ちきりん「自分のアタマで考えよう」知識にだまされない思考の技術を身に付けよう
自分で本当に考えているのか?それは単なる知識ではないのか?
この本を読むと得られるもの
- 思考のプロセスがわかります
- 具体例が豊富で思考の練習になります
- 知識の必要性が低下していくこれからの社会での思考法が学べます
著者の「ちきりん」さんはブログで政治経済や国際関係、ビジネスにキャリアアップ、流行モノに至るまで、幅広いテーマについて書かれています。
最初は一日10回ほどのページビューだったブログも、月間100〜150万PVという人気ブログになりました。
そこは一重にちきりんさん独自の視点や感覚がユニークで面白く、他の人とは一味も二味も違うものになっているからだと思います。
その辺はウメハラさんとの対談でもバキバキに発揮されています。
この本ではそんなちきりんさん独自の視点を生み出す源となっている「思考の方法論」について書かれたものです。
仕事に行き詰まった時にどう考えればいいのか。
そんな時にはその本を読めば役立つと思います。
この本では、
- 「知っている」と「考える」はまったくの別モノ
- 「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと
- あらゆる可能性を検討しよう
- 縦と横に比べてみよう
- 判断基準はシンプルが1番
- レベルをそろえて考えよう
- 情報ではなく「フィルター」が大事
- データはトコトン追い詰めよう
- クラブの使い方が「思考の生産性」を左右する
- 知識は「思考の棚」に整理しよう
という項目で解説されています。
考えようと言っても「あー、どうしたらいいんだ?!」のアタフタすることではありません。
まずはこの本で思考のノウハウを勉強しましょう!
あなたの思考は思考じゃありません。知識です
例えば、プロ野球ファンを年齢別に統計を取ると、ファンの高齢化が進んでいるというデータがあったとします。
それを見た時、どう分析しますか?
わかる事、言える事、考えうる事を出してみて下さい。
「このままでは日本のプロ野球ファンは先細りしてしまう」
「プロ野球は若いファンを取り込む努力が足りない」
「一流選手がどんどん海外に行くので、日本のプロ野球は面白くなくなる」
「このままじゃ日本のプロ野球の未来は暗い」
こんな分析をAさんがしたとします。
確かに納得です。Aさんはプロ野球について詳しそうですよね。
しかし、これは本当にAさんが考えたのでしょうか?
もしかしたら「データを見る前から知っていた」のではないでしょうか?
もしこれをデータを知る前から言えたのであれば、それはAさんが考えた「思考の結果」ではなく、持っていた「知識」ということになります。
「思考」と「知識」は違うのです。
「確かに知っていたかもだけど、データを知れば誰でもそう考えるのでは?」
確かにそうです。
しかし、全く知識のない人が「自分の頭で考えた」なら、別の結果になる可能性もあります。
野球を全く知らないBさんが、同じデータを見た場合、
「日本は高齢者が裕福なので、お金持ちのファンが増えている」
「定年後で余暇時間が長いファンが増えている」
「これからの日本のプロ野球界の未来は明るい」
こんな分析をするかも知れません。
確かにこちらも論理的な意見に聞こえます。
「実際プロ野球界は苦戦しているのに、そんなわけないやん」
という意見もあるかもです。
しかし、Bさんの考察に基づいて、「黄金時代のスペシャルDVD BOX」とか「ジャイアンツV9時代の試合を観れるチャンネル」とか企画したらどうなるでしょう?
結構売れそう。
実際アメリカのプロゴルフ業界はこのような高齢者を取り込む施策を展開しています。
でも、もしかしたらBさんはこの事をどこかで聞いていたのかも知れません、
もし本当に高齢化が進んでいるというデータからのみ考えると、AさんとBさんの意見の両方が出てきてもおかしくありません。
世の中の事象には、どんなものにも良い面と悪い面があります。
「考えうる事を列挙せよ」と言われたら、両面の意見が出てくるのが、「知識に騙されていない純粋な思考」の結果です。
ある情報から楽観的な意見しか出てこない、逆に悲観的なことしか出てこない。
これは読み手に最初からバイアスがかかっているからです。
Aさんの知識は全て正しい事です。
しかし、せっかく新しい情報を見たのに、すでに頭にある知識を引っ張り出してたら新しい思考は生まれません。
知識をちょっと置いておいて、得た情報から新たに考えて初めて、今まで出てこなかった結論に辿り着くのです。
知識は思考の邪魔をしてしまう事が多々あります。
自分が詳しい分野の新しいアイデアを受け入れることは、知らない分野のアイデアよりも受け入れるのは難しいです。
確かに。
自分の仕事でも、新人の意見って常識と違うと検討すらしなかったです。
これでは、保守的になる一方だ…。
詳しくなるほど、新しいアイデアに否定的になる傾向が見られたら、知識が邪魔している事を疑ってみるべきですね。
反対に思考力のある人は、自分の専門分野においても革新的で柔軟です。
それは常にゼロから自分で考えているからです。
過去の知識ではなく、目の前の情報から考える事ができるかどうか。
それが「思考力がある人」とない人の違いです。
もしくは「時代の変化に気がつく人」か否かの違いとも言えます。
うわあ、怖い!
知識の中でも特に影響力が大きいのが、成功体験です。
せっかく時代の変革期に触れているのに、過去の知識に囚われてしまいます。
先入観なしに考える事が出来なくなるのです。
決めるプロセス
会社で新規事業に乗り出すか否かの会議がありました。
各部門は情報を集めてきます。
とても精度の高いレポートばかりです。
1回目の会議で疑問点が浮上したので、2回目までにもう一度調査です。
そんな会議が、3回4回と突きました。
毎回素晴らしいレポートばかりです。でもなにも決まっていません。
精鋭メンバーを集めたのに、何一つ決まらないのです。
なぜそんな事が起きるのでしょうか?
それは「誰も考えていない」からです。
みんな情報集めに夢中です。
しかし、意思決定のためには「どうやって結論を出すべきか」を先に考えることが必要なのに、それを怠ったからです。
必要なのは「どの情報がどうであれば、我が社はこのビジネスに進出する。どの情報がどうなら進出すべきでない」という意思決定のプロセスが固められたら、もっと早くに結論が出たはずです。
しかも、意思決定プロセスは情報収集を始める前に考えるべきです。
なぜなら、意思決定プロセスが明確になれば、それに合わせて必要な情報だけを集めたらいいので、情報収集の時間がグッと短くなるからなんですね。
つまり会議で最初に話すべきだったのは、「我が社の意思決定プロセスはどうあるべきか」という議論ですよね。
それを飛ばして闇雲に情報収集しても無駄な作業ばかりになります。
これはなんとなく頭にあるというレベルではありません。明確に文章化されたものでないといけません。
麻婆豆腐を作ろう!と決めたら、買い物に行く前に必要な材料をリストアップ出来て、作り方も具体的に分かっているので必ず麻婆豆腐が完成します。
組織の意思決定も同じなのです。
情報を見た時にまず考えることは?
情報を見た時にまず考えるべきことは、
「なぜ?」と「だからなんなの?」
です。特に数字を見た時は必ずこの2つについて考えます。
「なぜ?」とは、数字の背景を探る問いです。
数字は何かの現象や活動の結果なので、全ての数字には理由があります。
売上が上がったなら「なぜ上がったのか?」であり、ある地域で事故が減っているなら「なぜこのエリアの事故は減ったのか?」です。
「だからなんなの?」は、データの先を考える問いです。
過去の結果がこの数字に現れているとするなら、次は何が起こるのか?
それに対して自分はどう愛するべきなのか?
これまで売上が上がってるという数字があるのなら、「この先はどうなるのか?自分は何をすべきなのか?」です。
仕入れを増やすべきなのかな?オペレーションの見直しが必要かな?
そういう感じで考える必要があります。
データを見た時は、その背景=データの前段階を考える「なぜ?」と、そのデータをどう判断し、対応すべきかと一歩先=データの後段階を考える「だからなんなの?」の2つを常に考えましょう。
考える為の力を付けるためには、情報収集やまとめるのに掛かった時間と、少なくとも同じ時間をそのデータを見ながら考える時間にするべきです。
「なぜ?」と「だからなんなの?」は、その際の秀逸な「思考のガイド」として使えます。
「自分のアタマで考えよう」を読んでやってみた
最近は知識が先行しまくりでした
実践してみたこと
- 思考する癖をつける
- 視覚化で思考を深めよう
最近本をたくさん読むようになり、知識だけはそこそこ付いてきました。
なので何か問題が起きても、「ああ、あれね」とやってたわけです。
これまさに思考してない知識だけの状態でした。
もうまさに成金ならぬ成知識です。
なんなら知識を言いたいだけちゃうのん?
なのでこの本を読んで反省しました。
一旦知識は完全にポイして、あらゆる可能性を考えるようにしました。
色々と比較もしてみます。
それに数字をグラフにするとか、思考においてあまりしてこなかったのです。
ちきりんさんはグラフ化で思考を深化しようと仰ってます。
Numbersとか久しぶりに使いました。
お金の流れとか可視化すると現実がハッキリとわかって怖いですね…。
本では要約部分からさらに思考についての流れを説明されてます。
全部で12段階あるので、まだまだ極められていません。
皆さんも本で確認してくださいね。
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ちきりんさんとプロゲーマーウメハラさんの対談です。
予想外の話に驚きの連続です。
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