カトパンが伝える話し方の達人たち「会話は、とぎれていい」タモリ、さんまがすごいワケ
話し方の達人は気配り達人だった
明石家さんまさん、タモリさん、阿川佐和子さん…。
色んな番組で、多数のおしゃべりマイスターと共演されてきたカトパンこと加藤綾子さん。
そんな加藤さんが見てきた達人のトーク術は圧巻です。
それを加藤さんが1冊にまとめてくれたのですが、加藤さんもさすが。文章がめちゃめちゃ美しいです。
達人のスゴ技を流暢な文章で紹介されるので「いや、自分なんて…」と最初はなるでしょう。
しかし「あー!あの時はこう返せば良かったのか!」「むむむ…そうきたか…」と唸るエピソードの連続にあなたも引き込まれるはず。
例えば関根勤さんの話。
ある生放送番組で司会者が間違って1分以上残して番組を締めてしまったのです。
本人は気付いていませんが、周りが気付きどうしようかと戸惑ってた時。
出演者だった関根勤さんが「でもねー」と番組の振り返りを始めたのです。
司会者もそれで時間に気付き、番組はもうひと盛り上がりして無事終了したのです。
さすが大御所。頼れるぜー。
相手の自尊心を傷付けることもなく、さりげないフォロー。場にいた全員が救われたことでしょう。
これ!これをマスターしたいです!
あなたも一緒にこの本を読んで、小手先の言葉述だけでない大人の会話スキルを身につけてみませんか?
言葉よりも大切なもの
気付きと気遣い
コミュニケーションを「言葉」や「ジェスチャー」など、表面的なものだと思ってませんか?
もちろん疎かにしてはいけませんが、大切なのはその裏側にある「思考」や「感情」なのです。
挨拶ひとつでも、「今日も気持ちよく働こう」と思ってるか「とりあえず挨拶しとかないと…」という気持ちからするかでは、全く違う伝わり方になります。
加藤さんが「もう仕事を辞めたい」とどん底の気持ちで働いていた時。
本番後に先輩の松尾翠さんが加藤さんのところに来て声を掛けられました。
「考えすぎなくていいよ。この番組だって、ちょっと翠さんとお話ししに行ってこよう!って遊びに来るぐらいの気持ちで仕事に来ればいいじゃない」
この一言に加藤さんは大変救われました。
普段の松尾さんの人柄ももちろんあると思います。言葉が自然と入ってくるんでしょう。
それにこういう上記の時に「やめたいならやめていいんだよ」という言葉も大きな助けにはならないもんですよね。
加藤さん自身、「辞めたい」の裏にある「悔しい」「結果を出して見返したい」という気持ちがあったのです。
そんな加藤さんに対する松尾さんの言葉は、心の負担を軽くすると同時に、仕事に対する前向きな気持ちも引き出しました。
だから本当に救われたのです。
同じように明石家さんまさんも気遣いの深い方だそうです。
常に会話を引っ張ってるイメージですが、強引にはされません。
会話の中で際どい話題を振っても、相手の雰囲気を敏感に察知して、これ以上は嫌がられるなという絶妙なタイミングで引き返します。
普段の会話でも同じなんですって。
ある食事会で、参加者の女性の交際相手の話になり、その場のほとんどの人が「あの男はやめた方がいい」とアドバイスし始めたのです。
さんまさんはみんなの話を聞いた後、
「でもあいつ良いところあるよな。魅了的なやつやで」
と、さらっと言ったのです。
好きな相手がボロクソの言われ様でつらそうにしている女性の気持ちを汲んだ言葉に、加藤さんもハッとしたそうです。
自分もいきなりこの領域には行けそうもないですが、こういう人達と時間を多く過ごして近付きたいですよね。
なぜタモリさんは愛されてるのか
「経験が浅い頃よりも、長く続けてきた今の方が、本番前に緊張するんだよね」
これは僕も尊敬しているタモリさんの言葉です。
深いですよね。慣れてきた時の怖さだったり、周りからのハードルもあがってきたりする経験を積み重ねられたからでしょう。
人前での緊張にはどの様に対処してますか?
加藤さんもオススメされてて、僕もやってる方法があります。
「リアクションの良い人」を見つけることです。
距離は関係なく、その人に話しかけるように話すのです。
もう一つは合格ラインを下げることです。
緊張しやすい人の特徴として、「自分への理想が高過ぎる」という事があります。
そんな時は「今日は最初の挨拶を笑顔で元気よく出来たら、今日は合格!」と考えるのです。
緊張しないように、ではなく「緊張しても良い。気持ちが入ってきたぞ」くらいで臨みましょう。
なぜ、あの人は愛されるのか
タモリさんがスタッフから慕われる理由
タモさんエピソードをもう一つピックアップしたいです。
「笑っていいとも!」のADさんはみな、タモリさんが大好きでした。
それは接する機会が多いからでもありません。
特別な機会は、年に1回、タモリさん主催の親睦旅行(!)があるくらいです。
そこでもタモリさんは、特に積極的に話し掛けるわけでもありません。
「笑っていいとも」には「いいとも選手権」というコーナーがありました。
そのコーナーの企画はスタッフ誰でも出せる空気があったそうです。
若手のADが企画を出すと、これはアカンのちゃう?みたいな企画でもタモさんは
「お前がやりたいならいいよ」
とOKを出してくれたそうです。
すると企画を出した人間は「タモさんに恥をかかせてはいけない。タモさんの為に頑張ろう!」とモチベーションも上がります。
もちろん、タモリさんならどんな企画も面白くしてくれますが、信じて任せてくれたことで若手は次に繋げていくのです。
このタモリさんの懐の大きさこそが、いいとも始め、多くの長寿番組を生み出したのでしょう。
このタモリさんの「場」の作り方は見習いたいですよね!
羽鳥慎一さんは「言わない」からすごい
羽鳥さんの凄いところは、司会者という主役の立ち位置なのに、絶対に主役になろうとしないところなんですって。
羽鳥さんは自分の番組で取り上げてる話題について、知ってる事でも自分の口からは言いません。
専門家やコメンテーターなど、番組が盛り上がる人に話してもらうように会話を回す技術が素晴らしいのです。
羽鳥さんは「スタジオでいっぱい喋って、オンエアでは一切自分が映ってないのが理想」と仰ってるそうです。
凄えぜ…。
僕も知ってる事とか言いたくてウズウズする方です。
しかし、コミュニケーションにおいては「知ってるけど、言わない」「わかってるけど、言わない」ことが非常に重要になる場面があります。
後輩が悩んでいる時など、こちらは答えを知っている場合も多いです。
そんな時は答えを言いたくなりますが、自分で考え、自分の言葉で口にする事で、素直に受け止め実行しやすくなるという面があります。
また、会議などでも、新人や空気を掴めてない人の発言を後押しする事で場に参加させる事が出来ます。
また然るべきタイミングでリーダーが発言を促す事で、場が進行するケースもあります。
「話すこと」は気持ちの良いものです。
だからこそその欲求を抑え、聞き役に回ったり別の人に発言を回したりすることが出来る人は魅了的なのです。
「会話は、とぎれていい」を読んでやってみた
愛される聞き方になってみたい
このブログでも散々書いてますが、「聞くこと」が苦手です。
コミュニケーションとして致命的です。なんとか上手く聞きたい。
阿川佐和子さんってインタビュアーの達人ですよね。
その技を盗めば俺だって…!
加藤さんも阿川さんからのインタビューの仕事がありました。
阿川さんはまず会った瞬間から「カトパンちゃん!」という感じで気さくに話し掛けてこられるそうです。
仕事と雑談の境目が無い会話で、いつ取材が始まったのかも分からない雰囲気だったんですって。
上手いなあ。その雰囲気が相手から沢山の会話を引き出すのね。
そしてまずご自身の失敗談から話されたそうです。
「〇〇さんに会った時、こう言ったら怒られちゃって!怖かったのよ笑」
なるほど、なるほど。後輩に教えたりする時も、その切り口だといいですよね。
失敗談を聞くと安心して、自然とこころを開くでしょう。上手いなあ。
もう一人、高島彩さんも上手いです。
高島さんは「アメトーク」のドラフト会議でも才能を大絶賛されてました。
高島さんはランチでは口数が多い方では無いのですが、頭の回転が早いから、的確なコメントが来るそうです。
聞き方のポイントとしては、
- 次に繋がる的確な相槌で、話をAからBへ展開してくれる
- 心地良いタイミングで同調してくれるので、気持ち良く喋ってしまう
のだそうです。これまためっちゃ上手いやん…。
「へー!それでそれで?」と興味を持って促したり、「どうなったの?」と展開してくれる。
もちろんタイミングや表情、雰囲気など全てが心地良さに繋がります。
俺も絶対こんな聞き方されたら気持ち良く喋ってまうわー。
絶対やろう、この相槌。
さすが一流の人達は会話が、というか接し方そのものが上手なんですね。
他にも感心エピソードが満載です。カトパンも観察力すごいなー。
見習ってやっていきたい方は是非読んでみて下さいね。
著者 加藤綾子
出版社 文響社