
強い戦略はまさに芸術!最強の商売のバイブル「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」
一貫性と具体性が統一された戦略は美しい…!
完成された戦略は美しいのです。
この本は物語形式なのですが、最後の決着シーンは鳥肌すら出る完成度の戦略性に感動します。
点と点かと思っていた戦略が一気に一本の線として繋がった時、顧客に感動を与えます。
そんな芸術戦略を考えるはどうすれば良いのか?
この本を読めばきっちり理解出来ます!
続編もあるのですが、そっちのラストはもっと凄かったんでどっちも読んでください!
マーケティングって「商品の売り方」って程度に思われがちです。
いえ、美しい戦略は違います。
マーケティングとは、商品企画、工場での生産、広告、営業、市場調査など「お客様に関する全てのこと」です。
日常生活でもマーケティング脳は鍛えることが出来ます。
日頃の買い物、食事など買った、買わなかったの全ての理由を記録して分析してみましょう。
値段が高かった、隣のより美味しそうに見えた、パッと目に入った、などなど。
自分も手帳を持って、記録していきました。
5つの重要マーケティング理論
マーケティングって買い手からすると、「そんなん当たり前やん」みたいな話ばかりですよね。
この「当たり前」を理論化、体系化することが重要です。
それが出来ていないと勘、経験、気合いのクソ3Kに頼るハメになります。
それだとどこがダメだったかの検証も出来ないし、失敗から得るものが何も無くなります。
この本での5つの最低限の重要理論はこちら。
1・ベネフィット…お客様にとっての「価値」
2・セグメンテーションとターゲティング…お客様を「価値」でくくる
3・強み・差別化…競合との「価値」の差
4・4P…「価値」を実現し、対価を受け取る為の売り物、売り方、売り場、売り値
5・想い…提供する「価値」を通じて、世の中にどう役に立ちたいか
見てわかるように、全てはお客様の「価値」なのです。
それと冒頭から言ってるキーワード「一貫性」と「具体性」もよく考える必要があります。
一貫性は論理的であるということ。お客様と商品の一貫性は、お客様が欲しい商品を作るということ。
具体性とは肌感覚です。具体的にどんな人なのか。具体的にどんな強みなのか。
これがないとお客様に刺さらないものになります。
ベネフィットとは「何を売っているのか?」
ベネフィットはマーケティングで一番重要なポイントです。
もしケーキ屋なら何を売っていますか?「もちろんケーキやん」
本当にケーキを売ってるんですか?
ケーキを通して「友達の家に行く時の喜んでもらえるお土産」「誕生日パーティーで盛り上げたい」と売ってるのではないでしょうか。
ケーキ屋=パーティー盛り上げ屋なら、ケーキのデコレーションとかも一緒に売って良いかもです。
パスタの隣に同じ麺類だからと、うどんも並べてる売り場はダメです。
パスタの隣にはミートソースを置くべきなのです。パスタとうどんは一緒に食べないのです。
ベネフィットはこの「お客様にとっての価値」のことです。
十分注意したいのが、これって売り手になった途端にわからなくなるんですよねー。
ひたすら商品の機能とか説明していませんか?
テレビを売る時には画質がどうこうじゃなくて、お客様は「家族団欒」を買いたいのかもしれませんよ?
誰があなたの商品を買うの?セグメンテーションとターゲット
「でも、その価値ってお客様によって変わるよね?」
そうなんです、みんなバラバラなんである程度分けて考える必要があります。
車で考えてみます。どんな車を乗っていますか?
家族が多い人はワゴンとか乗ってるかもしれません。独身ならスポーツカーかもしれません。
車ならシェアカーで十分と車を持つことに必要性を感じていないかもしれません。
これらの全てのニーズを満たす車を作ることは出来ないので、どこかのニーズに絞ってアピールしていくことになります。
セグメンテーションで一番難しいのは、どう分けるかです。
よくありがちな「20代女性をターゲットにします!」は全然ダメです。
20歳女子大生と25歳新入社員と29歳育児中のママを一緒に考えても、被るニーズなんてほとんど無いですよね。
こういう分け方ではなく、価値で「くくる」意識の方がしっくりくると思います。
その為に、まずは価値を具体化します。どんな付加価値までか具体化です。
「三度目のデートでお嬢様タイプの女の子に告白して、見事付き合いたい」ぐらいの感じです。
それを次に普遍化します。この場合だと「人目も気にならない良い感じのシチュエーション」です。
最後に同じような価値を求める人で括ります。
「社長が秘書とバレずに不倫デートをしたい」も同じ付加価値かもしれません。
この場合だと世代も年齢も違いますが「お値段もちょっとするけど、落ち着いたレストランニーズ」が満たせるわけです。
価値でくくってみて、「ゆっくり語らうニーズは30代カップルに多いよね」という結果であれば、「30代カップルをターゲットにします!」でいいわけです。
かなりポイントだけ押さえて書いてます。
物語形式で読むともっとわかりやすいので、是非本で読んでみてくださいね。
自分を選んでもらえる、強み・差別化
さて、これでお客様の立場に立てることになりました。
でも、まだ売れません。「同じ価値を提供する競合」がいるからです。自分の価値が競合より高い必要があります。
そこで競合より自分を選んでもらうための「強み」が必要です。
この「強み」を使って「差別化」するので、同じものと思って下さい。
気をつけたいのが「価値の差」であって、性能・品質・機能などの差ではありません。
マクドナルドの強みの一つが「店舗数」になりますが、それだけでは「価値の差」になりません。
「自分の家の近くにある」「規模の経済により価格が安い」などが価値の差になります。
競合とは、お客様の価値によって決まります。
マクドナルドの競合ってどこ?と聞くとロッテリアとかモスバーガーという答えが返ってきます。
しかし「お手軽な昼食」が価値なら吉野家やコンビニ弁当も入ってくるでしょう。
「ちょっとお茶しながら友達と喋りたい」ならスタバやファミレスなんかが入ってきます。
つまり競合とは「同じ価値(使い方)を巡って競う相手」なのです。
競合が誰かによって、強みも変わるのです。
ここを明確にしないと、強みのアピールも全く見当違いになってしまいます。
強みの差別化は大きく3つしかありません。
手軽軸…競合より早い、安い、便利
商品軸…競合より高品質、新技術
密着軸…競合より顧客の「個別ニーズ」に対応した密着感
この3つの軸は掛け合わせてはいけません。2つを満たせるのはほぼありません。
最悪なのは中途半端です。商品軸の筆頭とも言えるAppleのiPhoneが、手軽軸も追求し始めると売れません。
そして、最低限3つの軸が平均以上であるのも必要です。お手軽軸でもまずい(商品軸)ラーメン屋には行きません。
これ商品企画会議でよく迷走するポイントですよねえ。
どのように価値を届けるか「4P」
これもマーケティングの基礎中の基礎です。
売り物(商品、サービス)…これを通じてお客様に価値をもたらす
売り方(広告、販促)…価値をお客様に伝える
売り場(販路、チャネル)…お客様に価値を届ける経路
売り値(価格)…会社に価値の対価がもたらされる
ここでもキーワードは全て「価値」ね。終始「価値」の事を考えるんだ。
ここで重要なのは、戦略と戦術の一貫性です。
戦略は「考え方」で戦術は「具体的な行動」です。
森永のミルクキャラメルのターゲットは年配の方なんですが、スーパーでは子供のお菓子売り場にあったりします。
それを高齢者が来る和菓子や煎餅などの売り場に置いたら、売上が4倍になったという話もあります。
これが戦略と戦術の一貫性なのです。
世の中にどう貢献したいか?想い
ここだけ異質に感じるかもしれません。自分は「え?想い?なんか急に精神論やな」と思いました。
これはベネフィットよりも広い意味での貢献意思です。
先述した4つの理論の背後にある、全ての「核」となるのが「想い」です。
想いは現実的な経営ツールでもあります。お客様だけでなく、従業員もこの旗印の元で働きます。
想いは会社の長期的繁栄やコンプラなどの自己防衛という意味でも、必要なものなのです。
ディズニーランドとかはこの「想い」の塊ですよね。
ゴミが落ちていない、ビルが見えない、キャストがイキイキと働いている。
ディズニーランドが本当に凄いのは、「夢と魔法の国」という「想い」を「一貫性と具体性」で、徹底的にとことん、めっちゃくちゃ隅々まで実行している事です。
会社やお店の強さは最終的にこの「想い」の強さで決まります。
「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」を読んでやってみた
新店の立ち上げに使ってみた
以前に新しくオープンするお店の立ち上げに、この理論を使って説明しました。
「うちのウリはこれで、だからここに訴えて〜価値が〜」みたいに。
これがね、めっちゃ理解されたのね。
新人からベテランまで同じ考えで動くんですよ。
意見もどんどん出てくるのですが、みんな一貫性を持って話するのね。
めっちゃ感動ですよ。
本当なんて便利なツールなんだと思いました。
逆にポイントだけで話していると、商品軸なのにセールの企画を持ってきたりとグッチャグチャになります。
続編も発売されてます。
さらにマインドフローなども追加され、磨きがかかった戦略になっていると思います。
こちらもラストは圧巻の戦略が登場します。
このツールはぜひ使いこなして欲しいので、本を読んで欲しいですね!
著書名 新人OL、つぶれかけの会社をまかされる (青春新書PLAYBOOKS)
著者 佐藤義典
出版社 青春出版社