1つ3000円のガトーショコラが

「1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ」戦略的ブランディングで強者に勝つ!

弱者が強者に勝つブランディング戦略とは?

「職人は美味しいものを黙って作ればいいんや。そうすればお客さんは気付いてくれて売上は後から来るもんや」

うん、よく聞きます。うちの会社も老舗なんでこの傾向が強いような気がします。

 

これは残念ながらもう現在では通用しません

まず普通に美味しくない店が今どき無いこと。

情報が溢れすぎて発信しないと誰も気付かないこと。

売り方を間違うと世間からすぐ忘れ去られること。

 

もちろん職人さんは真面目に作っているのはわかります。だからこそもったいない。

キチッと世間に伝えて、買い手にも作り手にも幸せな状況を作りましょう。

 

この本ではブランドの育て方、伝え方、サービス、1品ビジネス、看板商品について解説してくださってます。

ここではブランドの伝え方と1品ビジネスについて要約して掘り下げます。

他の箇所も是非本で確認して下さいね。そのほうが商売にもストーリー性が生まれると思います。

まずなぜ4倍値上げでも売れるの?

元々著者の氏家さんのお店はイタリアンレストランでした。

 

当時の日本のガトーショコラはチョコ味のパウンドケーキみたいなものばかりでした。

そこで氏家さんは「食後のデザートには本場っぽい濃厚なガトーショコラを提供すれば、強力な武器になるかも」と思いました。

海外でガトーショコラを学んできた経験もあります。

思惑は見事に成功!最高級のチョコを使ったガトーショコラは大人気のデザートになりました。

 

そのうちお客様から「持って帰りたい」との要望も出てきます。

しかしその時の氏家さんは「いや、うちはケーキ屋じゃないしなあ」と思いながら断っていました。

それでも要望は多く、仕方なくお持ち帰りの対応を始めたのです。

 

最初のガトーショコラは500gで1300円。現在は250gで3000円なんで、単純実質で4倍の開きがあります。

当時はレストランでの営業をメインでやってたので、ガトーショコラは顧客サービスぐらいのものでほとんど利益もありませんでした。

 

そうこうするうちに、今度は「地方に送りたい」との要望も出てきます。

「作りたてが美味しいのに…」と思いつつも美味しさを損なわない発送にも対応していきます。

これが全国発送の原点であります。現在では売り上げの7割が発送なんですって。

 

ガトーショコラの評判はどんどん上がっていきます。

実際氏家さんもスイーツ店のガトーショコラにも負けない自信がありました。

しかし、この値段では儲けはありません。事業として成り立たせてるために、値上げをしたのです。

 

そして、二度目の値上げ、三度目の値上げと続きます。

既存の顧客は捨て去る覚悟です。

もちろん上がった格に相応しい商品力を持ってる事が前提ですが、値上げでお客様のレベルも上がります。

チョコレート通なら必ず唸る品質のガトーショコラが出来あがりました。

 

そしてTVでも紹介さるるようになり、3000円でも月2800本以上売れるようになりました。

 

原価率から値段を決めるのは、売り手側の都合しか考えていない証拠です。

大切のはお客様の満足度。

1円のものを1万円で売っても喜んでもらえるなら、お互いそれに越した事はありません。

 

ブランド力の伝え方

商品の魅力の表現の難しさ

売り文句って難しいですよね。

客観性を持たせつつ、単なる商品説明にもならないように。

 

「最高級」など材料の特別感を伝えつつ、最後は、「贅沢に配合してお作りする、究極のガトーショコラです」と紹介されてます。

 

そしてネーミングも極めて重要です。

最初は「ケインズカフェ東京のガトーショコラ」という商品名でした。

しかし、店名と商品名は分けた方がいいことに気付き、「特撰ガトーショコラ」という商品名にされました。

この名前で商標登録もしてるんですって。

 

極上、大吟醸、グランクリュと色々な名前が候補になりましたが、最終的には「特撰」が選ばれました。

言葉は生き物なので、時代に合わせての変更も念頭に置いてるそうです。

 

一流を味方につけるには

欧州の一流ブランドは、貴族やセレブが価値を認めて愛好してる事実が、そのブランドを輝かせます。

ガトーショコラも一流に認めてもらいたい!

 

土地柄、外交関連の組織に定期的に贈り物として利用してもらってました。

駐日大使といえば、その国のセレブリティです。

ここをアピールすれば!

 

そこでお店のリーフレットには、

「世界50カ国以上の駐日大使へお届けしている、セレブ御用達の味わいを、ぜひご堪能ください。

と書きました。

すると思惑通り、各メディアの記事に取り上げられる際の決め台詞として使われるようになったのです。

こういう分かりやすさって大切やなあ。

 

高級ブランドに学ぶパッケージ

どんなに商品力があっても、箱や手提げ袋が貧相では、高級感もありがたみも無くなります。

 

やっぱり第一印象が大切なのです。

外見で損をしてたら二度目はありません。

「こんな本格的な佇まいなら、美味しいに違いない」と思わせるパッケージが理想です。

 

大抵のスイーツ店のパッケージは折りたたみ出来る組み立て式です。

コストもかけれないし、折りたたむと場所も取らないメリットがあります。

 

しかし、ここはあえて貼り箱を使います。

保管スペースにも家賃を払っているので、箱の中の空気にお金を払ってるようなものです。

それでもブランドイメージを確立するには、貼り箱以外考えれません。

 

手提げ袋もティファニーやルイヴィトンを参考に作られました。

ロゴも光沢のあるUVコーティングを施して、高級感があふれてます。

 

そしてスペシャル箱も用意しました。

宝石が入ってるかのようなベロア調のボックスです。

こんな遊び心も3000円に値上げしたからこそ出来る贅沢です。

 

特別な日のプレゼントだと聞くと、ご案内してみます。

この箱だと1本5000円になります。

ここまでスペシャルなパッケージを準備しているスイーツ店は日本にないでしょう。

スワロフスキーで相手のお名前も飾り付けます。

このオーダーメイドサービスは、ブランド力向上にも役立ってるはず。

 

老舗ブランドほど新しい試みに挑む

創業変わらぬ美味しさ、と味を頑なに守り続けるのが評価される風潮があります。

伝統を守るのは大切ですが、老舗が老舗できられるのは変化も大切。革新も不可欠なのです。

 

エルメスももとは馬具メーカー。

ルイヴィトンもアーティストとコラボしたりして、新しい試みにチャレンジしてます。

室町から続く老舗「虎屋やもカフェをオープンさせたのは、伝統を守るだけでは生き残れないという意識の表れです。

究極の1品ビジネス

ひとつに特化するわけ

ケンズカフェ東京さんは、今や商品はガトーショコラだけです。

他の商品は一切なく、お試しサイズもありません。

講演会でも「ひとつだけで大丈夫なの?」とよく聞かれるそうです。

でも逆に氏家さんは1品に特化してるからこそ、日本一のガトーショコラになれたのだと仰ります。

 

まず第一に、ひとつの商品のみに集中しているから、圧倒的なクオリティのものを作る事が出来ます。

常に唯一の売り物のことばかり考えてるから、ダントツの商品力が獲得出来たのです。

特に氏家さんの店は、仕込みから仕上げまで一人でやってらっしゃいます。

 

何万もの従業員を抱える大企業だと、1品ビジネスを行うのは不可能です。

しかし、小規模な事業者なら1品ビジネスは実現可能ですし、有利です。

 

一人のスポーツ選手がマラソンに水泳にと、いろんな種目でオリンピックに出るのはあり得ない話です。

同じようにスイーツもあれこれとやっても一定のレベルまでは上がりますが、それ以上のレベルだと一本に絞っている氏家さんには敵わないのです。

 

第二に、一つに特化していると廃棄率が極端に下がります。

そして1品に特化していると、小さなお店でも大量生産が出来ます。

すると使用する材料が増えるので、仕入れ先と有利な条件で交渉出来ます。

氏家さんのお店では通常の数十倍のチョコレートを使用しているので、輸入業者さんも納入価格を下げてくれるのです。

 

1品ビジネスを成功させるためには、その商品が他には無いダントツの魅力があるスペシャリテ(看板商品)である必要があります。

特に飲食店は「味とサービス」で勝負すべきで、「価格で勝負」をウリにした瞬間、味とサービスが疎かになるそうです。

まして、スペシャリテは低価格をウリにしてはいけません。

体力勝負の低価格競争が始まると、味とサービスはみるみる下がっていきます。

 

そして看板商品には物語が生まれます。

どのようにして開発されたのか、数々の苦労をどのように乗り越えたのか、どんな想いで作られたのか。

全てを発信していきましょう。

 

「1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ」を読んでやってみた

1つに絞る難しさを痛感した

すごい徹底されててびっくりしますよね。

これいざやろうと思うとかなり悩みます。

自信の無さが出るんやろか?

 

たこ焼き屋さんとか、ラーメン屋さんとかなら、一種類もまだありますね。

でも大抵ちょっとソースが選べたり、麺の固さを選べたりでバリエーションついてます。

氏家さんのガトーショコラはそれすらないもんなあ。

あ、でもたこ焼きやラーメンは、オペレーションの簡略化で少なくしてる色合いが強いですね。

 

読み終わった後、自分ならどうするやろとひたすら考えました。

きっかけになる良い一冊だと思います。

是非本で読んでくださいね。

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著書名 1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ 4倍値上げしても売れる仕組みの作り方 (SB新書)

著者 氏家 健治

出版社 SBクリエイティブ