
この本を読むと得られるもの
- わかりやすい長所がなくてもアピールする方法が学べます
- キャッチコピーでの価値の上げ方がわかります
- 「もったいない現象」からの脱出が図れます
「こだわりバカ」こんなに良いのになぜ売れない?!コピーひとつで出来る差別化
キャッチコピーを考えるのが苦手です
ラーメンもアートも伝統工芸品も、みんなこだわり抜いて作ってます。
「こだわり」という言葉にも色んな意味があります。
選びすぐる、吟味する、心を込める、細部まで手を加える、独自の方法、譲れない想い。
でも手間暇かけて、考え抜いて作り上げた商品やサービスに対して「こだわり」という安易な「こだわりのない言葉」で表現するのはとてももったいないと思いませんか?
どんなものを食べても「ヤバい」しか感想言えない人と同じです。
さらに問題は、作り手や売り手はお客様が求めていない「こだわり」にこだわってしまっている事が多いです。
これでは「こだわり」がただの自己満足になってしまいます。
懸命にこだわっているのに売れていないなら、「こだわりバカ」になっている可能性があります。
「こだわり」という言葉だけでなく、各業界には様々な安易な言葉が溢れています。
飲食店…厳選した素材 昔ながらの製法 伝統の技術 自慢の逸品
旅館…おもてなし 隠れ家 真心込めた 極上の料理
企業の理念…お客様第一 地域密着 イノベーション
他の業界にもきっとあるはず。
こんな言葉を使っていると、価値を伝えるどころか下げてしまいます。
こういう言葉を選んでいる会社や団体には共通するポイントがあります。
客観的な視点がなく、内側からしか見ていない
競合と並べてみると、全て横並びの同じ言葉になっているケースが多いのです。
こだわりがないと諦めているパターンも数多くあります。
特に地方自治体など。
「有名な観光資源がない」
「これといった名物がない」
それでも、きちんと魅力を掘り下げて、刺さる1行に凝縮した「言葉」にする。
そしてそこにしかない「物語」を発信していけば、多くの人の心を掴む「選んでもらえる物語」を生み出す事が可能です。
この本では、
- 「こだわりの〇〇」という言葉を安易に使うお店は、結局何もこだわっていない
- なぜ日本の大学は「世界にはばたき」「未来を拓く」学校ばかりなのか?
- 名物も観光資源もない地方自治体の逆襲劇
- たった1行の言葉で会社の価値を最大限に引き上げる方法
の項目で、「もったいない現象」からの脱出方法を学ぶ事ができます。
言葉が変わると、その価値を最大限に引き上げる事ができます。
その1行に共感してくれたお客様がファンになり、社員もモチベーションが上がり、知名度が右肩上がりになり、業績も右肩上がりになります。
商品だけを売って、飛ぶように売れる時代はもうとっくに終わっています。
ものを売ろうとしても、余計に売れなくなります。
必要なのは「物語」を売る事です。
その為に一番必要な要素があります。
「発信者の志や哲学を1行に凝縮し、旗印を掲げる」
です。
その旗印から物語は生み出されます。
先述したありきたりの言葉では、物語の旗印にはなりません。
きちんとした旗印は、何千万のお金をかける設備投資よりも、会社の価値を引き上げることになるでしょう。
そんな素敵な言葉を見つけるためにも、是非この本を読んでみて下さいね。
言葉の選び方を学ぼう
似たようなラーメン屋さんが2軒あって、どちらかに入ろうと思います。
A店「厳選したとんこつを使用。こだわりの一杯をぜひ!」
B店「放牧で育てている養豚場からとんこつを取り寄せて、毎日6時間煮込んだスープを使っています」
大抵の人はB店を選ぶと思います。
でも、世の中のほとんどのお店が「こだわりの〇〇」と書いているだけで、具体的なこだわりを書いていません。
日本は「こだわり」の安売り状態です。
もちろん、どのお店も一生懸命に考えて、他の店との差別化を目指して頑張っています。
しかし、最終的に「こだわり」という言葉を選んだ事で、他の店との違いがわからなくなりました。
もう今は少々のこだわりではみんな反応しなくなりました。
もちろん中身は大切です。
どんなに立派な旗印があっても、商品がダメならアウトです。
しかし、良い商品を作っていれば売れる、は幻想です。
良い商品だから売れるわけではありません。
良い商品だと思われたが売れるのです。
「こだわり」などの常套句は便利なのでついつい使ってしまいます。
使う前に、本来どういう意味なのかを考えてみます。
「こだわり」という言葉は、大きく7つの意味で使われています。
それぞれの意味でどのように書き換えられるのか見ていきましょう。
①材料を選び吟味する 例)こだわえい素材の野菜スープ
言い換え…「吟味した」「選りすぐった」「時間をかけて選んだ」
②それだけを使用する 例)天然酵母にこだわったパン
言い換え…「天然酵母のみ使用」「天然酵母しか使っていません」「赤字覚悟で」
③守り続けてきた 例)創業以来こだわり続けてきた製法を大切に
言い換え…「ずっと守り続けてきた」「大切にしてきた」
④徹底する 例)生牡蠣は安全にこだわって仕入れています
言い換え…「当たり前」「入念にチェックして」「妥協しない」
⑤ポリシーや信念がある 例)シェフのこだわり
言い換え…「哲学」「信念」「わがまま」「生きざま」
⑥大切にする 例)結果にこだわって
言い換え…「大切にする」「重視して」「これだけは譲れない」
⑦心を込めて工夫した 例)こだわりの製法で
言い換え…「心を込めた」「丁寧な」「渾身の」「寝食を忘れて」
まず表面的なインパクトを考えるのではなく、その仕事が本来持っている一番価値のある原石を見つける事が何より重要です。
そこさえ見つければ磨けば必ず光ります。
言葉を強くするポイントとしては、
- 常套句を避けて、出来るだけ具体的に書く
- 言葉の化学反応を考える
- 圧縮して言い切る
常套句を避けるのは先述でもありました。
例えば「当店はくつろぎの空間でこだわりの鍋料理をおもてなしの心で提供しています」というお店の紹介文があったとします。
めっちゃ定型分なキャッチコピーですよね。どう変えていきましょう?
「お座敷に掘りごたつで完全個室。名物「鰯のつみれ」が自慢のちゃんこ鍋で心の芯まで温まれ」
具体的になりましたね。自分が体験している風景も浮かびやすくなりました。
言葉の科学反応とは、それぞれの言葉は平凡であっても、異質な言葉が組み合わさると、お互いが化学反応を起こして強いフレーズになる現象です。
「こども店長」「肉食女子」「負ける建築」などが有名なキャッチコピーですよね。
大学だと、一般的に「学ぶ」場所ですよね。
その反対語の「遊ぶ」を組み合わせるとどうでしょう?
「世界で遊べる人、募集中 〇〇大学」
おお、なんか糸井重里さんが作ったようなキャッチコピーになりました。
「世界にはばたく」「グローバルな人材を育てる」とかよりはずっと引っかかりがあります。
そして「圧縮」です。
言葉は強引に短く圧縮したほうが強くなります。
「俺の敵はだいたい俺です(宇宙兄弟)」
「努力した者全てが報われるとは限らん。しかし!成功した者は皆すべからく努力しておる!(はじめの一歩)」
圧縮して言い切ると「強いフレーズ」になっているのがわかります。
「こだわりバカ」を読んでやってみた
一発で引きつけるキャッチコピーの威力
実践してみたこと
- キャッチコピーを考えよう
注意しなければいけないのが、大企業と中小企業ではスローガンも経営理念も変わってくるという事です。
大企業だと、
「水と生きる(サントリー)」
「お、ねだん以上。(ニトリ)」
「あったらいいなとカタチいする(小林製薬)」
「地図に残る仕事(大成建設)」
「Think different(アップル)」
とか素晴らしいスローガンですよね。
でも、小さなお店や会社はもっとわかりやすく、はっきりとした主張がないと、なかなか届きません。
中小企業だと大量に広告を打つこともできません。
価格や品質で差別化するのも難しい。
となると、「広く認知される」よりも「深く共感するファンを増やす」事が大切です。
僕の場合だと、奈良を紹介するサイトと、奈良みやげを作る活動をしています。
「奈良観光をもっと素敵で楽しいものに、思い出作りのお手伝い」
これをスローガンにしていきます!
キャッチコピーって簡単そうでかなり難しいなと思いました。
是非この本を読んで練り込んでほしいです。
とりあえずこの本を読んでやってみよう、な!
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男性と女性のターゲットの違いでも言葉の選び方は変わってきます。
この間違うと全く売れません。
著書名 こだわりバカ
著者 川上徹也
出版社 KADOKAWA/角川書店
