
「ゲーム理論」を使えば変化する市場を先読みして行動できるようになれます!
ゲーム理論で消耗戦から救い出してください
この本を読むと得られる事
重要なスキル「ゲーム理論」を学ぶ事が出来ます。
ゲーム理論を使うと無駄な消耗戦から脱出できます。
選ぶべき選択肢を発見する事が出来る様になります。
ゲーム理論をご存知ですか?
面白いゲームを作る理論ではありません。それはそれでめっちゃ興味あるあるけど。
ゲーム理論とは20世紀初めに天才数学者フォン・ノイマンと経済学者のモルゲンシュテルンが、経済問題を分析する為の数学的な理論として考えたのが始まりです。
ゲーム理論は、利害が対立するも者同士の関係や駆け引きや分析するツールです。
その後、国や動物同士でも行動を分析できるツールだと分かり、社会学や生物学、心理学にも使われるようになりました。
なんか面白そうですよね。この本では、
囚人のジレンマ
コーディネーション・ゲーム
ダイナミック・ゲーム
行動経済学的ゲーム理論
について書かれています。
ここでは、「囚人のジレンマ」について要約して掘り下げたいと思います。
他の項目は是非本で確認してくださいね。
ゲーム理論の特徴
ゲーム理論の特徴は、ひとつのゲームとして複数の人や組織の間で起こる状況を客観的に俯瞰するところにあります。
ゲーム理論が有効なのは、私たちは基本的に俯瞰が苦手だからです。
自分の視点ではよくわかっているのですが、それでは問題の本質は掴みきれません。
やはりその為には想像力が必要になりそうですよね。
他者の立場ならどのように見えるか。こうした多面的な視点で問題解決を試みるのがゲーム理論の最大の特徴です。
でも、言うは簡単やけど、なかなか難しそうですね。
そこで登場するのが「単純化」です。
これこそもうひとつのゲーム理論の特徴的です。
複数のものが影響し合う状況は、細かく見ていくと複雑過ぎます。
細部も大切ですが、わかりにくいようなら最も重要なポイントに意識を集中した方が掴みやすくなります。
ゲーム理論では、複雑な状況の中から、プレイヤー、戦略、利得という3つの要素だけを取り出して、状況を単純化して考えようとします。
プレイヤー
- その状況の中で中心的な役割となる人や組織
- 状況の中で問題の本質に関わる人物や組織は誰なのかを考えて、そこに集中する
- 慣れないうちは2人に絞る
戦略
- 各プレイヤーが持つ選択肢のこと
- 結果に影響を与える重要な選択だけに集中
利得
- 起こり得る結果のプレイヤー達にとっての望ましさ程度のこと
- 2人のプレイヤーがそれぞれ2つの戦略を持っている場合、結果は4通りあるが、これらがそれぞれのプレイヤーにとってどの程度望ましいかを数字で表す
- あるプレイヤーにとっては望ましい結果でも、他のプレイヤーの望む結果であるとは限らない
最初は「そんなに簡略化して大丈夫?」って感じになりますが、プレイヤー、戦略、利得を適切に抽出することが出来れば大丈夫です。
ビジネスでは顧客、競合、取引先、銀行など様々なステークスホルダーと利害関係、相互依存関係を築いています。
また環境もかつてないスピードで変化して、これまでに経験したことのない問題にぶち当たると思います。
こうした問題の多くは複雑化した関係性によって発生しています。
だからこそゲーム理論は役立つのです。
囚人のジレンマ
一番有名なゲーム理論が「囚人のジレンマ」です。
囚人のジレンマは、2人の容疑者がそれぞれ警察から司法取引を持ちかけられるというストーリーです。
条件① 2人とも自白したら2人とも禁固1年
条件② 2人とも自白しなかったら禁固1ヶ月
条件③ 1人だけ自白したら、自白した方は釈放。しなかった方は禁固3年
イチかバチか釈放を狙って自白するか?でも相手も考えてたら1年…。どうでしょう?
プレイヤーは囚人の2人。
戦略は「黙秘する」か「自白をする」の2択。
利得は4通りですね。
それぞれの利得を点数で可視化します。
釈放が3、禁固1ヶ月が2、禁固1年が1、禁固3年が0、みたいな感じです。
囚人のジレンマにおける重要な情報はすべてこの利得表にて表されます。
2人の相互依存関係をシンプルに捉えてますよね。
ナッシュ均衡を見つける
利得表で構造を表すことが出来たら、次は結果の分析です。
囚人で言えば、黙秘するのか自白するのかが最も知りたいとこですよね。
行動を予想する時に研究者がまず注目するのが「ナッシュ均衡」です。
ナッシュ均衡とは「お互いに相手の戦略に対して最適な戦略をとり合っている状態」を指します。
ジャンケンで相手が出す手がパーとわかってれば、チョキを出すのが最適戦略です。
同じように相手の行動を固定しての最適解を考えます。
もし相手が「黙秘」の場合、一番利益が大きいのは「自白」です。
もし相手が「自白」の場合、一番利益が大きいのは、こちらも「自白」です。
ナッシュ均衡はお互い最適な戦略ですから、この囚人のジレンマの場合は「共に自白」の状態だけがナッシュ均衡になるわけです。
ナッシュ均衡が重要な理由の一つが「安定性」です。
お互いに最適ですから「行動を変えよう」という動機がありません。
その為一度ナッシュ均衡に落ち着くと、その状態が安定する傾向があります。
「でも共に黙秘したら、2人とも釈放じゃないの?」
ですよね、「共に自白」は2人とも損しています。
確かにそうですが、2人の囚人が自分の利益だけを考えたら「自白」した方が得になります。
つまりナッシュ均衡とは、他人を犠牲にすると自分が得する構造なのです。
個人の利益と全体の利益が対立している為、それぞれのプレイヤーが自分の利益だけを追求すると、全体としては望ましくない状態に落ち着いてしまう
これが「囚人のジレンマ」の本質的な構造です。
商売の「値下げ合戦」がまさに囚人のジレンマです。
相手に勝つ為に価格を下げて、ライバルは更に価格を下げる。
どちらも下げると損するのに、「共に下げる」を選んでいるナッシュ均衡なのです。
「ゲーム理論」を読んでやってみた
時間的な視野の重要性を学んだ
囚人のジレンマでは客観的な視野で問題を解決する事を学びました。
それプラス、時間的な視野も加えないといけないのです。
今の行動が変わると、将来の行動も変わるというわけです。
「やる気がある人を雇ったけど、人事評価をきちんとしなかったからモチベーションを下げてしまった」
これが完全にそのパターンです。
自分の行動とその結果の間には時間差があり、行動がどのような結果を引き起こすかを長期的な視点で予想しておかないと、望まない結果に陥ってしまうのです。
そしてせっかく評価システムを作っても、きちんとした評価が出来てないとダメなんです。
例えばサボってる社員を面倒だからとマイナス評価をつけないと、大丈夫とわかってますますサボります。
当初は「評価する」が正しかったのに、相手の出方によって変わってしまうということなんです。
めっちゃありがちなだけに、恐ろしい…。
そうならない為のコツは、「終わりから逆算して考える」ことです。
「売れ残りは嫌だから値下げしよう」は長期的に見ると、あえて値下げしないことが正解です。
値下げされるまで買わない、という行動を生み出すからです。
ゲーム理論を少し勉強するだけでも、めちゃめちゃ思考が広がります。
面白いんで、是非読んでみて下さいね!
著書名 マンガでやさしくわかるゲーム理論
著者 川西諭
出版社 日本能率協会マネジメントセンター
