岡本太郎からの強烈なメッセージ「自分の中に毒を持て」
人生に迷った時には必ずもう一度読みたい
この本を読むと得られるもの
自分の意思を貫く事の気持ち良さを知る事が出来ます。
きっとあなたも「危険な道」と知りながらも選びたくなるようになれます。
ありのままに生きていける幸せを手に入れましょう。
岡本太郎さんは芸術家です。
太陽の塔の作者だというのは知ってるけど、人物としてはあまり知らなかったので調べてみました。
東京芸大に入学、11年間パリに滞在されます。
そこでピカソに感化されて「傷ましき腕」などの作品を発表されます。
その後もモニュメント、織物、家具などのデザインも手掛け、70年の日本万国博覧会ではプロデューサーを務め、先述の「太陽の塔」を設計し話題となりました。
その芸術活動は既存概念にとらわれないもので、主題から技法に至るあらゆるものを対極的にとらえる「対極主義」を提唱しました。
この本は岡本太郎さんが発想、個性、愛、常識について語っておられます。
ここではその中から特に気になったものを紹介します。
色んなところで「読むべき本」として紹介された本なので気になってました。
是非本で全部の項目も読んで欲しいなと思います。
意外な発想を持たないとあなたの価値は出ない
岡本太郎さんは、人生は積み重ねでなく、「積み減らし」だと仰ってます。
財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって自在さを失ってしまいます。
過去の蓄積にこだわっていると、いつの間にか身動きが出来なくなるのです。
人生に挑み、本当に生きるには、瞬間ごとに生まれ変わるようにしないといけません。
それには心身ともに無一物、無条件でなければならず、捨てれば捨てるほど純粋にふくらんでいきます。
これって、今の時代にこそぴったりの言葉だと思いません?まさに令和となり、新しい産業が訪れる幕開けにこそ意識しないといけないものだと思います。
自分自身の最大の敵は他人ではなく自分自身です。
自分を取り巻く状況に甘えて自分をごまかしてしまいます。
だから自分を突っ放して自分と闘う時が、本当の人生を歩むかどうかの境目になるのです。
たとえ結果が思うようにいかなくたって大丈夫です。自分は意思を貫いたと思えば、これほど爽やかな事はないと仰ってます。
そうは分かってても、やっぱり迷ってしまいますよね。
人生は二つの道の分岐点の連続です。
一方はすでに慣れた、見通しのついた道。もう一方はその方に行けば自分はどうなるのか不安な道。でも惹かれる。
ホントはそちらに情熱を覚える本当の道だけど、迷ってしまう。
そしてみんな、ほぼ必ず安全な間違いない道をとってしまいます。
しかし、社会の分業化された歯車として自分を閉じ込め、間違いない生き方をする事が本当であるかどうか。岡本太郎さんは悩み続けます。
ある夕方、ただ、この時にこそ己に決断を下すのだ!と全身に戦慄が通り抜けます。
この瞬間に自分自身になるのだ、なるべきだ。
「危険な道をとる」
いのちを投げ出す覚悟で、自らに誓われたのです。
ふう…読んでいても体に力が入ります。
特に岡本太郎さんの時代は太平洋戦争の日本。
日本の通念と全く違う芸術活動は、本当に危険な道なのです。
人間にとって成功とは何なのか?結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、努力したか、ではないでしょうか。
たとえ夢が成就しなくても、精一杯挑戦した、それでこそ満たされるのです。
危険な道は、本当は自分の行きたい道なのです。
一度死んだ人間になれ
他人から見ればとるに足らないようなものでも、自分だけでコツコツと無条件にやりたくなるもの、情熱をかたむけたくものが見出せば、きっと眼が輝いてきます。
これは自己発見です。生きていて良かったと思うはずです。
他人の目だけでなく、自分の目も気にしないでありのままで生きていけばいいのです。
ダメならダメでいいと思って、駄目なりに自由に、制約を受けないで生きていく。
そうすれば、何か見つけられるチャンスが自ずとひらけます。一日も早く実行すべきです。
「何をすればいいのかわからない!」
いえ、それが一般的です。こればかりは人に相談してもしょうがありません。
まずは、どんな事でもいいからちょっとでも情熱を感じること、惹かれそうな事を無条件にやってみるしかありません。
現実ではおそらく、上手くいかない事の方が多いです。
でも失敗したらなお面白いと逆に思って、平気でやってみればいいと仰ってます。
こういう話になると、岡本太郎さんは「どうしてそんな自信があるのか?」と聞かれます。
でも、自信があるなんて思ってないそうです。
そもそも自分と他人を比べるから、自信などというものが問題になってきます。
ただ自分が信じている事、正しいと思う事にわき目をふらず突き進むだけなのです。
やはり最大の敵は自分です。
「己を殺せ」とは人生の極意なんです。自分を殺す事で、そこから自分が強烈に生きるわけです。
自信は誰より上だという相対的価値観です。そうじゃなく、絶対感によって生きなければ駄目なんです。
いつも興奮と喜びに満ちた自分
きれいになんて生きてはいけない
岡本太郎さんがあげる「芸術の三原則」とは、
- 芸術はきれいであってはいけない
- 芸術はうまくあってはいけない
- 芸術は心地良くあってはいけない
なんかみんなが芸術に求めてるのと真逆のような…?
ただし「美しい」と「きれい」というのは全く別のものだというのです。
美しいというとは、担任洒落てるとかカッコイイとかそういうのではありません。もっと無条件で絶対的なものです。
体裁などは全然無視して、ひたすら生命が高揚した時に、美しいという感動が生まれます。
だから場合によってはむしろ醜いことさえあります。
本当に生きようとする人間にとって、人生は苦悩に満ちています。
矛盾に体当たりし、瞬間ごとに傷つき、血を吹き出し雄々しく生きる。生命のチャンピオンであり、生贄。それこそが芸術家です。
最も人間的な表情を激しく深く豊かに打ち出す、その激しさが美しいのです。
日本人は明治以来なりふり構わず大変な背伸びをしてきました。その結果経済大国になりましたが、一人一人の中身は貧しいのではないか。
もっと人間に、芸術家になるべきです。
芸術と言っても、絵を描いたり音楽を演奏したりすることではありません。失った人間の原点を取り戻し、強烈に生きている人間が芸術家そのものなんです。
「芸術は爆発だ」
これは岡本太郎さんのずっと前からの信念であり、貫いてきた生き方です。
爆発とは、全身全霊が無条件にひらくこと。
今、この瞬間。生命力と情熱のありったけを、全存在で爆発する。それが全てです。
そう吹っ切れた時に、岡本太郎さんは、自由になり、自分自身に手応えを覚えました。
「自分の中に毒を持て」を読んでやってみた
選択肢を突きつけられて考えてみた
全編にわたってエネルギーが満ち溢れた本でした。
生きるということ。おのれを殺す決意と情熱を持って危険に対面する。
惰性に生きればもしかしたら安全かも知れませんが、虚しくなる。
そんな二択を迫られると、無難な方を選んでました。
「違うやろ!そうじゃない」と心の奥底からの声が聞こえても選べませんでした。
怖いからです。
でもこの本を読んでその恐怖に向けて一歩を踏み出した瞬間から、人生は輝きだすと確信めいたものをもらいました。
怖いのは常識(と思っているだけ)にとらわれてるから。
「よし!こっちの道を選ぶぞ」と決意できた一冊でした。
人生の岐路に立たされて迷った時には必ず読んで欲しい一冊です。
著者 岡本太郎
出版社 青春出版社