「引き際に利己で会社を潰すアホ社長と利他で会社を継ぐデキる社長」後継者問題は最難関
立派な社長もここでつまずくのね
この本を読むと得られるもの
- 後継者問題の難しさについて理解できます
- 自分が働く会社も直面する問題を知れます
- 多くの会社の実例が学べます
よく会社は二代目、三代目が会社を潰すって言われてます。
本当なんでしょうか?
身の周りで言えば、父親は三代目で会社を畳んだし、僕が今勤める会社は三代目です。
他人事じゃない。
この本でいう「利己」「利他」ってどんなところに出るのでしょうか。
父親の場合は、明らか利己だった様に思えます。
しかし、社長の交代って大変ですよね。
孫さんや柳井さんのような名経営者であるほど大変です。
中小企業だとバトンタッチってどんなタイミングなんでしょう?
社長のやる気?健康?後継者の登場?
社長の交代はきちんと仕組み化するのが良いのかもですね。
この本では、
- 社長の天国と地獄
- 見る前に翔べ
- 答えは社内にある
- 社員を信じて任せる
- 引き際の美学
- M&Aという選択も
の項目で、いかに次の世代に最善の形で継承するかについて書かれています。
創業5年で倒産する会社は85%、10年だと94%です。
その点では、うちの祖父も父親も立派な経営者だったと言えます。
そう考えると、社長交代ってまさに落とし穴ですよね。
世の中を知る上でも、知っておいて損のない知識をが満載です。
ぜひ読んでみてくださいね。
後継者選びの問題点
引き際を美しくすることは、どんな偉業を成し遂げた社長でも大変です。
特に創業者は至難の技ですよね。
いつか退陣することは絶対です。
でも、いつかと言いつつ決断できません。
その為にタイミングを謝り、晩節を汚し、それまでの偉業を台無しにしてしまうのはもったいな過ぎます。
でも、今まで数々の決断をしてきたのに、なぜ難しいのでしょう?
大きくは3つの理由になるそうです。
- 後継者がいない
- 事業継承後の不安
- 権力欲、自己肯定欲
中小企業は社長が全てです。
会社の成長は社長の成長です。
経営者の回想録を読んでも、順風満帆なお話はひとつも無かったです。
むしろ波乱万丈すぎ!ってものばかり。
新規事業や全く新しい何かを生み出さない限り、会社の存続が難しい時代であることは、社長なら誰でも知っています。
新規事業を興すときに大切なのは、しっかりと撤退ラインを決めることです。
成功体験にしがみついて撤退を考えないやり方は、事業継承においても同じ結果をもたらします。
重要な点は、優秀な社長の落とし穴は、成功が邪魔をするという事です。
断固たる信念の持ち主ほどそうなりがちです。
流通の革命児であったダイエー創業者中内さんも、晩節は悲惨でした。
ワンマンが過ぎて、赤字に転落。その後スカウトした河島社長がV字回復を達成します。
しかしそこでなんと、中内さんが再度トップに復帰したのです。
そしてもちろんわちゃわちゃに…。
あんなにすごかった人も、ひとつ間違えばそうなるんですね…。カリスマと言っても人間なんやなあ。
後継者選びの難しさたるや
優秀な人物で間違いない社長。
おそらく他の会社のことでしたら、客観的に的確な判断で、見事に解決策や潮目について判断を下せると思います。
しかし、これがまた厄介な事に、いざ自分の事となると気付かない、もしくは気付いても「むだ大丈夫…!」と潮時を見誤ってしまうのです。
かの本田宗一郎さんも、この病にかかってしまいました。
当時のホンダは空冷式のエンジンで髙い技術を誇っていました。
しかし、若い技術者から空冷式は時代遅れで、水冷式の開発をすべきだという主張がなされます。
宗一郎さんは空冷にこだわります。
そんな時、意を決した副社長の藤澤武夫さんが、宗一郎さんの元に赴き、
「あなたは社長として残りますか、技術屋としてホンダに残りますか」
と問いかけたのです。
宗一郎さんは「やっぱり俺は社長として残るよ」と答え、論争に終止符を打ちます。
これが後の本田宗一郎さんと藤澤武夫さんの両者同時引退という見事な引き際に繋がるのです。
本田宗一郎レベルでもそうなるのか…。
一流の社長は、自分が会社のボトルネックになる前に、次への継承を考えないといけないのですね。
完璧とも言える引き際を示された京セラの稲盛和夫さんも、己のエゴとの戦いだったそうです。
「自分の才能で、寝食も忘れて頑張って働いたから成功したんだ」
そんなエゴが頭に浮かんでしまいますが、破滅を招くと思い直し、自らを律してこられたのです。
一流の人達ですら困難なのですから、中小企業なら絶対にしっかりとした準備が必要です。
人の承継には、たいてい5年以上の年月が必要です。
なので早めの後継者の選定が必要です。
次に資産の承継です。
自社株の承継が基本です。経営権を後継者に集中させるのなら、自社株も集中させる必要があります。
そうなると税金対策や他の相続人との兼ね合いもあるので、どう分割するか早めに考えておかないといけません。
最後は知的資産の承継です。
知的資産とは、貸借対照表に記載されない無形資産のことです。
競争力の源泉である人材、知的財産、組織、経営理念などなど。
これこそ、まさに真の事業承継領域であると言えます。
これらを押さえておかないと、強引に進めても上手くいきません。
社長は事業継承を行う前にしっかりと会社の問題を解決しておかないとです。
「全てのノウハウはわしの頭の中だ!」とか言ってる場合ではないのです。
「いざ!後継者を指名するぜ!」
一番重要であり、最も難しいのがこの指名です。
ここを失敗すると全てが崩壊します。
社員から選ぶのか、外部から連れてくるのか、親族から選ぶのか。
それぞれ短所と長所がありますよね。
社員からの場合、候補者達には基本周知させない方がいいそうです。
お互いに競争し、それが会社にプラスになる事はほぼありません。
そしてふさわしいか否か見定めます。従業員としては素晴らしくても、経営者としても素晴らしいかは別問題です。
その時、自分の分身となるような教育はしてはいけません。
そして、こいつだ!と決めたら、その際には他の候補者たちの処遇も考えないといけません。
会社にとって大切な人達です。
社外から連れてきた場合、いきなり孤立する恐れがあります。
最初は人心掌握にエネルギーを使ってしまうので、二期程度は傍に置いておいた方がいいかも知れません。
最後は中小企業の定番、世襲です。
このメリットは早いうちから英才教育が出来ることです。
一から現場で働かせるのがいいかもです。
ファーウェイの世襲は見事過ぎてびっくりですよ。
そして信頼できる優秀な部下の育成も必要です。
みなカリスマである先代ばかり見ていると思います。
親族であろうと、自分を支えてくれるスタッフには心からの本音でぶつけなければ周りの心は動きません。
あとはタイミングだけです。
これは時期に合わせて育成し、徐々に任せる事を増やしていきます。
社長は我が子かわいさで物事が見えなくなる恐れもあります。
会社は社長の私物ではありません。
会社においては、社員、理解関係者、さらにはお客様から受け入れられる必要があります。
社長がどんなに言い張っても、受け入れられなければそれまでです。
大塚家具とか、まさにその典型で…おや?誰か来たようだ…。
「引き際に利己で会社を潰すアホ社長と利他で会社を継ぐデキる社長」を読んでやってみた
いろんな会社について調べてみると面白い
藤澤武夫さんと稲盛和夫さんがカッコよ過ぎてつらい。
僕は社長でもないし、参謀でもないけど、勉強になりました。
知らなかったのですが、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文さんも最後はお家騒動だったのですね。
次男を次期社長にしようとして、創業者である伊藤雅俊さんから認められなかったんですって。
めちゃくちゃからカリスマな経営者で、よくテレビでも拝見してましたが、最後はゴタゴタだったのですねえ。
本当にもったいない!
自身が社長になるならもちろん、自分が働いている会社も人ごとではないので、是非読んで勉強しておきましょう!
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Googleは事業継承も復帰も完璧だったのよね。
凄すぎる…。
著書名 引き際に利己で会社を潰すアホ社長と利他で会社を継ぐデキる社長
著者 鈴木 世一
出版社 Clover出版