おとなの教養

池上彰「おとなの教養」で学ぼう!本当の教養となる現代のリベラルアーツ

池上彰さんが考える現在のリベラルアーツって?

リベラルアーツってご存知です?

たまに聞く「海外のエリートはリベラルアーツを学んでいる」という言葉。

 

これは、ギリシャ・ローマ時代に起源を持ち、ヨーロッパの大学で学問の基本として見なされた教科のことです。

文法、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽の7教科です。

リベラルは自由、アーツは技術や学問、芸術を意味します。つまり「人を自由にする学問」という意味です。

こういう学問を身につけていると、様々な偏見や束縛から逃れ、自由な発想や思考を展開していく事が出来るのです。

 

 

世界トップクラスのハーバード大学では、リベラルアーツが基本教育です。

ハーバードでは学部で4年間のリベラルアーツ教育を受けた後で、医者になりたいなら医学の大学院へ、弁護士なら法律の大学院に行くのです。

「ハーバードの人生を変える授業」を実践して幸せになるんや

 

マサチューセッツ工科大学も同じくリベラルアーツを勉強します。

マサチューセッツ工科大学では科学の最先端を研究しています。

もちろん学生にも最先端の事を教えるのですが、世の中の進歩は早いので4年ほどで陳腐化してしまいます。

そんな知識だけを教えてもしょうがない。そうではなく、社会に出て新しいものが登場しても、それを吸収していく力を身につけるための大学の勉強なのです。

 

すぐに役立つ事は、すぐに役に立たなくなる。だから本当の教養とは、世の中の動きが速くてもブレる事なく、自分の頭で物事を深く考える事が出来るようになるものなのです。

 

なるほど。現代での教養とはどの辺なんやろ?

池上さんは「自分自身を知る事ことこそが現代の教養である、と仰ってます。

池上さんが考える「現代の自由七科」とは次のラインナップです。

 

1・宗教

科学が発達していなかった時代、人々は様々な問いの答えを、超自然的な存在に求めました。

雷や台風や洪水など、人間の力が及ばない大きな存在がいると人々は考え、そこから宗教は生まれました。

宗教によって古代の人は世界の成り立ちを理解しようとしたのです。

 

2・宇宙

宗教が生まれ、「神様が創った世界の論理」の追求をしていくようになりました。神様が定めた世界の論理でどんなのだろう?というきっかけから科学は始まったんです。

やがて地球があり宇宙があり、と色々な事が明らかになっていきます。さらにこの宇宙はどうやって生まれたのだろう?という研究になっていきました。

宇宙を知る、とは「自分たちはどこから来たんだろう?」を知ることに繋がるのです。

 

3・人類の旅路

宇宙が誕生し、地球が生まれ、そこから人類が生まれました。

人間の歴史も不思議ですよね。昔はネアンデルタール人が進化したのが今の人類と言われてたのですが、全く別物らしいです。

そして染色体を調べると、ネアンデルタール人の染色体も混じってるのが発見されたので、2種類が交わっていた時代もあったみたいです。

どうやって人類は進化していったかを調べる事も「自分自身を知る」に繋がっていくんです。

 

4・人間と病気

これを書いている2020年3月31日は世界中でコロナウィルスが問題となっています。

人間の遺伝子を見てみると、ウイルス由来のものが入っているそうです。実はそれによって人類は進化しているのです。

つまり病気によって私たちは進化してきているのです。だとすると、病気を知る事も人類を知ることになります。

 

5・経済学

人類はやがて社会を作り、経済活動を始めるようになりました。するとお金持ちと貧乏人が生まれ、景気も良くなったり悪くなったりもします。

なぜそんなことになるのか?そのメカニズムを知るために経済学は生まれました。

そして経済学によって歴史は大きく変わってきました。

 

マルクスがマルクス経済学を打ち立てて社会主義が生まれ、それが撃沈するという歴史が生まれました。

経済学が生まれ、経済学者が新しい論理を生み出すことで世界が動いていく。ダイナミックですよね

この世の中の仕組みを知るには経済学は欠かせません。

 

6・歴史

これまでの人類には様々な事が起きてきました。その事例の発生には、なんかしらの論理があるのでは?という思想が始まり、様々な歴史が書かれ始めました。

その誰かが書き残したものがあるから、現在歴史として認知されているのです。でもその記録は時代の勝者が残したものという側面があります。

これも歴史を勉強する上で大切な事です。

 

7・日本と日本人

そして最後の7つ目は日本とは?です。この定義もよくわからないものです。

日本人とは?を突き詰めると同時に自分とは?も問いにも繋がります。

 

以上が池上さんの「現代の自由七科」です。

是非全編通して読むべきなんですが、ここではさわりの部分ですが、「宇宙」について書いていきます。

是非通して本で読んでください。

宇宙とヒッグス粒子

ヒッグス粒子は仮説から生まれた

本では宗教からの宇宙の流れです。それは天動説から地動説へというところからドラマは始まります。

それまで地球が動いているなんて発想はなかったので、空に浮かぶ星たちがグルグル動いているんだと考えられてきました。

1609年、ガリレオ・ガリレイが手作りの天体望遠鏡で星を観察していると、木星の周りを衛星がグルグル回っているのを発見するのです。

その時ガリレオは「もしかして地球も何かの周りを回ってるんじゃ?」と思うのです。天才。

 

実はそれ以前にも同じ考えを持つ人物がいました。16世紀前半に活躍したコペルニクスです。

コペルニクスは天体観測しているうちに地球の周りを太陽が回っているのではなく、太陽の周りを地球が回っている事に気づくのです。

コペルニクスは地動説を唱え始めたのです。それこそ今までの常識に真っ向からぶつかる行為。凄すぎコペルニクス。

 

そして17世紀アイザック・ニュートンが、落ちるリンゴを見て、「なぜ地球に太陽は落ちてこないんだろう?」と考えたのだ、という話がありますよね。

その疑問を探求した結果、全ての物体にはそれぞれ引っ張り合う力があるのだと気付き「万有引力の法則」を導き出します。

質量がある物体同士は、それぞれ引っ張り合う力が働き、その力も物体同士の距離とそれぞれの質量で決まるというのが「万有引力の法則」です。

ニュートンはこの法則を使って、惑星の動きの説明を完成させました。

つまり万有引力の法則は、地球だけでなく宇宙でも同じように働いている事を明らかにしたのです。

 

しかしここでややこしいのがキリスト教教会です。天動説がキリスト教教会公認の考え方だったのです。

つまり地動説はキリスト教批判であり、当時のキリスト教の権威の前では自殺行為でもあったのです。

実際コペルニクスは、死後にこの研究を発表し、それに賛同したブルーノという学者は火あぶりの刑になりました。ガリレオも裁判にかけられ、地動説を捨てるように命じられます。

もちろんガリレオもカトリックですし、コペルニクスは司祭でもあったのです。

権威の前では、自分たちが信じている事と科学的な見地が異なると、科学の方を否定するのです。

 

現代でもかつてのキリスト教と同じような人が多いですよね。

自分が信じているものと矛盾するものを、矛盾しているものの方を否定する人。これ書いててホント嫌になる。

しかし宗教の真理と研究はどちらも宇宙の謎を解明しようという点では同じなので、ややこしい関係性でありますね。

その後大きな発見をしたのはアメリカの天文学者エドウィン・ハップルです。

彼は宇宙が膨張している事を発見します。

音が遠くなるドップラー効果は光でも同じで、近づいてくる星からの光は青く、遠ざかる光は赤く見えるのです。

ハップルは銀河系の外の光は全部赤みがかっている事を発見したのです。

 

続いてロシアのジョージ・ガモフが、

宇宙は一点から大膨張して宇宙が生まれ、広がっているんじゃという説を出します。「ビックバン理論」です。

キリスト教はまさに神が宇宙の始まりであるという理論と結びつくのでビックバン理論は歓迎してます。ややこしいなおい。

 

ガモフは宇宙の始まりは超高温、超密度の火の玉のような状態で、それが大爆発して膨張してると唱えました。

そうすると、最初の玉はどうやってできたのでしょう?

最初の火の玉は粒子が急激に膨張してビックバンになったと考えられてます。それを「インフレーション理論」と呼びます。

その粒子を仮説付けたのがイギリスの学者ピーター・ヒッグスです。

そう、ノーベル賞の「ヒッグス粒子」って名前は彼から来たのですねー。

 

そこからこのヒッグス粒子を見つけようと世界中の学者が奮闘し、2012年にとうとう欧州合同のチームが発見したのです。

これにより宇宙誕生の謎は大きく解明されました。

 

「おとなの教養」を読んでやってみた

リベラルアーツの重要さについて調べてみた

リベラルアーツについて気になったので調べてみました。その中ではこの「Think!」という雑誌の記事が一番面白かったです。

AIビジネスの先駆者、石角友愛さんも寄稿されてますよ。

来たる時代に備えて!「今こそ知りたいAIビジネス」

 

グローバル化して分かったのが、日本企業の幹部と外国のグローバル企業の幹部との大きな差は「勉強量」だそうです。

日本と外国での読書量の差は4倍以上。

日本ではゴルフと天気の話ができればOKだったのが、ビジネスがグローバル化し外国人との会話も増えると教養の差が歴然となるんだそうです。恐ろしや。

そうなるともう生き残れませんよね。だからこそ日本でもリベラルアーツが見直されてるんですって。

 

この本で書かれてた幹部に必要な教養は

  1. 健康的で活力ある超高齢化社会経営
  2. 資源・エネルギー活用の規律による環境保全
  3. 先進課題解決に対応する日本の実力の向上
  4. 経済・金融分野の貢献と影響力の制御
  5. 異なる宗教、文化、国家間の共通行動規範確立
  6. 先端科学・技術の効用と新世界観の確認

でした。これらの分野はこのブログでも押さえていかなきゃですねえ。

 

哲学や歴史、科学に言語という普遍的な知識があると、どの常識が疑うべきものか分かってきます。

これによりAという知識が新しい世の中で使えなくなっても、新しいBという知識に適合できるようになります。

リベラルアーツで普遍的な知識やスキルを身につけて「したたかに生きる」ための足腰を作りましょう!

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著書名 おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書)

著者 池上 彰

出版社 NHK出版