するのと同じで成功しません。求婚よりイタくはないけどダメです。
それならその前に「みんなでご飯行こうよ」にあたる「フロントエンド」の出番です。
フロントエンドの目的は「みんなで体験しよう」=お客様に気づきを与えてもっと知りたいなと思ってもらう事です。
そしてさらにそのフロントエンドに導くのが、ご飯に誘う前の出会いの場です。
大きく分けてリアルとウェブです。
ウェブはブログとSNSです。
ブログとは「お客様の問題解決辞典」であります。自分の悩みが全て書いてある辞書を発見すると何度も戻ってきます。
英和辞典にはフランス語の掲載はされていません。そんな辞書は誰も使わないでしょう。
ブログを辞書型ににすると、あなたに興味がある人しか来ないのです。
SNSはこのブログを拡散し、誘導するために働きます。
そこからメルマガに繋げて、メルマガでフロントエンドに繋いでいきます。
本当のUSPを創る3つのステップ
ここで話をUSPに戻しましょう。
ではお客様の問題を解決するUSPの作り方とは?
ステップ1。たった一人の理想のお客様を創る
ステップ2。たった一人の理想のお客様の問題を抜き出す
ステップ3。最も解決したい問題のビフォー→アフター像を創る
ステップ4。ビフォー→アフター像を究極のお約束化する
ステップ1のお客様像は月に100回来て欲しい理想のお客様のイメージです。
年齢、性別、職業、家族構成、性格、好きなものまでギッチリ作り込みます。
ステップ2ではこの理想客の100の問題を考えます。6つのカテゴリーで15個ずつ考えましょう。
カテゴリーとは、不安、不満、悩み、痛み、解決したい問題、満たしたい欲です。
ステップ3は理想のお客様がそのサービスを受けたらどう変わるかです。
ステップ2を見つめると何度も同じ問題が出てくることがわかると思います。それが今お客様が最も解決したい問題です。
その問題を解決すればどうなるのかを明確にします。
ステップ4は「究極のお約束」に変えます。ビフォーアフター像を言葉としてまとめます。
他の人がやっていない事、聞いたことがない言葉に変えていきます。活動に対して代名詞となる名前もあるか考えます。
ここは具体例も交えて詳しく紹介されています。
非常に大切なので是非本で読んでくださいね。
「鈴木さんの成功」を読んでやってみた
いざUSPを作るとなると難しいんです
自分は奈良をテーマにしたお土産のTシャツを作っています。
お店に置いてもらう時にチラシを作ろうと思い、さっそくUSPに取り組んだんですが…。
めちゃめちゃ苦労しました。
お土産を買うのに問題解決とかあるん?ってことはそもそも商品としての魅力もないんじゃないの?
でも奈良にはほんま適当に(失礼)商売やってるお土産屋さんはたくさんあります。
なぜあのお店は潰れないんや?というか土日はお客さんがめっちゃいてるし。
お土産はどういう時に買うか?思い出を残したいからよね。
思い出は人に喋りたい。喋るきっかけになったらなというストーリーに落としました。
これ、いつまでも時間があるといつまでも考えて終わらないんで、お店に営業に行く日から逆算して締め切りを作ってとりあえず完成させる。
あとは売りながらブラッシュアップしていくって流れになりました。
こんな感じでこの本は副業や起業を考えてる人には非常に良いバイブルになると思います。
是非読んでください。
著書名 鈴木さんの成功。
著者 星渉
出版社 マネジメント社