Googleを創った天才2人とそれを見守る天才「How Google Works」
こんな天才同士の巡り合いってあるんやなあと感動
アメリカで今をときめく企業って言えば、AppleにAmazonにFacebook。Teslaなんかもありますよね。
さて、これらの企業に共通する部分はなんでしょうか?
AIに力を入れている?新しい事業にシフトしている?
それもまあありますが…正解はゴリゴリに創業者が前に出てくる!でした。
そう考えると、Googleの創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンなんて顔も知らない人も多いのではないでしょうか?
そんな謎に満ちた二人。本を読んで分かりました。まじ天才です。
もちろん、努力あっての事だとは思いますよ?でもそれだけでは凡人の僕では説明しきれないんです。
そんな二人の天才を見事にフォローしたのが、この本の著者の一人でもあるGoogleの前CEOエリック・シュミットです。この人もマジもんの天才です。
こんなことある?天才二人が出会って意気投合、そこにウィーっすともう一人天才がやってきて上手い事やっていくとか。
しかもエリックは64歳でラリーとセルゲイは46歳。なかなかな年の差。これで上手く行くとかありえる?よっぽどエリックが上手く立ち回らんと無理やん。
読んでてそんな奇跡とも言えるバランスにただただ感心でした。
その上、Googleってすんごい社風なんですよ。二人の若さでこんな会社を創ってしまうなんて、強くてニューゲームしかありえん。
すみません。興奮しすぎて前置きめっちゃ長いですが、本の解説に行きましょう。
この本はめちゃめちゃ面白かったので、その年の面白かった本を選ぶ「読んでやってみたアワード」にも選出しました。
Googleを客観的に多方面から分析している名著です
驚きのグーグルの企業文化について語ってみた
この本ではグーグルを文化、戦略、人材、意思決定、コミュニケーション、イノベーションという項目に沿って分析しています。
ここではグーグルの「文化」について語っていこうと思います。
ラリーとセルゲイはスタンフォード大学寮でグーグルをスタートさせた時から「ユーザーを中心に考える事」を大原則としていました。
世界最高の検索エンジンを作れば成功間違いなし!
サービスを生み出す為の戦略も同じくシンプルで、優秀なエンジニアを集めて自由を与える事が一番だとしていました。
グーグルでは今でも従業員の半分以上はエンジニアでなくてはならないとされています。
さらに、グーグルは側から見ると目標設定など業務プロセスについてもかなり大らかだったみたいです。戦略と同じようにめちゃシンプルに設計されたものでした。
著者の一人でもあるジョナサンはプロダクト管理技術「ゲートベースアプローチ」に精通していました。
これは通常明確に定義されたフェーズと目標があり、それを経営幹部が様々に管理し、会社のピラミッドをゆっくり上がって行くようにデザインされているものです。
ジョナサンは自らの役割をこうした秩序をグーグルに持ち込む事だと考えていました。普通そう思うよね。
ジョナサンはラリーにこの模範的出来栄えの計画を鼻息荒く提出しました。グーグルも長期的視点に立ってミッションを管理していくべきだ。「よくやった!」とラリーに抱きつかれ感涙の喝采を浴びるかと思いきや。
ラリー曰く「担当チームが計画を前倒しで達成した例を聞いた事あるか?」ジョナサン「いえ、ありません」
ラリー「君たちの部下が、計画を超えるプロダクトを仕上げた事があるか?」ジョナサン「いえ…ないです…そうか!」
ジョナサンはようやく気付いたのです。ラリーの言うエンジニアは従来のエンジニアの定義には当てはまらない。
グーグルのエンジニアは技術、経営に詳しく発想力も豊か。ラリーとセルゲイはそんなエンジニア達に常識を超える自由と権限を与えていたのです。
会社のビジョンに基づき行動する社員達
それはどんな企業文化だったのか。
まず、読んでて非常に衝撃を受けたエピソードを紹介しようと思います。
それまでエリックはグーグルはそこそこ普通のベンチャー企業だと思っていました。
しかし、これからの72時間で起きた事はそうした認識を根底から覆したのです。
ある金曜日、ラリーはグーグルの検索結果に表示される広告に不満を持っていました。役に立たない広告が表示されていたのです。
普通の会社だと、そこで担当責任者を呼ぶ。それから会議を繰り返し、検討して、計画をまとめ、テストが行われ、ようやく実施される。うちの会社も小さいくせにもちろんそうです。
ところがラリーは気に入らない検索結果が出たページをプリントして「ムカつく!」と書いてキッチンのビリヤード台横の掲示板に張り出したのです。キッチンのビリヤードが憧れる…。
週明けの月曜日午前5時、検索エンジニアの一人てあるジェフがメールを送りました。ジェフと数人の仲間はラリーの意見に賛同するというものでした。
ただ内容は感想だけでなく原因を徹底的に分析し、解決策を考え、5人で週末に書いたコードのプロトタイプへのリンクも貼ってあったのです。
さらにプロトタイプを使って検索した結果のサンプルも表示し、現行より優れている事を証明してました。なにこれ仕事早すぎ。
そしてそれはその後グーグルに数十億ドルのビジネスを誕生させる基盤となったのです。
それだけならず、何よりも驚くのはジェフら5人は広告担当チームのメンバーですらなかったという事!
たまたま金曜日にオフィスでラリーの掲示を目にして、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセス出来るようにする」を使命に掲げる会社が、ムカつく情報を表示するのは確かに問題であるよね、と思った。だからなんとかしようと思ったのです。それも週末に。
ええぇ何それ、どんなけ優秀…。
しかし、それはグーグルの文化ではなく、そもそも彼らをグーグルに引き寄せた「スマートクリエイティブの文化」であるとエリックは言います。
スマートクリエイティブとはどのような人材か
モノを考えることを生業とする「知的労働者(ナレッジワーカー)」は、ドラッカーが著書「変貌する産業社会」で初めて紹介した言葉です。
データもコンピューターも安価で豊富になった現代、部署を越え、国境を越えての協業も簡単に出来るようになりました。
それにより働く人間が途方もないインパクトを生み出せるようになったのです。
通常最も価値のある知的労働者は、限られたスキルにとことん習熟することで、制約の多い企業組織で成功する人間でした。
この結果、専門分野には秀でても幅が無いか、幅広い経営能力を持っていても専門性に欠けるかのどちらかになったのです。
伝統的な知的労働者とグーグルのエンジニアをはじめとする優秀な人材とを比べてみると、後者は全く別のものだとわかります。
リスクをいとわず、またリスクを伴う取り組みが失敗しても処罰や不利益を受ける事はありません。
むしろ奨励されてます。
多才で専門性とビジネススキルと創造性を併せ持っている。少なくとも従来の知的労働者ではない。
それこそがスマートクリエイティブなのです。
大抵の人間は職を探す時に重視するのは、職務や業界、報酬などです。重要ランキングでは通勤時間と休憩室のコーヒーの質の問題あたりにやっと「企業文化」が出てくるでしょう。
ですが、スマートクリエイティブは一番に「文化」を持ってきます。実力を発揮するのに最も重要だからです。
もしグーグルの信念である「ユーザーに焦点を絞る」のユーザーを株主や広告主に変えると絶対抗議のメールが殺到するでしょう。
ラリーとセルゲイは目論見書に「創業者からの手紙」を含めました。
これこそが会社の価値観。
- 長期的目標に集中する
- エンドユーザーの役に立つ
- 邪悪にならない
- 世界をより良い場所にする
といったフレーズは、今もグーグルのあり方を示しています。
従業員が深夜に一人で難しい判断を迫られる時に思い出して欲しい価値観
こそが、会社のビジョンであるのです。
この本はホント有意義な話の宝石箱やでーなので、是非他の所も読んで欲しいです。
「How Google Works」読んでやってみた
面接の話はかなり実践的で色々役に立った
この本の人材の解説の中に、面接のスキルについての項目があります。
これがまた面白くて、自分も面接にちょこっと取り入れたりしました。
グーグルの面接といえば、脳トレのような難易度の高い問題を出すって有名ですが、この本では最近ではもうやってないと書いてあります。
もう問題の傾向と対策が出回ってて面白くないからだって。
前述したように、人材の確保がグーグルではもっとも重視されています。
採用の基準を高くするほど、面接の重要度は増すそうで、履歴書より遥かに大切だそうです。
輝かしい履歴書でもいざ面接したらつまんねーって事もよくあるそうです。
セルゲイの好きな質問は
「僕が知らない、何か複雑な事を教えてくれないか?」
「あなたの仕事のうち一番重要なものは?」
「あなたのウェブ検索の履歴を眺めたら、履歴書に書かれていないどんな一面が発見出来る?」
「あなたが危機的状況に陥ったら、あるいは重要な意思決定を迫られたら、どうする?」
面接の目的は、相手の限界を確かめる事。
でも、過度なストレスをかけるのは避けましょう。
最高の面接は、友人同士の知的な会話のようなものです。
「今、どんな本を読んでる?」のような。
履歴書をなぞるだけでなく、思考能力をアピールさせましょう。そこから何を学んだのか聞くのです。
話を聞く能力、質問の理解力も測ることが出来ます。
他にも面接については色々記述されてますが、ここだけでも面白いですよね!
結構なボリュームの本ですが、どこも知性に溢れ、ユーモアもあり「これがアメリカンジョークか…」とめちゃくちゃ面白い本でした。メモの量もダントツで多かったです。
オススメです!
著書名 How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス) 私たちの働き方とマネジメント
著者
出版社 日本経済新聞出版社